- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000287586
作品紹介・あらすじ
リスク管理はまたあらたなリスクを生む。国境横断的な連動リスクに対応する「共通の安全保障」の深化のために、いま何ができるのか?「コモンズ」概念を基礎に個別を超え、人間本位の安全保障とそのための協力可能性を追究する。本巻では、リスクの包括的マッピングを行った上で、金融、食料、資源、移民、感染症といった個別リスクを分析。さらに、武闘派イスラーム主義、テロ、内戦、援助、災害といったより政治性の高い現象を扱い、シリーズ最終巻としてグローバル・コモンズを耕す人々の、また、国のあり方を展望する。
感想・レビュー・書評
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関心を持った章を拾い読み。
感染症の章は、新型コロナ政府分科会委員の東北大押谷教授。本書刊行の2015年時点で過去20年の主な新興感染症を挙げているが、死亡者が最多なのが新型インフルエンザの全世界20万人なので、現在のコロナの桁外れぶりが分かる。また日本の感染症危機管理の脆弱性も指摘。一方、経済活動などの規制とのバランスという視点がないのは、筆者が医療専門家だからか、又はこれまた現在のコロナが桁外れだからか。
中東政治の章では2011年代以降のイスラーム主義の政治化を指摘。著者の分析では、かつてのアラブ・ナショナリズムが、79年の政変動以降に利益優先志向の対外関係に変質。しかし米が関与を減らすと域内国は自ら行動を起こすようになり、また域内政治の再編のためにイスラームや宗派を正当化論理に使うようになったという。
テロの章では、冷戦後のテロの潮流として、ナショナルからトランスナショナルへ、CBRNの使用という変化を挙げる。この流れの中で、日本のテロ対策も、従前の発生後の犯罪捜査から未然防止や事前の被害管理、また国際協力へ質的に変化しているとのこと。詳細をみるコメント0件をすべて表示