総力戦・帝国崩壊・占領 (シリーズ戦争と社会 第3巻)

制作 : 蘭 信三  石原 俊  一ノ瀬 俊也  佐藤 文香  西村 明 
  • 岩波書店
5.00
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 36
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000271721

作品紹介・あらすじ

戦争が社会のあり方を規定していることを「総力戦論」が明らかにして久しい。しかし、戦争の形態が根本的に変化した今、戦争と社会の関係性も変容しているのではないだろうか。戦時から現在に至るまでの両者の関係を、社会学、歴史学、メディア研究、ジェンダー研究、宗教学、記憶論等の観点から読み解き、総合的に捉え返す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/780315

  • 日本帝国の「総力戦」であったアジア太平洋戦争の経験と、帝国崩壊後の脱植民地化と冷戦、そして占領というそれぞれの事態は、いかなる社会変動、文化変容、空間再編をもたらしたかを探る1冊。

    総説末尾の指摘が重い。3年後は、戦後80年。「ほどなく、総力戦と帝国崩壊の経験を明瞭に記憶する人びとは、日本を含む北東アジア・北西太平洋世界から、ほとんどいなくなるだろう」(p.21)。証言者たちがほとんどいなくなったあとには、膨大な記録を読み解き再構成するための方法論と視座、その歴史的作業が求められることにもなるのだとも。

    本書は戦後60年、戦後70年という過去の節目も強く意識しているように思われる。それら節目ごとに多様な研究成果が生まれてきたことに言及してもいる。ただ編者たちによれば、「戦争と社会の相互作用、戦争と社会の関係性そのものを、正面から理論的・実証的に問い直す作業は、総じて課題として残されたままだった」(p. IX)。

    本書はそうした課題を引き受け、今後の動向の方向性を探ろうとする意欲的な試みなのだと思える。しかしながら、ロシア・ウクライナ間で生じている現在進行的な動向によって、本書には別種の意義が生まれてしまっているのだろうとも想像する。いまの状況で見通せないことは多い。多すぎる。が、本書の成果から多くのことを想像したい。

  •  書名の3テーマの中、特に現在の日本領域外での事象に興味を持った。
     日中戦争勃発後、朝鮮人動員のための「内鮮一体」が唱えられるも、教育や権利、社会保障の付与、民族間の壁などにより一律の平等化はそもそも無理。あまり語られてこなかった先島諸島はじめ内地の南方離島での住民疎開や軍務動員。
     帝国崩壊に伴う東アジア民族移動には、脱出・追放・救出・解放の4側面。中国東北の朝鮮人には、国民党は敵視する一方、共産党は現地定着方針。日本占領軍は台湾人と朝鮮人の物理的排除=追放又は同化方針であり、当時の西洋諸国一般の同化方針とも一致。
     戦後南朝鮮では、米軍政は植民地期の警察組織を積極的に利用したことを背景に、米軍政及びこれと結びついた右派勢力による済州四・三事件での虐殺。

  • 東2法経図・6F開架:210.7A/Sh88s/3/K

全6件中 1 - 6件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×