- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000113250
感想・レビュー・書評
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初学者であっても、丹念に読み進めると、部分的にある程度理解できる。
第一章 摂関政治と政治構造
摂関政治の成立した過程や、道長から頼道への長期安定政権がどのようにして確立されていったかなどが、なるほど理解できる。
摂政と関白の違いの本質についても、その権限の有りようの違いから明確に規定されていて、なるほど理解できた。
そして、天皇と貴族による政権を二百年以上もの長期に保持することができた政治システムがどのようなものであったか、大まかに理解することができた。
第二章 財政の再編と宮廷社会
上級貴族の給与制度として封戸制は平安時代前半にはなお一定程度機能していたと考えられる。この点は理解できた。
しかし、中央貴族が地方国衙の稲穀を収奪する給与制度としての年給に関しては、理解が至らない。天皇や院、三宮、親王、女御、内侍や、太政大臣以下参議以上の公卿が給主として権限を持ち、彼らに奉仕することにより下級官人が受け取る、ということか。
第三章 受領支配と在地社会
この時代は、荘園制が展開するまでの移行期と位置づけられる。受領に決定権が租税の割合である官物率法や、名田ー名主を基礎単位として検田、収納の帳簿の整備なと、中世的支配の道具立てはこの頃整っていった。
また、刀禰(とね)と言う在地領主たちの長が登場する。刀禰は、郡司とは異なり、その地域の顔である。この時期は、国司、郡司、負名によって構成される行政圏と、刀禰が共同性を代表する生活圏との二重性が顕著になった。
第四章 「唐風文化」から「国風文化」
遣唐使が停止された十世紀以降、日中間の公式使節の往来は途絶えたが、頻繁に来航した中国商船に乗って呉越国や宋に渡った日本僧が、皇帝、国王や僧俗との交渉をにない、遣唐使に準じる役割を果たした。仏書や儒書の復興を求める中国の動きを背景に、暦道、明経道、紀伝道に関わる文物を請来した他、天台浄土教の影響を相互に及ぼしあい、和漢融合した豊かな文化を開花させた。→鎖国的な環境から国風文化が生まれたのではない。なるほど。
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岩波書店の歴史本第5巻。菅原道真の建議で遣唐使が廃止になったことで日本独自の国風文化が花開いたと学校では習ったが最近の研究ではそうではないらしい。唐・呉越国・宋などの多年にわたる交流を背景に、中国文化をよく踏まえたうえで、列島内外において長年にわたる創意工夫を重ねることで生み出されたものだった。という。詳細→
http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou30305.html -
【資料ID: 1117022644】 210.1-O 87-5
http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB14042531