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ブランコのむこうで・にぎやかな部屋 (1975年) (星新一の作品集〈15〉)
- 星新一
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2020年1月2日
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つけびの村 噂が5人を殺したのか?
- 高橋ユキ(タカハシユキ)
- 晶文社 / 2019年9月25日発売
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2013年に山口県の限界集落で起きた連続殺人放火事件。フリーライターの筆者が現場を歩いたドキュメントが『つけびの村』(高橋ユキ著・晶文社刊)です。
実際に起きた事件を取材したノンフィクションは枚挙にいとまがありません。なかでもとくに僕が『つけびの村』に引かれたのは、この事件の犯人に自分と同じ匂いを感じたからかもしれません。自分も彼のように周囲から孤立し疎外されつつあるのではないかと……。
はじめに本書を手にしたとき、ブックデザインがライトで洗練された印象を感じました。事件もののドキュメント本っておどろおどろしい装幀が多いですが、これはオシャレでちょっと持ち歩きたくなります。内容に反して(笑)。
文章もフットワークが軽くテキパキして、なおかつ村の雰囲気や取材相手をいきいきと描き出しています。
序盤、本書の取材のきっかけとなった日本古来の風習「夜這い」についての説明が続いたあと、章が変わって現代の工業地帯となった山口県周南市の姿が描かれる、このカメラがパッと切り替わる感じがゾクゾクさせ、読み手を本の中へ引きこみます。
事件が起きた集落へ向かう道の途中にはなぜかあやしいUFOのオブジェ。まさに異世界への入口を示すよう。廃墟となった犯人のあばら家をはじめ、村の風景、出会う村人、それらが徹底して筆者の目線で描き出され、読み手の目にも浮かんでくるようです。たんに事件の過程を追っただけでなく、取材して歩く作者の五感が伝わってくる生々しい手記という印象です。
「いい人間ばっかし思ったらダメよ……」「田舎には娯楽はないんだ、田舎には娯楽はないんだ。ただ悪口しかない」「お父さん、お母さん、ごめん。お姉ちゃん、お姉ちゃん、ごめんね」
犯行後に犯人が持っていたICレコーダーには遺書ともとれる言葉が残されていました。
事件前、犯人が東京に暮らしていたころの知人は取材を受けてひと言、もらします。「ホミちゃん、ありがとう」
これらのエピソードから事件はただ陰惨なだけではなく、別の印象が立ち上がってきます。
犯人は根っからの極悪人ではなく、年老いた親の面倒を見るため、さびれゆく集落を活性化させるために故郷へ戻ってきたそうです。しかし土地の人間たちと信頼関係が築けず孤立してしまう。
村の人々にとって信頼を得る手段は、自治会や村の行事へ半強制的に参加することで、それってイナカのけっこう嫌がられるポイントだったりします。けれどもそこを通過しなければ彼の村おこしの輝かしい理想も実現できないのです。人との信頼関係って何だろうと思わず我が身を振り返ってしまいます。
この事件が注目をあびたのは僕らが忌み嫌い、目をそむけてきた古いムラ社会の陰湿さがさらけだされたからでしょう。犯人のつけた火は、静かな村にひそむ悪意をあぶりだしたのです。
僕の住んでいる東京郊外の町もずいぶん空き家が増えました。人口が減り続け、やがて「限界郊外」になってしまう日がくるかもしれません。そんな郊外で孤立する人々は、本書に出てくる村人たちと同じような心の闇を隠し持っているのではないでしょうか。
著者の高橋さんには、次回はそんな僕たちに身近な郊外にひそむ問題をテーマにした著作を期待しています。
https://note.com/sio_note/n/nb9bf9adbf9a8
2019年12月25日
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紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記
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昭和が終わる頃、僕たちはライターになった
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映画、見てますか〈part2〉スクリーンから読む異文化理解
- 長坂寿久
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本谷有希子の この映画すき、あの映画きらい
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星か獣になる季節 (ちくま文庫)
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オストリッチ・コンプレックス―あなたはダチョウ人間になっていないか?
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横尾忠則 ggg Books 28(スリージーブックス 世界のグラフィックデザインシリーズ28)
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時代劇の作り方 プロデューサー能村庸一の場合
- 能村庸一
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宇野亜喜良 ggg Books 26(スリージーブックス 世界のグラフィックデザインシリーズ26)
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- トランスアート / 1998年1月1日発売
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押井守の映像日記 TVをつけたらやっていた
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途中から見る、日常の用事の合い間に一部分だけ見る、何度も繰り返し見るなど、TVでの映画鑑賞スタイルが自分と同じ。
いぬ好き、おかっぱ好きをPR
2019年11月1日
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地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)
- 山下祐介
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人口消滅レポートへの批判本。
2019年11月1日
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都市に住む知恵―バンコクのショップハウス (建築探訪)
- 安藤徹哉
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若者の貧困・居場所・セカンドチャンス
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まさか発達障害だったなんて 「困った人」と呼ばれつづけて (PHP新書)
- 星野仁彦
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本書の著者とは同世代。著者の親はずいぶんひどく書かれているが自分の親にも似たようなところがあるなと理解できる気がする。著者の親との問題の根底には発達障害だけでなくジェネレーションギャップもあるような気がする。
2019年8月17日
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ニューヨークが見えてくる
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海外がまだ庶民には遠かった時代、アメリカで生活した体験やその土地の事情を本にすれば売れた時代だったようだ。
2019年6月23日