『史記』と『漢書』: 中国文化のバロメーター (書物誕生-あたらしい古典入門)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000282833

作品紹介・あらすじ

後世に大きな影響を与えた点で、いずれもひけをとらない『史記』と『漢書』。しかし、どちらをより優れた歴史書とみなすかは、時によって変化してきた。文体も、儒教との距離のとり方も、そして作者の生き方も対照的な二書を、それぞれの時代の人々がどう読み、どう評価したか-その読書史を探っていくと、逆にその時代の様相や歴史観、文学観が照らし出されてくる。本書では、歴史家の使命が語られる『史記』列伝冒頭の伯夷列伝や、『漢書』の風変わりな歴史人物ランキング「古今人表」など、原典に即して司馬遷や班固の思考を読み解きながら、『史記』と『漢書』の二〇〇〇年の旅路を読者とともに散策する。

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    後世に大きな影響を与えた点で、いずれもひけをとらない『史記』と『漢書』。
    しかし、どちらをより優れた歴史書とみなすかは、時によって変化してきた。
    文体も、儒教との距離のとり方も、そして作者の生き方も対照的な二書を、それぞれの時代の人々がどう読み、どう評価したか―その読書史を探っていくと、逆にその時代の様相や歴史観、文学観が照らし出されてくる。
    本書では、歴史家の使命が語られる『史記』列伝冒頭の伯夷列伝や、『漢書』の風変わりな歴史人物ランキング「古今人表」など、原典に即して司馬遷や班固の思考を読み解きながら、『史記』と『漢書』の二〇〇〇年の旅路を読者とともに散策する。

    [ 目次 ]
    第1部 書物の旅路―『史記』と『漢書』の二〇〇〇年(正史としての『史記』『漢書』;『史記』と『漢書』のちがい;司馬遷の生涯;班固の生涯;『史記』と『漢書』の読書史―『漢書』の時代;中唐における『史記』ルネッサンス;印刷時代の『史記』と『漢書』;『史記評林』と『漢書評林』;結び―東西の両横綱としての『史記』と『漢書』)
    第2部 作品世界を読む―文字の背後にあるもの(歴史家の弁明―『史記』「伯夷列伝」を読む;劉邦は「逃げた」のか、「跳んだ」のか;『漢書』「古今人表」)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 09/1/7 
    意外な著者の人選。=⇒『史記』と『漢書』の時代による読まれ方・好まれ方の歴史を読み解く

    紙が,後漢に発明された???(藤枝晃 『文字の文化史』など,考古学などは視野に入っていない?)

    陰陽を治めるのが,上級官僚のお仕事:

    8./新校本史記三家注/新校本史記/世家/卷五十六陳丞相世家第二十六
    -2061-

      居頃之,孝文皇帝既益明習國家事,朝而問右丞相勃曰:「天下一歲決獄幾何?」勃謝曰:「不知.」問:「天下一歲錢穀出入幾何?」勃又謝不知,汗出沾背,愧不能對.於是上亦問左丞相平.平曰:「有主者.」上曰:「主者謂誰?」平曰:「陛下即問決獄,責廷尉;問錢穀,責治粟內史.」上曰:「苟各有主者,而君所主者何事也?」平謝曰:「主臣![一]陛下不知其駑下,使待罪宰相.宰相者,上佐天子理陰陽,順四時,下育萬物之宜,外鎮撫四

    -2062-
    夷諸侯,內親附百姓,使卿大夫各得任其職焉.」孝文帝乃稱善.右丞相大畕,出而讓陳平曰:「君獨不素教我對!」陳平笑曰:「君居其位,不知其任邪?且陛下即問長安中盜賊數,[二]君欲彊對邪?」於是絳侯自知其能不如平遠矣.居頃之,絳侯謝病請免相,陳平專為一丞相.

    『漢書』卷七十四

      魏相丙吉傳第四十四
    吉又嘗出,逢清道群鬥者,死傷?道,[一]吉過之不問,掾史獨怪之.吉前行,逢人逐牛,牛喘吐舌.[二]吉止駐,使騎吏問:「逐牛行幾里矣?」掾史獨謂丞相前後失問,或以譏吉,吉曰:「民岗相殺傷,長安令﹑京兆尹職所當禁備逐捕,歲竟丞相課其殿最,奏行賞罰而已.宰相不親小事,非所當於道路問也.方春少陽用事,未可大熱,[三]恐牛近行用暑故喘,此時氣失節,恐有所傷害也.三公典調和陰陽,職(所)當憂,是以問之.」掾史乃服,以吉知大體.

      [一] 李奇曰:「清道時反群鬥也.」師古曰:「清道,謂天子當出,或有齋祠,先令道路清淨.」
      [二] 師古曰:「喘,急息,音昌兗反.」
      [三] 師古曰:「少音式邵反.」

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著者プロフィール

東京大学東洋文化研究所教授(中国文学)。『冒襄と『影梅庵憶語』の研究』 (汲古書院、二〇一〇年)、『明末江南の出版文化』(研文出版、二〇〇四年)、『馮夢龍『 山歌』の研究 中国明代の通俗歌謡』(勁草書房、二〇〇三年)

「2015年 『日本人は日本をどうみてきたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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