- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000220774
作品紹介・あらすじ
国家安全保障は今や終焉の時を迎えつつある。新たな脅威の下で、いかなる構想が求められているのか。本書はベンサムによる個人の安全保障の時代から、軍事力による国家安全保障を経て、現在模索されている平和と共生に基づく安全保障に至る二〇〇年の理念の変遷を鮮やかに解明する。二一世紀の今を斬新な角度から照らし出す著者渾身の書き下ろし。
感想・レビュー・書評
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【人間の「安全保障」こそが大切】
私たちは「安全保障」と言えば、第一に日米安保条約を思い浮かべる。「安全保障」とは何よりも「国家を、他国の攻撃から軍事的に守る」ことと思い込んでしまっているのだ。しかし、古関によれば、近代の「安全保障」論を確立したベンサムが目指したのは「国家を守ること」ではなく、「個人、人間を守ること」だった。「安全保障」がもっぱら「国家安全保障」を表すようになったのは、第二次大戦後のアメリカの国際戦略によるものである。
近年、「中国の脅威」が声高に叫ばれ、奄美諸島、南西諸島に自衛隊基地が急速に一大補強されている。G7で初めて台湾海峡の「平和と安定」が言及され、日本周辺の「安全保障」はキナ臭くなってきている。
その反面、1994年の国連報告書が「人間の安全保障」という概念を打ち出して以来、北欧やカナダでは「社会的連帯」や「相互扶助」や「共生」を基礎とする「人間の安全保障」を目指すようになった。
アンポを「人間の安全保障」の観点から見直してみたい。(門倉/本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
期待する安全保障とは、安全保障とは期待するうことだとの認識をもって期待そのものが安全保障につながると考えていた。