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- Amazon.co.jp ・洋書 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9781841957753
感想・レビュー・書評
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以前レビューしたMargaret Atwoodの"Penelopiad"と同じ神話シリーズの一冊。今回の作者は、これも以前レビューした"Sexing the Cherry"のJeanette Wintersonです。
今作でベースになっているのは、ギリシャ神話で、神の怒りにふれて世界を担ぎ続ける苦行をいいつかったアトラスと、冒険の途中で一時的にアトラスと交代して世界を担ぐ英雄ヘラクレスの物語。
神話のプロット自体は終盤までは元の神話どおりだと思うんですが、もともと神話的な語り口の作家さんなので、時に現代的な解釈にも違和感なく読めました。
Sexing the Cherryでうけた、心の底にすっと入り込んでその暗闇できらきら光るような印象は健在で、個人的にはすごく良かったです。
ただ、星が4つなのは、ご本人の自伝的部分との融合がどうかなー、とちょっと思うので。
Wintersonのファンには全く問題ないだろうし、真摯に描かれていて、これがなかったら違う作品になってしまうんだとは思うんだけれど、初めてWinterson作品を読む、彼女の生い立ちに何の知識もない人が読んだらどうなんだろうなあ。
せっかくのシリーズもので、長さも短く(行間ガラガラで大きい文字で150ページくらいしかない)、とっつきやすいはずなのにちょっともったいない。
でも、Penelopiadより正直ずっとおもしろかったです。
他のWintersonを先に読んで、おもしろかった人には大変お勧め。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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