「論理的思考」の社会的構築 フランスの思考表現スタイルと言葉の教育

  • 岩波書店 (2021年7月20日発売)
4.15
  • (14)
  • (7)
  • (3)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 462
感想 : 17
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (274ページ) / ISBN・EAN: 9784000026062

作品紹介・あらすじ

国内外で活躍するための必須スキルとされる「論理的思考」。だが実は、「何を論理的・説得的と感じるか」は普遍的なものでなく、ある国(文化)で論理的とされるものが、ほかでは非論理的だと受け取られることも。本書では、日や米とも異なるフランスの「論理的思考」と、それが社会的に構築される様相と背景を読み解く。

みんなの感想まとめ

論理的思考の概念を文化的背景から考察する本書は、特にフランスの教育や思考法に焦点を当てています。ビジネスや日常生活で一般的に求められる論理的思考が、必ずしも普遍的ではないことを示唆し、フランスのアプロ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ビジネスでよくいわれる「論理的思考」というものを相対化できる良書。結論を冒頭に持ち出し、それを補強する材料を続けていくのが正しいという風潮、特にタイムパフォーマンス(タイパ)重視の傾向が強まる中で、フランスでの「論理的思考」はアンチテーゼとしてとても重要だと感じた。

    ドイツに暮らしたこともあるが、隣国フランス、大陸欧州の教育は学ぶ点は多い。目先の結論に飛びつくのではなく、小さいころから人間の人間たるゆえんをたたき込む。よき共和国民を育てるため(しかもフランス革命を相対化する)、ナチスドイツの再現をさせないため。それがまどろっこしい表現になったりもして、母語話者以外からするとハードルだったりするのだが(苦笑)

    いずれにしてもSNSなどで本来的な論理的思考に触れる機会が減っている中、このアプローチは参考にしていきたい。同じ著者の「論理的思考とは何か」(岩波新書)というシンプルなタイトルも買ったのだが、これはアメリカ、フランス、日本、イランの4領域で論理的な思考を論じた本のようだ。こちらもこれから読むことにする。楽しみ。

  • べらぼうに面白い。
    日本の大学は、アメリカ追従一辺倒をやめて、フランスにも学ぶべきだ。

  • ふむ

  • 図書館学生アルバイトおすすめ図書

    【請求記号】 372||WA
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/457058

  • フランス式の学校教育で実践されるディセルタシオンの分析をもとにして、フランスにおいて何が論理的であるとされているのかを学術的に分析した一冊。

  • 5,7,8,9章以外

  • アメリカ・フランス・イラン・日本の4パターンの論理的思考を比較した本。特にフランスのディセルタシオンから得られることは多そうだ。

  • 論理的思考とはなにか。

    日本で社会人になってからの壁、「結論から話せ」になぜ戸惑うのか?
    小中高の作文教育と歴史教育からその謎を紐解く。

    ビジネスシーンではアメリカの影響が色濃く反映しており、アメリカ風な書き方5パラグラフエッセイを『論理的』としている。
    「結論を先に提示する」ことで、まず何の話なのか明確になる利点はあるが、その結論が正しいものであると錯覚してしまう不具合が生じやすい(フェイクニュースを作りやすい)
    フランス風な書き方では、テーゼ主張とアンチテーゼ反論を併記し、落とし所やジンテーゼ第三の論への展開が導きやすいが時間がかかる。

    →ビジネスシーンのような(少しの間違いは許容して)早めの決断が良い場合は5パラグラフエッセイ、政治のようなより重要な意思決定が必要な場合はディゼルダシオンを選択することがベターと思われる。



    ⚪︎日本の作文
    →こんな体験をして、わたしはこう思い、こんなふうに価値観が変わった。
    (その人はどう考えている?その人あるいはその動物になりきって考えてみると?→八百万に魂が宿る信仰がベース?)

    ⚪︎英語の作文
    →結論、それを補完する内容3つ、まとめ
    (5パラグラフエッセイ)

    ⚪︎フランスの作文
    →主題に対するテーゼ、アンチテーゼ、テーゼとアンチテーゼをいいところで落とし所をつけた結論
    (ディセルタシオン)

    ⚪︎ イランの作文
    →バイブルや有名な詩の一節を引用、バイブルを褒め称える

  • 自分の知っている論理的な文章の構築方法とは異なるフランス式の「ディセルタシオン」について、フランスの教育文化の歴史とともに解説している。『現代社会思想』で解説のあった「脱構築」に近いものを感じる。
    おそらく自分達が普段からよく見るパターンは日本式であったりアメリカ式の展開の仕方をした文章や論文が多いと思うが、そうではない表現を仕方でとても興味深かった。

  • 第二部で中断…

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001191176

  • 【書誌情報】
    『「論理的思考」の社会的構築――フランスの思考表現スタイルと言葉の教育』
    著者 渡邉雅子
    ジャンル 社会
    刊行日 2021/07/16
    ISBN 9784000026062
    Cコード 3036
    体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 274頁
    定価 4,620円
    NDC:372.3

     国内外で活躍するための必須スキルとされる「論理的思考」。だが実は、「何を論理的・説得的と感じるか」は普遍的なものでなく、ある国(文化)で論理的とされるものが、ほかでは非論理的だと受け取られることも。本書では、日や米とも異なるフランスの「論理的思考」と、それが社会的に構築される様相と背景を読み解く。
    https://www.iwanami.co.jp/book/b584809.html

    【目次】
    序章
     1 思考表現スタイルと論理的思考
     2 学校の特別な役割
     3 小論文の型と「論理的である」と感じる根拠
     4 なぜフランスなのか
     5 本書の構成

    ◆第一部 論文構造から生まれる論理と思考法――哲学と文学のディセルタシオン

    第1章 論文の構造と論理の型――エッセイとディセルタシオン
     1 「論理的」であることの探求
     2 ディセルタシオンの構造と論理――エッセイとの比較から
     3 構造から導かれる米仏の論理の特徴

    第2章 哲学のディセルタシオンと哲学教育――吟味し否定する方法を教える
     1 哲学のディセルタシオンの特別な地位
     2 哲学教育の目的、内容構成と方法
     3 哲学のディセルタシオンを書く
     4 哲学のディセルタシオンを分析する
     5 小括――哲学のディセルタシオンに見る思考表現のスタイル

    第3章 文学のディセルタシオンと文学教育――文学鑑賞と論理的思考
     1 高校のフランス語(文学)教育――目的と構成
     2 文学の論述問題
     3 文学のディセルタシオンを書く
     4 文学のディセルタシオンに見る弁証法の論理

    第4章 ディセルタシオンの歴史――新しい社会の論理の模索、伝統と革新の接点
     1 伝統的な教育――フランスの論理的文化と三つの形式主義
     2 フランス革命とディセルタシオンの創造
     3 哲学教育とディセルタシオン――自由に自律して考えるための訓練の創造
     4 小括 ディセルタシオンは教育を刷新したか――変わったものと変わらなかったもの

    ◆第二部 論理的思考の段階的な訓練――ディセルタシオンを目指した言葉の教育の全体像 
    第5章 小学校で教えられる論理――言語の内的論理と視点の一貫性
     1 文法・描写・物語を通した論理的思考
     2 作文(rédaction)――形式による論理的一貫性を学ぶ訓練
     3 物語の創作における二つの訓練――視点による論理的一貫性と物語の「定義と型」の習得

    第6章 中等教育で育まれる論理――「論証」から「弁証法」へ
     1 中学校における「論証」――自然の配置から論理の配置へ
     2 高校で育まれる論理――弁証法という思考の飛躍
     3 小括――高校で育まれる論理と論理的思考

    ◆第三部 判断し行動するための論理――推論する、討論する、合意するための教育 
    第7章 歴史教育――過去の解釈と未来予想に見る推論の型、「合理性」の判断基準
     1 フランスの歴史教育の構成――教科書に見る時間の概念と歴史認識
     2 フランスの歴史教科書の構造と授業の構造
     3 過去はどう語られるか――フランスの歴史授業の五つの特徴
     4 視覚イメージで教える効果――見えるものから「見えないもの」を読み解く
     5 いかに評価するか――良い説明(歴史の語り)と求められる能力
     6 未来はどう捉えられているか――歴史教育に見る過去・現在・未来の構造

    第8章 歴史教育の歴史に見る思考法の変遷
     1 歴史教育の転換点(一九七〇年代の改革)――新教育とアナールの歴史研究の方法
     2 揺り戻しと新たな発展――公民教育としての歴史と年代史・政治史の復活(一九八〇年代)
     3 史料から構築する歴史へ――生徒の多様化とデカルト的方法(一九九〇年代から)
     4 グローバル化・情報化への対応――共通基礎の導入
     5 二〇〇〇年以降のディセルタシオンの大衆化と歴史教育――理想と現実、断絶と継承、批判と実像
     6 教育の大衆化とテーマとイメージによる歴史

    第9章 市民性教育――合意形成の手続き
     1 言葉の定義を通した合意形成と共通の文化の構築
     2 学級の規則作り――手続きの遵守と形式主義(公民科)
     3 言葉の定義から「判断の基準」を学ぶ
     4 「社会は変えられる」――フランス革命の遺産を伝えるプロジェクト
     5 哲学による前提の合意形成――歴史に学び、共同体の文化を形成する討論
     6 討論から政治的行動へ
     7 政治教育としての市民性教育――言葉の定義と手続き遵守の社会生活への適用

    終章 フランス社会の〈論理〉の構築――ディセルタシオンが導く思考表現スタイル
     1 思考表現スタイル――思考・判断・表現の型
     2 社会の利益か、個人の目的達成か――共和主義と民主主義
     3 民主主義型の思考表現スタイル――補助線としてのアメリカ
     4 結語 小論文の〈論理〉から考える社会の未来――フランス、アメリカ、そして日本

    あとがき
    参考文献
    資料

全12件中 1 - 12件を表示

渡邉雅子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×