- Amazon.co.jp ・洋書 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9780802170378
感想・レビュー・書評
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オーディブルで。
父は産まれる前に生き別れ、愛する母は亡くなり、気にくわない里親のもとを何度も逃げ出しては更正施設に舞い戻るネイティブ・アメリカンの少年が主人公。あるとき、施設で初めて友だちとしてつきあってくれる少年に出会い、すっかり感化されて、本物の銃で銀行に押し入ってしまう。銃を乱射して周り中の人たちを手当たり次第に殺し、自分も警官の銃弾を浴びて……というところで、少年はタイムトリップする。
悲惨な出だしだったので、うーむ、聴き続けられるかなと思ったけど、中盤の仕掛けに助けられつつ聴いた。
トリップする先々で少年は、あるときは暴力を受ける側に、あるときは人を痛めつける側に立ち、繰り返し繰り返し暴力の痛さ、残忍さ、恐怖、むなしさを体感する。そしてついに……。
ちょっと頭で書いたようなところがある本ではあったけれど、伝わるものはあった。代表作も読まなくちゃ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昨日読んだ本、このフライトは、Sherman Alexieの長編の中では、ティーン向けのようでした。
だけど、この人はティーン向けの作品のほうが、すばらしいと思います。
The absolute true diary of part time Indianもティーン向けでしたが、アメリカでNational Book Awardを獲得しました。
このFlightは、「大量殺人犯の白人とインディアンの混血の少年がタイムトリップと憑依を繰り返して自分をさがしていく」という今まで読んだことが無いプロットでした。1800年代のインディアンと白人の戦争まで時代が遡り、かなり血なまぐさくてグロテスクな描写が続きますが、物語の時々で本当に涙が溢れ、エンディングは涙が止まりませんでした。
Alexieは私の好きな作家の一人ですが、私は彼の正直な語りが大好きです。インタビューもほぼ全て読みましたが、自分の傲慢さやプライド、欲、正直にさらけ出して話します。
彼の作品は、差別的だという批判がありますが、私は逆に彼はどんな人間も優しく包み込む作品を書いていると感じます。