治療塔

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000013604

感想・レビュー・書評

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  • 前から、読みたかった本だった。大江健三郎さんのSF作品ということで、期待したが個人的には面白かった。治療塔。世界宗教。スターシップ公社など、当たり前だが大江色は健在だった。いまのところ文庫本は非常に高値なので、単行本を購入して読んだ。

  • 死ということ、宇宙に行って帰ってくるということ。
    この一見遠いものがなぜか、この作品では近くにある。
    地球を捨てて「新しい地球」へ「大出発」する時代、リっちゃんは「選ばれし者」としては行かず、「残留者」となる。
    SFと書いてあるが、筆者独自の死生観や価値観が主になっている気がします。
    「世界宗教」混沌とした地球を包むもの。そういう団体も出てきます。
    その祈りの言葉は

                           
                            。

  • このSFと銘うたれた作品も、まぁ別にSFってわざわざ言うほどのものでもなくて、結局はいつもながらの大江健三郎の小説となっている。
    大江健三郎の作品って読むとどうも違和感を感じてしまうのだが、どうにも読まずにいられないというか。
    何に違和感を感じるのかというと、おそらく60年代から70年代くらいの全共闘の時代の空気をそのまま引きずっているような感覚であろうか。それは決してノスタルジーという意味ではなしに。
    でも。なんか読んでしまうんだなぁ。なんでだろうね。
    本書は人類が地球の環境が破壊され宇宙に移民したものの、行った先の環境も過酷で戻ってきたという話。そして、行った先にあった治療塔というものと、イエーツの詩を絡めてウンたらって話。
    何か治療塔とかはどうでもよくて、先にイエーツがあったんだろうとか思ったり。そのテーマならダン・シモンズが「ハイペリオン」ってもっとスマートにSFしているんだがなぁ。
    ここがSF作家と純文学作家の違うところでしょうかね。

  • 最初、治療塔惑星との区別がつかず、読んだ本をまた借りてしまったと勘違いした。こちらが前編の位置付けなんですねぇ。

  • この本がおそらく、読了した初めての大江健三郎の小説だと思う。達成感があったな。

  • 大江作品で個人的に一番読みやすかったです。

  • 06.12.15発想、展開は面白いんだけどなんかすごく消化不良…。でも好き。そして近未来なのにソヴィエト健在なことに衝撃。

  • 中学生の頃、何度も読んだ。いったいこの寓話が何を表しているのか知りたくて。

  • 何だったの?これ。今の私には分からん。それで人類はどうなってしまうんだ。この人の他の本も読まない分にはどう考えていいのか悩んでしまう。面白い発想だとは思うけど。年老いて滅んでいく種と、若返って胎内にまで戻り結局存在しえなくなってしまう種。その混血の子がどうなるのか知りたかったよ、私は。ほわーっとしたSFだな。システムを気にしない。何かを含んでいるようなんだけど……残念よ。分かんない。'90

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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