American Politics: The Promise of Disharmony

著者 : Samuel P.Huntington

• Belknap Press: An Imprint of Harvard University Press (1983年8月15日発売)

感想・レビュー・書評

[discipulusさんの感想 · 2015年4月4日]

アメリカ政治を、「理念vs現実」の対立構造という一貫した観点で述べた好著。筆者は、アメリカ人は自由、平等、民主主義、法の支配といった「アメリカ的信念(American's Creed)」をコンセンサスとして共有しているという。彼らはこの信念に逸脱する現実の政府・制度・慣行に対してしばしば不満を持ち、これらを信念に適合していくように改革を求める。この動きが活発になったのは、建国期、ジャクソニアン・デモクラシー期、革新主義期、1960～70年代であったとこの著の中で述べられている。この著は、これらの改革の動きをメインに捉えるため、現実の政府の制度や政党、政策などの具体的な事象は考察していない。そのため、「アメリカ政治」と銘打ちながらもアメリカ政治を勉強したいとする入門者には不向きであろう。しかし、アメリカ政治を裏から動かす巨大な力は何なのかを知ることができるため、ある程度アメリカ政治を勉強した者であれば必読であろう。