蒋経国と李登輝―「大陸国家」からの離陸? (現代アジアの肖像 5)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000044004

感想・レビュー・書評

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  •  97年刊。同著者の01年刊ちくま新書『台湾』と大いに重複する(発行時期からして当然、新書の方が李登輝時代の記述が多めだが)。特に蒋経国とその時代への評価に関心があり読んだ。
     70年代から一定の政治改革、国家エリートとその予備軍への台湾人の登用。美麗島事件などはあるも、80年代初頭に一旦(肉体的に)倒れて復活した後は、目立っていたタカ派の更迭と「安全パイ」李登輝の副総統起用、民進党結成の許容、戒厳令解除など。
     これら変化の背景には、米国の視線もあっただろう。また著者は「変化した現実への体制の妥協」ともする。果たして李登輝が意中の後継者だったのかも不明だ。しかし同時に、蒋経国自身の決断が速かったとの証言も挙げる。「鋭敏さとリアリズムを持ち合わせたストロングマン」「体制の根幹にかかわる決定は・・・ストロングマン自身が下すしかなかった」との著者の評価が印象的だ。

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著者プロフィール

若林 正丈(わかばやし・まさひろ):一九四九年長野県生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院社会学研究科国際関係論修士課程修了(国際学修士)、同大学院博士課程退学。社会学博士(東京大学、一九八五年)。在香港日本領事館専門調査員、東京大学教養学部助教授、同大学総合文化研究科助教授、教授を経て、早稲田大学政治経済学術院教授、早稲田大学台湾研究所所長、台湾・政治大学台湾史研究所兼任教授などを歴任。著者に『台湾抗日運動研究 増補版』(研文出版)。また『台湾──分裂国家と民主化』(東京大学出版会)、『蒋経国と李登輝』(岩波書店)などで一九九七年サントリー学芸賞受賞、二〇〇八年刊『台湾の政治──中華民国台湾化の戦後史』(東京大学出版会)でアジア・太平洋賞および樫山純三賞を受賞。

「2023年 『台湾の半世紀 民主化と台湾化の現場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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