過去からの行進(上)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 15
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000258340

作品紹介・あらすじ

軍政時代末期の韓国。留学した在日韓国人の韓成三は、ある日突然南山(KCIA)に連行され、激しい拷問を受ける。なすすべもなく屈服し、「忠誠国民」を誓って出所したものの、心身ともに深い傷を負い、日本に帰ったあとも、酒に浸り、魂の抜けたような日々を送る。七年後、その彼の家に、彼を拷問した情報部の人間から電話がかかってくる…。ひとたび自分を崩壊させた人間は、どうすれば誇りと人生を取り戻せるのか?名作『火山島』の作者が描く、人間「復活」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 全くの前知識なく読み始めました。
    最初辛かったです。
    全く意味がわかりませんでした。
    基本的には、在日朝鮮人と国家権力としての韓国とのかかわりあいを描いた小説ですが、彼らのあいだに横たわる歴史や事情・事件に対する知識がないと、なかなか理解が難しい。
    ですが、我慢して読み進めていくと、なんとなくですが、わかってきます。
    そして、韓国っていうのは、ひどい国だなあ、と感じるようになります。
    先にも書きましたが、最初は意味不明でしたが、後半はなかなか迫力のある内容でした。
    結構、面白かったです。
    でも、きっと韓国という国が嫌いになります。

  • 重い。全く知らなかった済州島四・三事件について繰り返し書かれている。そして、韓成三(ハンソンサム)が、ソウルで安全企画部(旧KCIA)に連行され、南山に連れて行かれる。南山での取り調べと拷問。本当の拷問・訊問とはこういうものなのだ。それにしてもこわい。人間をここまで変えてしまうとは。

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著者プロフィール

1925年生まれ。小説家。「鴉の死」(1957)以来、済州島四・三事件を書きつづけ、1万1000枚の大長編『火山島』(1976~97)を完成。小説集に、『鴉の死』(新装版1971)、『万徳幽霊奇譚』(1971)、『1945年夏』(1974)、『遺された記憶』(1977)、『幽冥の肖像』(1982)、『夢、草深し』(1995)、『海の底から、地の底から』(2000)、『満月』(2001)、『死者は地上に』(2010)、『過去からの行進』(2012)など。『火山島』の続編『地底の太陽』(2006)に続き、2019年に続々編「海の底から」の連載(岩波書店『世界』)を完結。その他に『満月の下の赤い海』、『新編 鴉の死』(共にクオン 2022)。評論集には、『ことばの呪縛――「在日朝鮮人文学」と日本語』(1972)、『民族・ことば・文学』(1976)、『「在日」の思想』(1981)、『故国行』(1990)、『転向と親日派』(1993)などがある。

「2023年 『金石範評論集Ⅱ 思想・歴史論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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