- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000239035
作品紹介・あらすじ
ニクソン・ショックを端緒に、狂乱物価、円安、貿易赤字の「三重苦」に見舞われた日本経済。時の為政者や大蔵省や日銀のエリートはなぜ大混乱を防げなかったのか。当局者たちが残した膨大なオーラルヒストリーや私信、メモ等をもとに、近代経済史に残る一大事件の舞台裏を精緻に検証する。我々は半世紀前の失敗から何を学べるのか。
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架:337.3A/N85d//K
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2024/01/28
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1970年代初頭のニクソンショックからスミソニアン体制を経て変動相場制となるまでの日銀の動きから見た金融政策。
日銀の独立が十分に担保されていなかった当時、政府、大蔵省の顔色を伺いながらの政策(公定歩合)決定や通貨が切り上がることへの本能的抵抗感から、通貨・金利両政策が後手に回ったことにより列島改造論からオイルショックに至る狂乱物価を抑えられず、スタグフレーションを発生させるに至った経緯が発言録等により明らかにされる。
諸外国の的を射た(ているようにみえる)適時の対応に比べ、我が国の特殊事情に勘案したり当局の内部事情に足を取られ、対応が遅れたり小出しになるというのはバブル崩壊時もそうだったし、我が国の宿痾のようにも思われる。
遡れば日華事変もそうだった。
1ドル=360円から308円に切り上がったことは知っていたが、その後、今に至る変動相場制がいわば暫定措置として実施されたものとは気づかなかった。
特定郵便局の政治力を背景に利下げに貯金金利を同調させない郵政省の動きを見ると、郵政民営化には一定の理があったと思わされる。 -
タイトルから昨今の金融・財政政策かと思ったが、50年前のニクソンショック、狂乱物価がテーマ。
ちょっと古い話だなと思いながら読んでみると、驚いた。その後のプラザ合意後の円高、株土地バブルとその崩壊の過程と瓜二つ。リーマンショックから現在に通じる金融緩和もデフレ脱却を金科玉条とすることで身動きがとれなくなっている様など、事象は異なるがやっていることは同じ。
学ばないのか、学べないのか。この本は多くを教えてくれるのに、変わらない日本がむなしい。