The Death of Jesus: A Novel

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  • Amazon.co.jp ・洋書 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9781984880901

感想・レビュー・書評

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  • まだ日本語版出てないけど、三部作の結末が知りたくて英語で読んだ。ストーリーはまあ追えたけど、やはりちゃんと読めたとは思えない。結局のところこの子は何を残したのだろう、という疑問を残した。これがメッセージなのか?ドンキホーテの本に残っていたメッセージはダビドのものではないというけれど。

  • イエス三部作の最終巻。いったいどうイエスに繋がるのかと思いながら読んだけれど、ものすごく深いところに連れていかれた。

    少年デイヴィッドは、原因不明の病で、ついに死ぬ。
    血縁のない母親イネスと父サイモンから離れ、デイヴィッドは孤児院で暮らし始めるのだが、そこで病が発症する。
    日に日に弱っていくデイヴィッド。彼のもとに、ダンスアカデミーの仲間や教師、孤児院の仲間が集まってくる。そして彼がそらんじている『ドン・キホーテ』の物語に熱心に耳を傾けている。ちょっと普通ではないこうした影響力は一見、いよいよイエスっぽい。

    なかでも本作のもう一人の主役といってもいいのが、『イエスの学校時代』で殺人を犯し精神病棟に入れられたドミートリーだ。彼はなぜかデイヴィッドの入院している病院の清掃を任されている。それを利用して彼は少年に頻繁に会いに来ているようだ。彼は少年を崇拝すらし、少年を主人、自分を従者になぞらえるほどだ。

    そこで万華鏡の図柄が変化するように、ドミートリー像が一挙に様変わりした。この瞬間が本作のピークのひとつだと思う。
    名前からしてドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』が連想されるため、ずっとなんとなく厭らしい人物だと思い続けてきたが、ドミートリーが自分を従者になぞらえた、つまり、サンチョ・パンサだと宣言したとき、デイヴィッドがドン・キホーテになった(さらに、作者はイエスを狂人ドン・キホーテになぞらえていることもわかる)。

    主人デイヴィッドは、従者ドミートリーだけにあるメッセージを託し死んだ。けれどもそのメッセージはけっきょく明かされることはない。これはドミートリーの意思か、それとも共犯関係?
    生前の少年を知る人々それぞれが、それぞれのメッセージを主体的に創造しなければならない。正解はない。本書はそうほのめかしているのかもしれない。ドミートリーは狂人か聖人か。それを決めるのは、あなた次第だと。

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