- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000222853
作品紹介・あらすじ
戦後民主化にともなう差別解消への希望を込めた一九四八年の「破戒」、部落解放運動に寄り添う形で作られた一九六〇年の「人間みな兄弟」、同様の意図のもと作られながらも部落解放同盟からその「差別性」を糾弾された一九六九、七〇年の「橋のない川」(九一年には部落解放同盟自身が製作に携わる形で再映画化される)、そして当事者自身による「語り」を全面に押し出した一九八六年の「人間の街」と八八年の「家族」-映画のなかに描かれた被差別部落の姿と、それへの被差別当事者の応答や対抗のなかに、戦後部落問題をかたちづくる社会意識のありようを探る意欲的な試み。
感想・レビュー・書評
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被差別部落を題材にした戦後の映画―「破戒」(1948年木下惠介監督版と1962年市川崑監督版)、「人間みな兄弟」(1960年)、「橋のない川」(1969-70年今井正監督版と1991年東陽一監督版)、「人間の街―大阪被差別部落」(1986年)、「家族―部落差別を生きる」(1988年)―を通して、それぞれ制作された時代の被差別部落に対する「他者」表象と、それに対する部落民・解放運動の応答と対抗を歴史的に分析している。差別の実態をリアルに厳しく描く方向性にも、差別に対する前向きな闘いや克服を強調する方向性にも、差別を再生産させる矛盾が内包されていることがわかる。
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部落解放運動も映画化、演劇化には歓迎していた。
天皇制のほかに、戦うべき対象として描かれているのは、権力者、差別者としての警察、教師、地主。 -
声高ではなく
説教調でもなく
情緒におぼれるでもなく
淡々と
「被差別部落」のこれまでとこれからの
ことが 書かれた本が
岩波書店から出ていることが
うれしい