- Amazon.co.jp ・洋書 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9783822834657
感想・レビュー・書評
-
共産主義も資本主義も、結局目指すところは効率的な市民のコントロールの一言に尽きるのであり、その方法が違うだけだ。
という前提で。
この写真集は2000年頃のキューバ・ハバナを撮影したものである。
中でも、市民の生活の様子をありのままに写した住まいの写真が興味深い。
灼熱の太陽を感じる屋外の写真と、ひんやりとした室内の感触の対比も心地よく感じる。
剥がれ落ちた壁、色褪せた新聞、木がめくれた椅子、再利用と思われる日本メーカーのとても古びた家電。
どれも使い込まれて傷んでいるが、しかし清潔に手入れがされ、長年大切にされていることもわかる。
そしてその脇には、マリア像などイコンが置かれている。
愛着あるもの、そして信仰とともに生きる、ハバナの人たちの生活空間。
地球の裏の離れた国にも関わらず、何故かおばあちゃんの家のような、とても懐かしい空気を運んでいる。
それは、時間の経過と手間暇を味方につけた、温もりある人間の営みだ。
経済的な効率性や、便利さ・手軽さとは逆の位置にある。
ページをめくるごとに、一つ一つ丁寧に、日本が失ってきたものを繰り出される気分になる。
信仰、愛着、手間暇。
それは、現代(西側)社会の支配者である「資本の論理」が切り捨ててきたものたちだ。
ハバナの市民生活に焦点を当てた本書が、ドイツの出版社の刊行であることも興味深かった。
撮影から20年。
今のハバナがどのようなのか、行って見てみたい気分になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Byrd Parkにて手にとる。キューバの首都ハバナ。建物もインテリアも色が濃い、むせかえるよな原色に触れ、魅了される。