「論理的思考」の社会的構築: フランスの思考表現スタイルと言葉の教育

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000026062

作品紹介・あらすじ

国内外で活躍するための必須スキルとされる「論理的思考」。だが実は、「何を論理的・説得的と感じるか」は普遍的なものでなく、ある国(文化)で論理的とされるものが、ほかでは非論理的だと受け取られることも。本書では、日や米とも異なるフランスの「論理的思考」と、それが社会的に構築される様相と背景を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • べらぼうに面白い。
    日本の大学は、アメリカ追従一辺倒をやめて、フランスにも学ぶべきだ。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001191176

  • 【書誌情報】
    『「論理的思考」の社会的構築――フランスの思考表現スタイルと言葉の教育』
    著者 渡邉雅子
    ジャンル 社会
    刊行日 2021/07/16
    ISBN 9784000026062
    Cコード 3036
    体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 274頁
    定価 4,620円
    NDC:372.3

     国内外で活躍するための必須スキルとされる「論理的思考」。だが実は、「何を論理的・説得的と感じるか」は普遍的なものでなく、ある国(文化)で論理的とされるものが、ほかでは非論理的だと受け取られることも。本書では、日や米とも異なるフランスの「論理的思考」と、それが社会的に構築される様相と背景を読み解く。
    https://www.iwanami.co.jp/book/b584809.html

    【目次】
    序章
     1 思考表現スタイルと論理的思考
     2 学校の特別な役割
     3 小論文の型と「論理的である」と感じる根拠
     4 なぜフランスなのか
     5 本書の構成

    ◆第一部 論文構造から生まれる論理と思考法――哲学と文学のディセルタシオン

    第1章 論文の構造と論理の型――エッセイとディセルタシオン
     1 「論理的」であることの探求
     2 ディセルタシオンの構造と論理――エッセイとの比較から
     3 構造から導かれる米仏の論理の特徴

    第2章 哲学のディセルタシオンと哲学教育――吟味し否定する方法を教える
     1 哲学のディセルタシオンの特別な地位
     2 哲学教育の目的、内容構成と方法
     3 哲学のディセルタシオンを書く
     4 哲学のディセルタシオンを分析する
     5 小括――哲学のディセルタシオンに見る思考表現のスタイル

    第3章 文学のディセルタシオンと文学教育――文学鑑賞と論理的思考
     1 高校のフランス語(文学)教育――目的と構成
     2 文学の論述問題
     3 文学のディセルタシオンを書く
     4 文学のディセルタシオンに見る弁証法の論理

    第4章 ディセルタシオンの歴史――新しい社会の論理の模索、伝統と革新の接点
     1 伝統的な教育――フランスの論理的文化と三つの形式主義
     2 フランス革命とディセルタシオンの創造
     3 哲学教育とディセルタシオン――自由に自律して考えるための訓練の創造
     4 小括 ディセルタシオンは教育を刷新したか――変わったものと変わらなかったもの

    ◆第二部 論理的思考の段階的な訓練――ディセルタシオンを目指した言葉の教育の全体像 
    第5章 小学校で教えられる論理――言語の内的論理と視点の一貫性
     1 文法・描写・物語を通した論理的思考
     2 作文(rédaction)――形式による論理的一貫性を学ぶ訓練
     3 物語の創作における二つの訓練――視点による論理的一貫性と物語の「定義と型」の習得

    第6章 中等教育で育まれる論理――「論証」から「弁証法」へ
     1 中学校における「論証」――自然の配置から論理の配置へ
     2 高校で育まれる論理――弁証法という思考の飛躍
     3 小括――高校で育まれる論理と論理的思考

    ◆第三部 判断し行動するための論理――推論する、討論する、合意するための教育 
    第7章 歴史教育――過去の解釈と未来予想に見る推論の型、「合理性」の判断基準
     1 フランスの歴史教育の構成――教科書に見る時間の概念と歴史認識
     2 フランスの歴史教科書の構造と授業の構造
     3 過去はどう語られるか――フランスの歴史授業の五つの特徴
     4 視覚イメージで教える効果――見えるものから「見えないもの」を読み解く
     5 いかに評価するか――良い説明(歴史の語り)と求められる能力
     6 未来はどう捉えられているか――歴史教育に見る過去・現在・未来の構造

    第8章 歴史教育の歴史に見る思考法の変遷
     1 歴史教育の転換点(一九七〇年代の改革)――新教育とアナールの歴史研究の方法
     2 揺り戻しと新たな発展――公民教育としての歴史と年代史・政治史の復活(一九八〇年代)
     3 史料から構築する歴史へ――生徒の多様化とデカルト的方法(一九九〇年代から)
     4 グローバル化・情報化への対応――共通基礎の導入
     5 二〇〇〇年以降のディセルタシオンの大衆化と歴史教育――理想と現実、断絶と継承、批判と実像
     6 教育の大衆化とテーマとイメージによる歴史

    第9章 市民性教育――合意形成の手続き
     1 言葉の定義を通した合意形成と共通の文化の構築
     2 学級の規則作り――手続きの遵守と形式主義(公民科)
     3 言葉の定義から「判断の基準」を学ぶ
     4 「社会は変えられる」――フランス革命の遺産を伝えるプロジェクト
     5 哲学による前提の合意形成――歴史に学び、共同体の文化を形成する討論
     6 討論から政治的行動へ
     7 政治教育としての市民性教育――言葉の定義と手続き遵守の社会生活への適用

    終章 フランス社会の〈論理〉の構築――ディセルタシオンが導く思考表現スタイル
     1 思考表現スタイル――思考・判断・表現の型
     2 社会の利益か、個人の目的達成か――共和主義と民主主義
     3 民主主義型の思考表現スタイル――補助線としてのアメリカ
     4 結語 小論文の〈論理〉から考える社会の未来――フランス、アメリカ、そして日本

    あとがき
    参考文献
    資料

  • https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/878964

    千駄ヶ谷にもあります

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