ユダのいる風景 (双書時代のカルテ)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000280952

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  • イスカリオテのユダには
    以前から関心がありました。
    ユダの行動がなければ、
    人類史上最もドラマチックな
    あの出来事は起こらなかったかもしれません。
    イエスの思いも成就しなかったかもしれないのです。
    新約聖書の劇的な物語も、
    今日まで語り継がれることはなかったかもしれませんね。
    また、イエスを裏切ったのは
    ユダだけではありません。
    ほかの弟子たちもみな、
    最後の最後、いちばん大事な場面で
    師であるイエスを裏切っています。
    なのにユダは、ユダだけが、
    悪の権化のように蔑まれ、
    最も憎まれるひとの一人となってしまいました。
    どうしてでしょう?
    ユダはほんとうにイエスを裏切ったのでしょうか?
    それとも自らを犠牲にして
    神のご意思に手を貸したのでしょうか?
    ほんとうのところはわかりません。
    でも、どうやらユダ=悪というイメージは、
    後年創作されたもののようです。
    マグダラのマリアがそうだったように。
    実際ユダを聖人の列に加えようという運動もあったようですし、
    イエスの弟子たちの中でも
    ユダを最高位と考える聖職者もいたようです。
    いずれにせよ、
    ユダの果たした役割は非常に大きなものでした。
    とても興味を惹かれるひとであることは間違いありません。



    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  •       ―20080619

    著者は新約聖書学者にてグノーシス主義研究者。ユダとは誰か、古代・中世・近現代へとユダのいる風景の変遷を辿る、07年刊

  • とても軽く読める「ユダ入門」的な本。著者本人も前書きで言っているように、前著『ユダとは誰か』がユダの聖書学的考察であるのとは対照的に、この本は、聖書や小説を含む様々な「物語」の中で、ユダが文学的にどのように表現されてきたか、に重点が置かれています。「ユダ像の解釈史」といってもいいかも。ただ、聖書を解説した前半は、軽すぎて説明不足になっているので、前半部分を詳しく理解したい場合は『ユダとは誰か』を読むことをおすすめします。

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著者プロフィール

あらい・ささぐ氏は、1930年生まれ。東京大学教養学部、同大学院西洋古典学専攻を経てドイツ・エアランゲン大学で神学博士を取得。原始キリスト教史・グノーシス研究に開拓的な業績がある。現在、東京大学および恵泉女学園大学名誉教授、日本学士院会員。著書『荒井献著作集』(全10巻+別巻、岩波書店)、『使徒行伝』上中下(新教出版社、現代新約注解全書)ほか多数。

「2018年 『キリスト教の再定義のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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