- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000284530
作品紹介・あらすじ
ライトノベル作品に氾濫する奇妙で特徴的なイメージ群。そこには、若者たちの意識、感覚、イマジネーションを探る重要な手がかりがある。日本社会の「いま」を窮状ととらえ、そこで生きるがゆえに、韜晦のスタイルをとらざるをえない若者たちの、不思議な抵抗の姿を探る。
感想・レビュー・書評
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三葛館一般 367.6||WA
若者の気分シリーズ
和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=61579詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会学哲学者による本格的な「ライトノベル社会論」。
ライトノベルは、「字マンガ」と揶揄されるほど、文学的な価値を見出されてこなかった。
しかしながら、著者の多くが大卒であり、フーコー、アガンベン、ジジェクといった思想家の影響を濃く受けている作品もあるという。
本書では、ライトノベル=「若者による若者のための創作」という観点から、そこに「若者の気分」を見出すことに挑戦している。
そこから見えてくるものは「生きづらさ」である。
登場人物をして吐露される「生きる苦しみ」「理不尽な世の中へのあきらめ」は、彼らの心情を的確に表現し、だからこそ、若者に受け入れられてきた。
また、涼宮ハルヒに代表される極端なキャラクターも、自分の気持ちを抑制せざるを得ない「シャカイ」に生きている自分との対比があるからこそ、読者に魅力的な存在となる。
そして、ライトノベルは「想像上の社会転覆作業」であり、「社会閉塞の現実を生きる若者たちとの心性」と密接に関わり、「ゼロ年代の社会変動を生きる自分たちにゆさわしいユートピア」の探求であると、本書は指摘している。