The Mysterious Benedict Society and the Perilous Journey
- Chicken House Ltd (2010年4月5日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (445ページ)
- / ISBN・EAN: 9781906427146
感想・レビュー・書評
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The Mysterious Benedict Societyシリーズ2作目。
がくんと星の数を減らしましたが、私が成人でなく子供だったらもっと落としていたと思う。
1作目で味をしめてしまったらしい作者のエゴというか我が全面に出過ぎていて、せっかくのキャラクターたちが行き場を失っている感を否めません。
とにかく、長い。冗長、というのはこういうことか、と思いながら読み進めましたが、「もしかしたらこの先に面白い展開が待っているかも」という期待がなければ、「読んだ本は必ず読み終わらせたい」という使命感に燃えたひとでなければ、飽きると思います。かなりの確率で。
「乗り物」がキーワードになっている今作品では、Societyメンバーの4人が、色々な乗り物に乗って移動するのですが、それがつまらない。何故つまらないのかを考えたら、結局のところ、今作品全体に霧のようにおおいかぶさっている「子供の力ではどうしようもない」感が濃いからなんだと思います。「子供なのに」すごい、というのが売りじゃなかったのか。
前作から一年経ったという今作品、それぞれのメンバーも色々な成長や変化を遂げていて、それだけを見ると別にひっかかるようなものでもないのですが、大人たちが思う「よかれと思って」という言葉の羅列のようなものが地の文にふんだんに使ってあって、それがとても邪魔でした。自分の能力のすごさを認識し、それを披露することで大人に褒めてもらえる、その時に感じた誇らしい気持ちのせいで、他者に蔑まれたりするのが許せない、他者の成功を妬んでしまう……。ここまで細かい心理を盛り込みたいのであれば、それは子供たち同士の会話や、それこそメンバーたちが心酔しているMr Benedictとの会話によってなされるべきだと思いました。間違っても、地の文で作者自らの言葉で「これはプライドといった気持ちで、妬みや恥ずかしい気持ちが湧くのも全然不思議ではありません」なんてことを書いてしまうべきではないのかと。興醒めというか、子供向けの本だからといって子供を馬鹿にしているような気になりました。
良い点を挙げれば、悪役たちが素晴らしい。徹頭徹尾、いやらしく書かれていて、彼らが出てきて子供たちと対峙すると、途端に文章が生き生きするのは悪役の鏡と言わざるをえません。その中でも、微妙な立ち位置にいるSQはこの先、どういった未来を与えられているのか、そこだけは気になりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示