ビジュアル 数学全史――人類誕生前から多次元宇宙まで

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000063272

感想・レビュー・書評

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  • 原題は"The MαTH βOOK"。
    年代順に、数学の重要なトピックを1ページに1つずつ紹介していく。
    もちろん、「すべて」を網羅できるわけではないので、タイトルの「全史」にはいささか大仰な感じも受けるが、「数学」の広がりを感じさせるには十分である。さながら、数学百科事典である。
    「ビジュアル」と冠されているのは、各トピックを象徴する図版や写真が1つ以上ついているため。数式は必要最低限。1トピック1ページで概念を説明するというのは、なかなかの力業だと思うのだが、専門家でなくてもイメージがわくように噛み砕いて説明されている。そのため、門外漢でも読める。但し、骨はある。唸りながらも目眩く数学パラダイスに呑み込まれる。

    トピックは、「ゼロ」、「虚数」、「ピタゴラスの定理」といったよく知られたものから、「四色問題」、「騎士巡回問題」、「鳩の巣原理」といったパズル的なもの、「情報理論」、「フラクタル」、「カタストロフィー理論」など複雑な系に関するトピックまで幅広い。
    ユークリッドやニュートン、フィボナッチやフェルマー、オイラーにガウス、「ブルバキ」、フォン・ノイマン。数学上の偉人も数多く出てくる。
    おもしろいところでは、数学者が犯罪捜査に協力するテレビドラマ(「NUMB3RS」)などというのも紹介されている。
    数学がこれまで取り組んできたもの、すでに解決された問題、予測はされているが証明はされていないもの。
    広く、深く、現在・過去・未来を俯瞰している。

    本書は数学ゲームで知られるマーティン・ガードナーに捧げられている(もちろん、本書にはガードナーの項もある)。数学の奥深さ、おもしろさをわかりやすく伝えるという意味では、なるほど、ガードナーの精神を継ぐものなのかもしれない。

    (ああ、数学のできる人になりたいなぁ・・・)

  • 【書誌情報+内容紹介】
    『ビジュアル 数学全史――人類誕生前から多次元宇宙まで』
    著者:Clifford Pickover
    訳者:根上生也 |水原文
    定価 本体4,200円+税
    刊行日 2017/05/26
    ISBN 9784000063272
    版型 B5 上製 270ページ

     悲劇の女性数学者ヒュパティア.ベンジャミン・フランクリンの不思議な魔方陣.テトリスと未解決問題.最新の数学的宇宙仮説……。250項目にわたる数学の重要な発見や数学者伝を年代順に並べ,オールカラーの美しい写真と,直感的にわかりやすい簡潔な解説で紹介.「数学図鑑」としても楽しめ,この1冊で数学を体感できる.

    ■特色
     ・一つのトピックを1ページにまとめた,細部にとらわれず本質をつかみやすい説明.
     ・他では見られない貴重な写真も多数掲載,目で見る直感的な理解を助けます.
     ・囲碁やルービック・キューブなど,数学に関係するパズルも紹介.
     ・ユニークな視点,美しい図解で,専門知識の有無にかかわらず,読者を飽きさせません.
     ・「数学図鑑」としてもお楽しみいただける,高校生にもおすすめの一冊.
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b285215.html


    【目次】
    目次
    はじめに
    訳者まえがき
    紀元前1億5000万年ころ アリの体内距離計
    紀元前3000万年ころ 数をかぞえる霊長類
    紀元前100万年ころ セミと素数
    紀元前10万年ころ 結び目
    紀元前1万8000年ころ イシャンゴ獣骨
    紀元前3000年ころ キープ
    紀元前3000年ころ サイコロ
    紀元前2200年ころ 魔方陣
    紀元前1800年ころ プリンプトン322
    紀元前1650年ころ リンド・パピルス
    紀元前1300年ころ 三目並べ
    紀元前600年ころ ピタゴラスの定理とピタゴラス三角形
    紀元前548年 囲碁
    紀元前530年ころ ピタゴラス教団の誕生
    紀元前445年ころ ゼノンのパラドックス
    紀元前440年ころ 弓形の求積法
    紀元前350年ころ プラトンの立体
    紀元前350年ころ アリストテレスの『オルガノン』
    紀元前320年ころ アリストテレスの車輪のパラドックス
    紀元前300年 ユークリッドの『原論』
    紀元前250年ころ アルキメデスの『砂粒』『牛』『ストマキオン』
    紀元前250年ころ 円周率π
    紀元前240年ころ エラトステネスのふるい
    紀元前240年ころ アルキメデスの半正多面体
    紀元前225年 アルキメデスのらせん
    紀元前180年ころ ディオクレスのシッソイド
    150年ころ プトレマイオスの『アルマゲスト』
    250年 ディオファントスの『算術』
    340年ころ パッポスの六角形定理
    350年ころ バクシャーリー写本
    415年 ヒュパティアの死
    650年ころ ゼロ
    800年ころ アルクィンの『青年たちを鍛えるための諸命題』
    830年 アル=フワーリズミーの『代数学』
    834年 ボロミアン環
    850年 『ガニタサーラサングラハ』
    850年ころ サービトの友愛数の公式
    953年ころ 『算術について(インド式計算について諸章よりなる書)』
    1070年 オマル・ハイヤームの『代数学』
    1150年ころ アッ=サマウアルの『代数の驚嘆』
    1200年ころ そろばん
    1202年 フィボナッチの『計算の書』
    1256年 チェス盤上の麦粒
    1350年ころ 調和級数の発散
    1427年ころ 余弦定理
    1478年 『トレヴィーゾ算術書』
    1500年ころ 円周率の級数公式の発見
    1509年 黄金比
    1518年 『ポリグラフィア』
    1537年 航程線
    1545年 カルダノの『アルス・マグナ』
    1556年 『スマリオ・コンペンディオソ』
    1569年 メルカトール図法
    1572年 虚数
    1611年 ケプラー予想
    1614年 対数
    1621年 計算尺
    1636年 フェルマーのらせん
    1637年 フェルマーの最終定理
    1637年 デカルトの『幾何学』
    1637年 カージオイド
    1638年 対数らせん
    1639年 射影幾何学
    1641年 トリチェリのトランペット
    1654年 パスカルの三角形
    1657年 ニールの放物線
    1659年 ヴィヴィアーニの定理
    1665年ころ 微積分の発見
    1669年 ニュートン法
    1673年 等時曲線問題
    1674年 星芒形
    1696年 ロピタルの『無限小解析』
    1702年 地球を取り巻くロープのパズル
    1713年 大数の法則
    1727年 オイラー数e
    1730年 スターリングの公式
    1733年 正規分布曲線
    1735年 オイラー・マスケローニの定数
    1736年 ケーニヒスベルクの橋渡り
    1738年 サンクトペテルブルクのパラドックス
    1742年 ゴールドバッハ予想
    1748年 アニェージの『解析教程』
    1751年 オイラーの多面体公式
    1751年 オイラーの多角形分割問題
    1759年 騎士巡回問題
    1761年 ベイズの定理
    1769年 フランクリン魔方陣
    1774年 極小曲面
    1777年 ビュフォンの針
    1779年 36人の士官の問題
    1789年ころ 算額の幾何学
    1795年 最小二乗法
    1796年 正十七角形の作図
    1797年 代数学の基本定理
    1801年 ガウスの『数論考究』
    1801年 三桿分度器
    1807年 フーリエ級数
    1812年 ラプラスの『確率の解析的理論』
    1816年 ルパート公の問題
    1817年 ベッセル関数
    1822年 バベッジの機械式計算機
    1823年 コーシーの『微分積分学要論』
    1827年 重心計算
    1829年 非ユークリッド幾何学
    1831年 メビウス関数
    1832年 群論
    1834年 鳩の巣原理
    1843年 四元数
    1844年 超越数
    1844年 カタラン予想
    1850年 シルヴェスターの行列
    1852年 四色定理
    1854年 ブール代数
    1857年 イコシアン・ゲーム
    1857年 ハーモノグラフ
    1858年 メビウスの帯
    1858年 ホルディッチの定理
    1859年 リーマン予想
    1868年 ベルトラミの擬球面
    1872年 ワイエルシュトラース関数
    1872年 グロの『チャイニーズリングの理論』
    1874年 コワレフスカヤの博士号
    1874年 15パズル
    1874年 カントールの超限数
    1875年 ルーローの三角形
    1876年 調和解析機
    1879年 リッティ・モデルIキャッシュレジスター
    1880年 ベン図
    1881年 ベンフォードの法則
    1882年 クラインのつぼ
    1883年 ハノイの塔
    1884年 フラットランド
    1888年 四次元立方体
    1889年 ペアノの公理
    1890年 ペアノ曲線
    1891年 壁紙群
    1893年 シルヴェスターの直線の問題
    1896年 素数定理の証明
    1899年 ピックの定理
    1899年 モーリーの三等分線定理
    1900年 ヒルベルトの23の問題
    1900年 カイ二乗検定
    1901年 ボーイ曲面
    1901年 床屋のパラドックス
    1901年 ユングの定理
    1904年 ポアンカレ予想
    1904年 コッホ雪片
    1904年 ツェルメロの選択公理
    1905年 ジョルダン曲線定理
    1906年 トゥーエ-モース数列
    1909年 ブラウアーの不動点定理
    1909年 正規数
    1909年 ブールの『代数の哲学と楽しみ』
    1910–1913年 『プリンキピア・マテマティカ』
    1912年 毛玉の定理
    1913年 無限の猿定理
    1916年 ビーベルバッハ予想
    1916年 ジョンソンの定理
    1918年 ハウスドルフ次元
    1919年 ブルン定数
    1920年ころ グーゴル
    1920年 アントワーヌのネックレス
    1921年 ネーターの『イデアル論』
    1921年 超空間で迷子になる確率
    1922年 ジオデシック・ドーム
    1924年 アレクサンダーの角付き球面
    1924年 バナッハ-タルスキのパラドックス
    1925年 長方形の正方分割
    1925年 ヒルベルトのグランドホテル
    1926年 メンガーのスポンジ
    1927年 微分解析機
    1928年 ラムゼー理論
    1931年 ゲーデルの定理
    1933年 チャンパノウン数
    1935年 秘密結社ブルバキ
    1936年 フィールズ賞
    1936年 チューリングマシン
    1936年 フォーデルベルクのタイリング
    1937年 コラッツ予想
    1938年 フォードの円
    1938年 乱数発生器の発達
    1939年 誕生日のパラドックス
    1940年ころ 外接多角形
    1942年 ボードゲーム「ヘックス」
    1945年 ピッグ・ゲームの戦略
    1946年 ENIAC
    1946年 フォン・ノイマンの平方採中法
    1947年 グレイコード
    1948年 情報理論
    1948年 クルタ計算機
    1949年 チャーサール多面体
    1950年 ナッシュ均衡
    1950年ころ 海岸線のパラドックス
    1950年 囚人のジレンマ
    1952年 セル・オートマトン
    1957年 マーティン・ガードナーの数学レクリエーション
    1958年 ギルブレスの予想
    1958年 球面の内側と外側をひっくり返す
    1958年 プラトンのビリヤード
    1959年 外接ビリヤード
    1960年 ニューコムのパラドックス
    1960年 シェルピンスキ数
    1963年 カオスとバタフライ効果
    1963年 ウラムのらせん
    1963年 連続体仮説の非決定性
    1965年ころ スーパーエッグ
    1965年 ファジィ論理
    1966年 インスタント・インサニティ
    1967年 ラングランズ・プログラム
    1967年 スプラウト・ゲーム
    1968年 カタストロフィー理論
    1969年 トカルスキーの照らし出せない部屋
    1970年 ドナルド・クヌースとマスターマインド
    1971年 エルデーシュの膨大な共同研究
    1972年 最初の関数電卓HP-35
    1973年 ペンローズ・タイル
    1973年 美術館定理
    1974年 ルービック・キューブ
    1974年 チャイティンのオメガ
    1974年 超現実数
    1974年 ペルコの結び目
    1975年 フラクタル
    1975年 ファイゲンバウム定数
    1977年 公開鍵暗号
    1977年 シラッシ多面体
    1979年 池田アトラクター
    1979年 スパイドロン
    1980年 マンデルブロー集合
    1981年 モンスター群
    1982年 n次元球体内の三角形
    1984年 ジョーンズ多項式
    1985年 ウィークス多様体
    1985年 アンドリカの予想
    1985年 ABC予想
    1986年 読み上げ数列
    1988年 Mathematica
    1988年 マーフィーの法則と結び目
    1989年 バタフライ曲線
    1996年 オンライン整数列大辞典
    1999年 エターニティ・パズル
    1999年 四次元完全魔方陣
    1999年 パロンドのパラドックス
    1999年 ホリヘドロンの解決
    2001年 ベッドシーツ問題
    2002年 オワリ・ゲームの解決
    2002年 テトリスはNP完全
    2005年 NUMB3RS 天才数学者の事件ファイル
    2007年 チェッカーの解決
    2007年 例外型単純リー群E8の探求
    2007年 数学的宇宙仮説

  • 科学道100冊 2022 テーマ「科学史タイムトラベル」

    【所在】図・3F開架
    【請求記号】410.2||PI
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/427491

  • 図書館で借りた。
    1頁に1トピックスを扱い、タイトルにあるように人類誕生前から、最新トピックまでの全史をまとめた本。
    ビジュアルと冠してあるように全編カラーで写真も多いが、1枚をイメージ図的に横にあるだけなので、図形的幾何的な理解を助けるものにはならないと思った。
    また、1頁という構成なので、深い数学議論には入れない。
    あくまで、歴史をざっと見る詳しい年表のような使い方をする本と思った。

  • #科学道100冊2022

    毎年恒例の企画展示「科学道100冊」に、今年新たに加わった本。

    金沢大学附属図書館所在情報
    ▼▼▼▼▼
    https://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB23694147

  • 年代順に、数学の重要なトピックを1ページに1つずつ紹介していく本である

  • 寝っ転がって読むのは大変
    1H番組で説明されてもチンプンカンプンなabc問題やらを1pにまとめるのはさぞかし大変だったろう

  • ふむ

  • 騎士巡回問題に関する話が好きです。

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