- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000227971
感想・レビュー・書評
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東京新聞社会部編『憲法と、生きる』岩波書店、読了。東京新聞で半年に渡って連載された特集「憲法と、」の待望の単行本化。正反のイデオロギー論争の本ではない。「憲法とともに戦後を生きてきた人々の営みの記録」。 http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0227970/top.html 焦臭い今こそ手に取りたい一冊だ
トータルに人間の安全保障を骨抜きにする自民党憲法改正案に驚愕するのは私一人ではない。憲法と聞けば九条を思い浮かべるが、誠実な取材から「憲法と、生きる」人々の息吹を伝える本書は、国防だけでなくいかに「あたりまえの生活」を現憲法が保障していたか理解できる。
憲法とは国家権力を制限する基本法である。秘密保護法、国家安保戦略、新防衛大綱、靖国参拝等々……。立憲主義を否定する安倍首相は本気であろう。その知見を嗤うことは簡単だ。しかし安倍首相と同じくらい私たちも憲法に対して曖昧ではなかったか。
権力と妥協しない生き方、人間として最低限の生存を保障されるための戦い、本書で示される人間像は、9条だけでなく基本的人権や健康で文化的に生きていく権利を空気の如く保障してきた現行憲法のアクチュアリティを浮かび上がらせる。
「日本を取り戻す」ことよりの必要なことは何か。私たちの生活の中に「憲法を取り戻す」ことであろう。「本書に登場するような人々の行動によって、私たちの民主主義は磨かれている」。さあ、次に磨くのは私たちの番である。現代社会を理解する上で必携のドキュメント詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
権力を縛る憲法をないがしろにしようとしている時代だからこそ、読むべき。