- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000242820
作品紹介・あらすじ
日本の近代化を準備した徳川時代から、近代を経て、現在までの四〇〇年余にわたる日本経済の展開を、単に一国の歴史として捉えるのではなく、それぞれの時代の東アジア圏、そして国際経済システムの中に位置づけて詳細に説明する通史。単独著者によるバランスがとれた統一感のある記述と、年間三〇回の講義に対応した章構成からなるテキスト。
感想・レビュー・書評
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2012年のベスト。日本経済の1600年から400年に渡る歴史を専門的な見地から記述した書籍。非常におもしろいので是非読んで貰いたい。どれくらい面白いかというと1)不平等条約にもとづくいわゆる差別的な待遇がかならずしも国内資本の形成にマイナスだったわけではない、2)江戸時代前期の外需依存度はいわゆるGDPに換算して1.5%相当。今でも15%くらいであることを考えると400年かけてたかだか10倍程度国際化したに過ぎないと言える3)明治の開港で日本経済の成長率は約10倍になった4)お雇い外国は役に立ったがその関連経費が1874年には工部省予算の三割を占めるにいたった5)戦中の統制経済は(予想通り)効果がなかった6)17世紀初めには日本における銀産出は世界全体の四分の一以上を占めた7)江戸時代に手旗信号による米相場の伝達システムが作られていて、投機を助長するとして制限されていた8)江戸時代後期には大阪などの都市の衰退と地方の台頭がみられた9)幕府が大型船の建造を禁止したことはよく知られているが、1638年には商船に限り制限が撤廃され後期には1500石積みの船も珍しくなかった。などなど。機会を見て再読したい。
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「経済史」とはこういうものか。
本書は、「徳川時代」から「明治」「大正」、そして「昭和」の「高度成長」までの「経済史のマクロヒストリーとミクロヒストリー」という500頁以上の大著であるが、それでも担当章の時代風景が見えるほど詳細ではないように思える。
それぞれの時代の「経済政策」という一面はわかるものの、「政治」との関連でその「経済政策」が何を意味するかの考察がないように思えて、全部きちんと読み込むことに困難を覚えた。
「経済政策」や「経済データ」は詳細に記載されており、事実関係はよくわかるのだが・・・。
本書は「教科書」のようだと思ったが、「おわりに」を読むと、「本書は慶應義塾大学経済学部の講義ノートをもとに加筆」とある。「教科書」そのものだったのか。
これだけの「経済史」となると、学校で講義を受けるのならばともかく、読む方は、興味とテンションを持続するだけでも大変だが、読後に時代がよくわかったようには思えなかった。
本書は、読者を限定するやや残念な本であると思う。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、3階開架 請求記号:332.105//Su49 -
江戸時代から現在のバブル崩壊後の低迷まで一人の著者の視点により一気通貫で記述。どの時代も簡潔にまとまっており、わかりやすい。
著者独自の視点としては、明治以降の日本の成長を江戸時代の体制によるところも多いとしている。また、高橋是清財政を時代の要請として、そんなに評価していない点、第二次大戦後の産業政策をむしろ失敗としている点がある。基本的に政府(幕府)に関しては短期的な視点に基づく事象への対応しか行っていないと見ている。すなわち今後の日本の行く末としても、事後的な対応しかできない.
あるいは過去のデフレ脱却はすべて戦時需要出会ったことから、外生的にしか脱却できないと見ている。 -
日経書評(奈良県立大戸田清子准教授)より引用。
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本書の特徴は、経済社会の全体像をダイナミックに捉え、西欧中心主義的な歴史観を再検討するところにある。
第1に、日本経済の展開が2つの座標軸―対外関係という空間軸と、国内の経済成長という長期の時間軸のなかで考察されていること、第2に、歴史における連続性と断絶性の問題が扱われ、とくに幕末期の「開港」から明治初期にかけての時期と太平洋戦争前後の時期において、この問題をめぐる議論にふれられていること、第3に、国際収支と財政収支を基本的指標に日本の経済発展が概観されていることである。日本経済の国際経済への関わり方が「開放経済」と「閉鎖経済」を基準に検討され、国際経済システムとの関連を視野に入れつつ考察されているとともに、全時代を通じて財政収支バランスの変化が詳細に分析されている。第4には、政府と民間経済との関係や政府による産業政策の役割に関する考察があげられ、加えて、環境、エネルギー、情報、通信など、現代に通じる視点が取り入れられている点も興味深い。
日本の経済発展に関心を持つ人々に必読の書として薦めたい。
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ということで、必読したいと思います。図書館待ち。