バウドリーノ(下)

制作 : Umberto Eco  堤 康徳 
  • 岩波書店
4.13
  • (24)
  • (29)
  • (13)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 355
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000244282

作品紹介・あらすじ

今こそ聖なる杯グラダーレを返還するために司祭ヨハネの王国への道を切り開くのだ!-皇帝ひきいる軍勢とともに、バウドリーノと仲間たちはいよいよ東方への旅に乗り出すが、待ち受けていたのは思いもかけない運命だった。史実と伝説とファンタジーを絶妙に織りまぜて、エーコが遊びごころたっぷりに描きだす破天荒なピカレスク・ロマン。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 下巻は一気読みでした!もう愉快で楽しくて。
    中世エッセンスがてんこ盛り。
    キリスト教の世界観に科学や哲学、市場で売ってる怪しい薬に東方魔境の世界とかとか。個人的には「真空」についての議論と聖遺物についての諸々のエピソードが楽しめました。あの超有名な聖遺物が出てきたときは思わずニヤリとしましたよ!最後には密室殺人?の謎ときまで。ここでは、謎解きの冷酷さを見ました。私はミステリ好きだけど、解けない謎があってもいいのになあ…としみじみ思いました。
    あとがきにもありましたが、ほんとにエーコ先生楽しんで書いているのが伝わってくるお話でした。
    参考文献も読んでみたくなりましたが、難しそう…。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「中世エッセンスがてんこ盛り。」
      うんうん。
      エーコの本はペダンティックで、知的好奇心が擽られます。
      「中世エッセンスがてんこ盛り。」
      うんうん。
      エーコの本はペダンティックで、知的好奇心が擽られます。
      2013/02/07
  • イカしたほら吹き野郎が、東の果てのそのまた果てにあるって言う伝説の神の国を求めるながいながーい旅のお話。

    そもそも旅に出るまでが意外と長くって、素敵なほらを吹きまくって、成り上がって、だらだらとどうでもいいような討論を繰り返しつつ、旅に出るのか出ないのか…的なくだりが割と続いたりする。歴史的なあれこれも交えて割と退屈なくだりもあったりする。

    でも一度12人のゆかいな仲間たちとの大冒険が始まってしまえば、もうそこからは、驚きと興奮の数々が次から次へと訪れるっていう至福の時間が約束される。

    幻想的な国々と異国的感性の人々、ポップでキュートな怪物たち、あの子とのメロドラマ、嘘で固めた宝物、そして、愛するべきものを守るための最後の闘い…。
    んで、このまま冒険押しで終わるかと思いきや、カラクリまみれの密室殺人の謎が解き明かされる衝撃のラストへと展開してく。

    つまり、歴史小説、青春小説、冒険小説、推理小説が、語り方を変えつつ、時間と空間をうまく飛び越えながら、横断的に成立してる。しかもそのどれもが、バウドリーノという一人のほら吹き野郎の愛とか友情とかにまつわる内面的なあれこれと密接に結びつきながら、一つの大きな流れを作ってて、伝記文学として華麗すぎるほど素晴らしくまとまってる。人の一生には、歴史も青春も冒険も、推理ですら欠かせないわけですな。

    とにかく、下巻に入ったらあっという間。最高ですじゃ。

  • ウンベルトエーコ 「 バウドリーノ 」中世ローマの司祭ヨハネ伝説のパロディー。「歴史は神が作るもの」というキリスト教的歴史観や神学論争(無神論、三位一体説)を批判?

    歴史は神が作ったものというキリスト教的歴史観の批判
    *バウドリーノが語る嘘(未来)が 現実になる=神が語る(またはイエスが語る)言葉が 現実になる
    *最後は 嘘が現実にならず 悲劇へ

    父と子の関係(神とイエスの関係)で物語が展開
    *フリードリヒとバウドリーノ、実父とバウドリーノ
    *バウドリーノと子、バウドリーノとニケタス

    神学論争の批判?
    *三位一体説(父、子、精霊)から 神を定義できない
    *神は目的なき意思〜存在する 存在しないとも言えない

  • 終わったかに見えたバウドリーノの旅は終わらず、聖杯の探索は闇に消え、聖ヨハネの国は東方に鎮座し続ける。

  • 下巻は、バウドリーノが司祭ヨハネの王国目指す話が中心となり、上巻と違って幻想的・空想的な雰囲気になる。そして、最後にコンスタンティノープルに戻り、上巻初めのニケタスに出会うところまで戻ってくる。

    「薔薇の名前」や「フーコーの振り子」と異なり、圧倒的な量の知識が繰り出される感じではなく、期待していたエーコらしさはなかった。冒険譚という色彩が強く、自分としてはそこまで好きにはなれなかった。

  •  それにしても盛りだくさんの小説である。話は歴史家ニケタスが聴き取るバウドリーノの生涯なのだが、話を聞き終わってそれをどうしようかニケタスはある賢者に相談する。そんな嘘つきの話、歴史書に書いては駄目だ。バウドリーノの話はきっといずれ誰かが語る、バウドリーノ以上の嘘つきが。というのがオチ。

     上巻はほぼ歴史小説の体裁をとる。ローマ法王との権力抗争において神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒに権威を付与するため、東方の司祭ヨハネの国からフリードリヒにグラダーレ(一応、聖杯らしいのだが、本当はそれが何だかバウドリーノたちにもよくわからない)を贈るという文書をバウドリーノはでっち上げるのだが、そういう怪文書は現実に存在したということで、こうした部分が虚実をない交ぜにした語り口。ところが話は二転三転、フリードリヒがグラダーレを司祭ヨハネに届けに行くということになる。

     下巻の最初は、飲んだくれた実父の死に目に遭うバウドリーノが描かれるが、そこで彼はグラダーレを「発見」する。何をグラダーレとして「発見」するかはだいたい話としてみえているのだが。
     グラダーレを手にして、フリードリヒは司祭ヨハネの国へ向かう決心をするが、彼は途中で客死してしまう。それはいささか不可解な死で、殺人だとすると密室殺人事件なのである。
     皇帝は死ぬが、バウドリーノとその仲間は司祭ヨハネの国を探す旅を続ける。これ以降は空想小説。完全に真っ暗な森や、石が流れる大河などの奇怪な土地、奇妙な動物や、一本足やら首なしの亜人類たちが多数登場する。それを語っているのがバウドリーノであるから、大ボラ話である。そしてついに司祭ヨハネの国の手前の助祭ヨハネの国に到達する。
     ロマンスあり戦闘ありで、しかし、冒頭でコンスタンチノープルに現れたバウドリーノが歴史家ニケタスに人生を語るという枠組みがあるわけで、冒険のすえ、バウドリーノたちはコンスタンチノープルにまで戻ってくるのはお約束。そこで話はミステリーになって、皇帝殺人事件の謎解きは二転三転どころか五転くらい。そのあとは宗教説話となったか それにしても盛りだくさんの小説である。話は歴史家ニケタスが聴き取るバウドリーノの生涯なのだが、話を聞き終わってそれをどうしようかニケタスはある賢者に相談する。そんな嘘つきの話、歴史書に書いては駄目だ。バウドリーノの話はきっといずれ誰かが語る、バウドリーノ以上の嘘つきが。というのがオチ。

     上巻はほぼ歴史小説の体裁をとる。ローマ法王との権力抗争において神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒに権威を付与するため、東方の司祭ヨハネの国からフリードリヒにグラダーレ(一応、聖杯らしいのだが、本当はそれが何だかバウドリーノたちにもよくわからない)を贈るという文書をバウドリーノはでっち上げるのだが、そういう怪文書は現実に存在したということで、こうした部分が虚実をない交ぜにした語り口。ところが話は二転三転、フリードリヒがグラダーレを司祭ヨハネに届けに行くということになる。

     下巻の最初は、飲んだくれた実父の死に目に遭うバウドリーノが描かれるが、そこで彼はグラダーレを「発見」する。何をグラダーレとして「発見」するかはだいたい話としてみえているのだが。
     グラダーレを手にして、フリードリヒは司祭ヨハネの国へ向かう決心をするが、彼は途中で客死してしまう。それはいささか不可解な死で、殺人だとすると密室殺人事件なのである。
     皇帝は死ぬが、バウドリーノとその仲間は司祭ヨハネの国を探す旅を続ける。これ以降は空想小説。完全に真っ暗な森や、石が流れる大河などの奇怪な土地、奇妙な動物や、一本足やら首なしの亜人類たちが多数登場する。それを語っているのがバウドリーノであるから、大ボラ話である。そしてついに司祭ヨハネの国の手前の助祭ヨハネの国に到達する。
     ロマンスあり戦闘ありで、しかし、冒頭でコンスタンチノープルに現れたバウドリーノが歴史家ニケタスに人生を語るという枠組みがあるわけで、冒険のすえ、バウドリーノたちはコンスタンチノープルにまで戻ってくるのはお約束。そこで話はミステリーになって、皇帝殺人事件の謎解きは二転三転どころか五転くらい。そのあとは宗教説話となったかと思うと、齢60を越えるバウドリーノは、再び旅立つのである。

     それにしても中世キリスト教徒のフェチぶりがひとつのテーマといっていいくらい描かれている。「聖AがBのとき使ったC」の類(聖杯もそのひとつ)を地元の教会に持ち帰って一旗揚げようというわけ。そこでバウドリーノたちもいろいろ偽造するのだ。まあ、いまの日本人だって、「AKBの誰某が使ったなんとか」といった「聖遺物」をヤフオクで売ってたりする。しかし偽物であろうとそれをみて高まる信仰心は本物だとニケタスに語らせるのがエーコらしい。と思うと、齢60を越えるバウドリーノは、再び旅立つのである。

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介
    ローマ帝国フリードリヒ1世の養子となった農民の子バウドリーノの破天荒な生涯。

  • 11/28 読了。

  • 中世とキリスト教の膨大な知識を元に楽しんで書いたんだろうなーとは思うものの、面白いというにはイマイチ...。自分のレベルがそこまで到達していないということか。

全34件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)
1932年1月5日 - 2016年2月19日
イタリアの作家・評論家・研究者。イタリア共和国功労勲章受章者。
1980年に小説『薔薇の名前』(lI nome della rosa)を刊行。それまでの中世美学や記号論の知見や研究成果をふんだんに用いて、フィクションの記号論的分析、聖書分析、中世思想研究、文学理論などを盛り込んだミステリー作として全世界でヒットし、映画化もされた。その他の小説作として『フーコーの振り子』(Il pendolo di Foucault)、『前日島』(L'isola del giorno prima)、『プラハの墓地』(Il cimitero di Praga)、『バウドリーノ』(Baudolino)など。
本来の出自である美学者・記号論学者としても、『中世美学史』『記号論』『ウンベルト・エーコの文体練習』など、世に知られた作品は数多い。

バウドリーノ(下)のその他の作品

バウドリーノ(上) ハードカバー バウドリーノ(上) ウンベルト・エーコ

ウンベルト・エーコの作品

バウドリーノ(下)を本棚に登録しているひと

ツイートする