Rising Sun: A Novel

著者 :
  • Ballantine Books
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780345380371

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  • 【概要・粗筋】
    ロサンジェルスの日本企業ナカモトのオープニングパーティで白人女性が絞殺されるという事件が発生し、ピーター・スミス警部補と日本通のコーナー警部がその事件を担当することになった。ナカモトの捜査妨害に遭いつつも、犯行の模様が映った警備用のテープを入手し、犯人を特定する。しかし、追跡中に犯人は事故死してしまう。日米摩擦を背景にしたサスペンス小説。

    読みやすい英文。作者の本はこれを含めて二冊読んだけど、両方ともペーパーバック初心者向け。

    【感想】
    日本の経済的・文化的背景はしっかり調べられていて、私が読んだ限りではおかしなところは感じられなかった。ただ、これらについてほとんど無知なピーターに、コーナーやその他の登場人物が語って教えるという形式のため、やや説明的な印象を持った。

    そして、「部落民」という日本のディープな部分に関する記述があり(ただ、ストーリーには全く関係ないので唐突な感がある)、また、コーナーなどが喋る日本語(ローマ字表記で分かち書き)にも違和感がほとんどない。にもかかわらず、主要な日本人登場人物の名前がIshiguraやSakamura、Asakumaなど聞き慣れないものばかりだったのが残念。石黒、浅倉でも良かっただろうに。

    ストーリー的には平凡で特筆すべきところはない。原書でなければ読もうとは思わないだろう。

  • これでCrichtonは6冊目(日本語で読んだTimelineを含めたら7冊目)。

    作品ができたのは1992年、日本がアメリカから輸入するオレンジと牛肉の関税を撤廃した年。すなわち、貿易摩擦真っ只中の、日本が台頭している時代。
    日本のナカモト社がL.A.に建設したビルのオープンパーティで、殺人事件が発生。主人公の警部補は捜査を開始するが、日米関係の経済の闇が立ちふさがる、といったところでしょうか。

    テーマは、アメリカの産業の空洞化。Crichtonは、米企業が技術力の勝る日本の企業に買収され、実質産業が空洞化している現実への警鐘を鳴らしています。アメリカ国内は訴訟で潤っていて、何も実質がない、と。確かに、車から家電製品まで何でもかんでも日本がいけいけの時代だったからねー。
    加えて、日本の財閥に由来する企業グループ構造、海外に対してことごとく閉鎖的な業界、談合、ダンピングなども批判されています。ただしその一方で、日本が欧米と同じ方式で戦うことを期待してはいけない、日本は「hara no saguriai」etc.を筆頭とするアメリカとはまったく違う独自の文化があって、その発展形として今の産業構造があるのだ、だからアメリカは一方的に日本を非難するべきではなく、基本のものづくりに戻って対抗力をつけないといけないとしています。
    たーーしかに、賄賂だ談合だは日本で横行してることだし(アメリカでもあると思うんだけども、どうやら談合はないらしい?)、官民癒着は常套手段であるよね。でも後ろめたいことはどこでもやってると思うんだけどなぁ。どうなんですかね? いかにアメリカといえど、まったくのfair playと胸張れるんですかねぇ。腹の探り合い云々なんかがこの土台になっているかどうかはわからないけど、文化差ってこんなところに出てくるのかしら。

    でもこれ、産業の空洞化という点ではだいぶ前からの日本にも当てはまる構図ですよね。だから基本はものづくりだと思うんだよー。なんで理系女子少ないんだよー。


    主人公Smithのパートナーとして、かつて日本に住んだ経験があって、日本語の達者なConnorさんという人が出てきます。キーパーソンで日本人がたくさん出てくるので、日本語もバンバン出てきます。「kaisha」とか「Namerunayo」とか「Urayamashiine!」とか「erai kotoni naruyo」とか。ちゃんと後に英語で解説がついたりして親切。面白い。
    それに、アメリカ人から見た日本人の性質というか気質の解説もあって、ほうこんな風に見られてるのかなぁというのもわかります。賛同する点もしない点も、いろいろ。
    結構勉強になりました。ミステリとしてはー……まあまあかな。
    ちなみにこれ、ショーン・コネリー主演で映画化したらしい。機会があったら見てみようかな。

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