- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000039390
感想・レビュー・書評
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正解が言えたからと言って分かったとは言えない。人は正解に反するような事例と出会い、悩み、他者と対話をしながら追究する作業をすることを通して、「納得」するのであり、絶えず「わかり直していく」のである。そして、教師自身も正解の保持者・伝達者ではなく、「わかろう」「わかり直そう」とする文化的実践の参加者である点は、生徒と全く変わらない。著者はこのように考えます。
この本を見ていると、「わかる」ということの意味が実に奥深いものであり、ある意味で正解がないこと、絶えず追究し続けて行かないといけない事だということが分かります。同時に、教師は何でも知ったような顔をしなくていいのだと思わされる。教師自身が真の納得を求めて、追究者になってこそ、皆が追究できるのだと思わされます。
著者は特定の尺度から「できる・できない」を断定する評価観を批判します。それは、学校以外のどこかで生徒にも必ず得意分野があって、「学校の○○のテスト問題が解けない」という現実は、単にその得意分野とテスト問題を繋げて考えられていないからに過ぎない、という立場だからです。分かるという作業は、現実世界のAの出来事と学校で学ぶBのことが同じ問題であるということに「わかり直す」ことである。それは大人も同じである。そんな感じです。
最後に、この本のゆったりとした学び観の背景には、やはり生涯学習的な発想が基盤にあるように感じました。人間は一生学び続ける。そうだとしたら、学校は何をするべきか?細かな知識を伝達して、出来た・出来ないを測る(査定する)より、わかることがいかに難しいか、わかろうとすることが以下の楽しいかを実感することが大切ではないか。そしてそれは人生においても同じではないか。
著者自身が納得を求めて考えていることがよく伝わってくる本でした。おすすめです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
副題は「学ぶ意欲の発見」。マッハ2キロの宇宙船から発射されたマッハ1キロの弾丸は前に進むのか、それとも戻って自爆になるのか?直感的な「わかる」や丸暗記の「わかる」から、ほんものの「わかる」が何を意味するかを説明している。わかろうとする営みが連続的な「わかる」なのだというイメージ。頭のいい人とは、わかろうとする工夫ができる人をさす。
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わかるとは、知っている小さいわかるをつないでわかりなおすこと。
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『「学ぶ」ということの意味』と姉妹書。
学ぶということを広義に捉えていて、文体も分かりやすい。
この「わかる」ことの意味に立脚して学校がどうあるべきか、著者の主張が最終章にまとめられているが、学校関係者に限らず、教育に関心のある方に広く読んでもらいたい1冊。 -
教育段階にかかわらず「わかる」ことのプロセスに変わりはないことがわかった。自分が知るべきことと、世の中で知るべきことのタテとヨコの関係は、常に持っていたい視座となった。いくつかの項目を自分で動かす、ということは非常に重要。そこから新しい可能性を探り出すことができるという。
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学ぶ編より平易。A君の例がリアル。参加への展開がちょっと弱いかな。
・原因が自分でないと
・先生の目でできない。
・双原因性感覚
・学習困難児のぐちゃぐちゃ
・学校で学ばなければならないこと。自己選択、価値判断、知識吸収
・学問とは、本当だとされていることを学ぶのでなく、何が本当なのか問うこと
・分かるとは参加 -
教育の本だが、情報サービスに役立つと聞いて。相手の知りたいことを把握し、納得できる説明をするためには、相手がすでにわかっている事と結びつけて、わかるようにする。また、共に知識を再発見し、わかちあう必要がある。情報提供に好奇心旺盛な人が向いていると言われる所以がよくわかった。
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基本的には教育者目線から『わかる』ということの大切さ、おもしろさを書いている。ただ教育者でなくとも得るものはあった。