飼い喰い――三匹の豚とわたし

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000258364

感想・レビュー・書評

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  • 3.5 三匹の豚を自分で育てて自分で食べる、というドキュメンタリー。ペットと家畜の境界線、他の命を奪って生きるということを考えさせられます。

  • 養豚の体当たりルポタージュですね。私はにおいとか虫とかできっと養豚には抵抗あるけれど、著者はそれをやってのけて凄いと感じました。

    やはり、というかなんというか、あれだけ苦労したのに得られる金銭的な報酬がこれだけ?というくだりには引きつけられてしまいました。
    養豚業者が大規模化、少数化していくのはいたしかたのないことだとしても、労力に対しては割に合わないと感じてしまいます。。。

    いち消費者としてただ豚肉を買う、ではなくてどうやって店頭に並べられるところまできたのか、どんな戦略で作られたのか、想像できるようになっているだけでも、行動が変わってくるのでは、と思っています。

  • なかなか面白かった。
    愛着がわきつつも、食べるものとしても認識してて、
    不思議な感覚だなぁ。

    それにしても、畜産って毎日の努力なんだなぁ。

  • 飼っていた豚を食う、という話では以前ヒドい作品に巡り合っている(食堂かたつむり)ので、各所からお勧めされていたこの本も、実はかなり長いこと躊躇していたのだけど、なんでか知らんけど、読むべき時がきたような気がして読んでみた。
    結果からいうと読んで良かった。

    「命を戴いて生きている」っていう表現は、使いようによっては暴力になったり、政治になったり、ヒステリックになったり、単なる悪趣味になったりするので難しい。
    例えば捕鯨問題や犬食いの問題を考えてみる。食生活というのは文化であり、食料供給というのはとてつもなく大きな経済活動であるので、そこに政治が絡んだり思想が絡むとややこしくなる、さらには宗教のタブーが出てくる。とにかくなんやかやとめんどくさいことが出てきて、その多くがヒステリックだったり、怪しげだったりして近寄りたくないのである。

    個人の趣向としても難しい。
    アミエビを針に刺せず、釣った小アジを針から外せない人が、帰路の飯屋でシラス丼をかっ込んでたりする。
    焼き肉食べ放題でヨロレイヒー、と歌った口がドナドナを歌う。

    自分の中にも矛盾があると充分に分かっているが、その矛盾に向き合うのが怖い気もする、「命を戴いて生きている」問題は人生の根源を揺さぶりそうになるくらい奥が深い。底の浅い俺が考えても、立派な哲学ジャンルだと思う。

    そういうテーマを扱う時、ヒステリックだったり、過度に倫理を語ったり、逆に露悪的だと一気に読む気が失せる。
    しかし、この本、その点について作者の立脚姿勢がしっかりしているから安心して最後ま読めた。本人も感傷的になり、感情的になったのだろうけど、少なくとも「命を戴く」ことについて、どういう風でありたいかをしっかり模索した人だからこそかけたノンフィクションだと思った。

    だからこそ「肉食をやめる、つまりとりこむ生命体を選んだところで、何かを殺していること自体に変わりはない。どこにボーダーを引くのかは、人間の暮らす社会の都合次第でいかようにでも変わる」というような、作者の考えがストンと腑に落ち、「頭蓋骨に塩を水を添えて手を合わせる自分の姿を苦笑する」と書かれていても、カッコつけてるとは思えない。
    それでも合わない人には合わないかもしれない。
    俺も、共感して自分でやってみようなんて、とても思わない。だけど、とても大切なことを考えさせられた。書物の意義というのはそういうところにあるんだと思う。即ち、この本良書である。

  • 豚と生活して、そしてその豚を食べるという。
    もっと食べたときのこと書いてほしかった。
    震災のくだりはなくてもよかった。

  • 文章は真面目な文体できちんとしているが、端々に著者のユーモアがにじんでいて読みやすかった。
    3頭の肉をふるまう食事会で食べ残しを出すのは絶対に嫌だった、肉を食べたときに「戻ってきた、これからもずっと一緒だ」と感じたという作者の気持ちを、一消費者として心に留め置きたいと思う。

  • ウケタ。豚を3匹飼ってみて、食うっていうノンフィクションでした。笑

    豚を3匹、名前までつけて太らせて食う。

    これができるか!っていう感じ。愛着もどんどん湧いてきて、懐かれて、ラスト!どうする!食べるのか!!食べるのか!!!

    っていうねぇ。ある意味ヒューマンストーリー。笑

    その豚との格闘秘話もとても面白く、なかなか読み応えありです。

    ま、結局食ったんだけどね。ラストすごくすごく感激するかと思いきや、ちゃんと処理段階で感情差し込めないような仕組みができてるのがビックリでした。

    とても深い感情の人はどうかわからんが、私なら多分いける。そんなワイルドな一冊。この人の本、マジでオススメです!!

  • <閲覧スタッフより>
    世界の屠蓄現場を取材してきた著者が三匹の豚を愛情を込めて育てた上で、その子たちの肉を食べるという前人未踏の体験ルポ。かわいくて、愛らしくて、美味しい相反するように思えるこの考え方について著者は、正義も善悪もない、人間の意思でありエゴであるとしながらも「動物の死と生と、自分の生存とが有機的に共存することに、私はある種の豊かさを感じるのだ」といいます。
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    所在記号:645.5||ウチ
    資料番号:10212321
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  • これは面白かった。
    みんなが、もっと自分の食べているモノに近づくような生活になれば、ゴミになる食品は減るだろうし、無茶苦茶安い値段で買えることを良しとは考えなくなるだろう。
    (ただし、役人と経済学者をのぞいて)

  • 面白かった。所々イラストで解説してあってわかりやすい(去勢の様子等)。ページ数有るから読み終わるまでに3日かかった。

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著者プロフィール

ルポライター・イラストレーター

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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