亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠

著者 : 柳澤協二
  • 岩波書店 (2014年4月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000247863

作品紹介

「積極的平和主義」を掲げ、日本版NSCの設置、秘密保護法の制定、そして、集団的自衛権の行使容認へと舵を切った安倍政権。その裏で歴史認識をめぐり近隣諸国との軋轢は増し、靖国参拝により米国までが「失望」した。隣国の軍事的"脅威"を煽り、理念独走の安保政策がいかに「国益」を毀損するのか、正面から検証する。

亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠の感想・レビュー・書評

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  • 集団的自衛権の行使が何故、必要なのか。いつだったか、
    夕方6時から安倍晋三が会見をおっぱじめてテレビ・ニュース
    の時間に生中継された。

    「戦争をする訳ではありません」

    嘘つけ。アメリカの艦船が攻撃されたら日本が守る?それ、
    既に「戦闘」じゃないのか?それとも戦闘になったら「すいま
    せん。うち、守ることはできますが戦争は出来ないんで。じゃ」って
    その場を離れるのか。そんな訳ないじゃ~ん。

    さて、本書。著者は2004年から2009年まで内閣官房副長官補を
    務めた元防衛官僚。著者に言わせると安倍晋三が何をしたいの
    かを分析しているのだが、結論から言ってしまえば「やりたいから、
    やる」なのだ。

    おいおい…。集団的自衛権の行使容認も、憲法改正も「僕ちゃん、
    やりたいんだもんね。特に根拠はなんだもんね」なのかよ。本当に
    愚かなお坊ちゃんだよ。

    先の記者会見でも「私は思います」ってフレーズが何回か登場した。
    あんたが思ったらなんでも変えられるのかよ。しかも、「これまでの
    政府の憲法解釈は間違っていた」って随分上から目線じゃ~ん。

    現在、連立を組む公明党との協議真っ最中だがその公明党に
    対しても前日までは入ってなかった「等」を加えた文書を平気で
    配る暴走の仕方。そりゃ、北側さんだって呆れるわなぁ。

    「日本を 取り戻す」。安倍自民党のポスターにあったキャッチ
    コピー。あたしゃ安倍政権から日本を取り戻したいよ。

    先の大戦後、日本は他国で一般市民に銃を向けることをせず
    に自衛隊のPKO活動等で信頼を得て来た。もし、アメリカと
    一緒になって戦争をすることになったら、そんな信頼も崩れ、
    アメリカ同様にテロに怯える国になるのか。

    憲法で縛られる人たちが、憲法改正を叫ぶ危うさ。そして、
    周りをイエスマンで固めて、自分のしたいことに前のめりに
    なる安倍晋三のデタラメ。

    日本版NSCが誕生し、特定秘密保護法が出来、武器輸出三原則
    は見直され、そして集団的自衛権の行使容認を急ぎ、憲法改正に
    結びつけようとする安倍政権は、日本を亡国に導きたいのか。

    あぁん?平和ボケだと?いじゃないか、平和と自由が一番なんだ。

  • 「立憲主義と解釈改憲」という項目で、以下のことが書かれていた。
    立憲主義とは、人権を担保し、政府の無制限の権力行使に歯止めをかけ、主権者の意思に基づく社会秩序を形成するための近代民主主義の根本原理である。
    一言で言えば、政府の権限の限界を憲法によって規定することだ。
    したがって、政府の解釈によって憲法の内容を変えることは、基本的に許されない。

    この基本的な原理原則を理解できない、安倍ちゃんが総理大臣を務めている間は、自分の趣味・思い付きで国政を揺るがす大事なことであっても、自分の好きなようにことを運ぶだろう。

    日米同盟の宗主国アメリカさんもこまっているのかもしれません(笑)。

    それにしても、立憲主義という原理原則のなかで、日米同盟の運用を実務家として努めてきた防衛官僚の頭脳は流石だと思いました。

  • 読めば読むほどに、安倍晋三政権が『集団的自衛権の行使容認』によって何を達成したいと考えているのかがわからなくなりました…あの閣議決定の後の極めて情緒的な、筋道も何もない説明もどきの会見の時にも抱いた得体の知れない狂信者の妄言の気持ち悪さ、収まりの悪さを更に強くした気がします。

    言葉狩りに引っかかるかもしれませんが、キチガイに刃物とはよく言ったもんです。安倍晋三から政権を取り上げるマトモな政治家はいないのだろうか!?

  •  小泉、第一次安倍、福田、麻生政権時に内閣官房副長官補を歴任、日米防衛協力の指針(ガイドライン)策定にも携わった筆者による第二次安倍政権による安保政策の検証。筆者のような立場の人物さえ、その逸脱・暴走ぶりに強い懸念を表明しなければならないほど、現在の官邸の安保政策は立憲国家として常軌を逸している(論理的に理解できない)ということなのだろう。戦後日本の防衛官僚らしい、理詰めの法制度論が勉強になった1冊。

     筆者の見解をまとめると、要するに(1)安倍政権の官邸は、国家安全保障を人質に、いわば〈宮廷クーデター〉を行おうとしている、(2)集団的自衛権とはつまり他国の安全を守るための行為なので、どんなに事例を掻き集めても「日本の安全の脅威」にはならない、そもそも政府が示しているケースはすべて個別的自衛権や従来の法的枠組みで対応できるものか、そもそも想定自体に問題があるものばかりである、という2点。ならば、なぜ法理的にも制度的にも不必要で筋の通らない政策目標が強引に追及されているのか? 問題は、そこにまるで論理的な説明が欠けており、政権内部にもそれらしきヴィジョンがまったくないことである。筆者は、祖父・岸信介の「継承」という理由を挙げているが、そのような合理性をこえた怨念・情念にもとづくものと考えるほかに理解のしようがない、というわけだ。

     さて問題。ならばどうして、日本の「優秀な」官僚機構は、安倍晋三と菅義偉のなすがままにさせているのだろうか。また、どうしてアジアの政治的緊張を好まないはずの財界が、安倍一派を支持しているのだろうか。安倍内閣の合理性の欠如と知性と論理の蔑視は途方もない域に達している。にもかかわらず、メディアも、官僚も、経済界も、鳩山内閣のときのようなサボタージュを起こす気配が見えない。いったいどうしてなのか?

  • 何を目的としているのかが曖昧な安倍政権が何を目指しているのか、そこに軍事的にも法的にも合理性があるのか迫る本。
    NSCの設置にあたって、例えば311やイラク戦争支持する際にNSCがあったらどうだったのって検証作業もなかった。特定秘密保護法では秘密保護法がないから他国から情報が貰えないって議論があったけどいつ法制度の不備で情報を貰えなかったかって検証もない。メディアも見当外れの批判をするばかり。集団的自衛権については日米同盟の双務性を高めて米国と対等な同盟をってことだと思われるが、自衛官の血を流して何を米国に言おうとしてるのか、そしてそれは国際社会に通用するのか、有益なのか。集団的自衛権の行使の要件も曖昧で総理大臣に丸投げで武力行使の歯止めがない。また、米国が自衛隊の積極的な援護を要しないばかりか余計なお世話でしかなく、日本に求めることは日本の個別的自衛権の行使で充分なこと。
    などなど、元実務者の視点からいろいろ書いてもらってて自分の頭で考える時に大変参考になります。

  • 安倍首相は、集団的自衛権などをめぐる憲法解釈の見直しについて、「具体的事例に即して国民の理解を得たい」と述べている。一方、安保法制懇のメンバの中では、具体例はあくまで例示であって、従来の憲法解釈が間違っているので改めるべきだ、という考え方が多数を占めているようだ。
    前者の立場では、集団的自衛権が必要とする事例が重要な意味を持つ。それは、単なる説明のための便宜的な想定ではなく、憲法解釈がなぜ必要となるのか説明するための立法事実に該当するものであるから、国際情勢を踏まえた厳密な政治的・軍事的検討がなされなければならない。

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