日本再生の基軸――平成の晩鐘と令和の本質的課題

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000614030

作品紹介・あらすじ

日本は平成をどのように生きたのか? 勃興するアジア経済を横目に、三〇年前一六%だった日本の世界GDPシェアは今や六%まで落ち込んだ。食と農を切り捨てた「工業生産力モデル」の成功はデジタル経済への構造転換の足かせとなっている。戦後日本を再考し、転換期の世界の中で日本の未来を拓く「全体知」を探る。同時代人、内田樹氏との対談を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 寺島実郎の話を一度聴いてみたいと思っていたが、中々その機会に恵まれない。そこでこの本に巡り会った。三年前に書かれた本だが、今と左程変わりない。古さが感じられない。
    世界の中で日本が益々米国の代弁者になっていく。そして、アジアの中でも、孤立する国になりつつある。実体経済を無視した超低金利政策。日本は今世界の中で何番目?なんて言えなくなる。
    寺島に偏る訳ではないが、広い視野が必要。未来を明るくする心が必要と思う。

  • 寺島さんの「工業生産力モデルに立つ通商国家からの進化」を、現在の日本は工業社会から情報産業社会への転換に失敗しつつあると理解した。粗雑な工業生産モデルの緻密化に血道をあげている間に、情報産業社会の新しい段階に適応できなかったのだ。人類の自己実現の最終段階である情報産業社会はさらにさらに進展していくだろうから、GAFAを追いかけるだけでなく次の段階をにらんで準備をすることが必要だ。世界はプラットフォームの構築の競争の段階にあるが、脳・神経系産業の興隆によって、人間の5感が開発され、あらゆる産業が情報産業化するコンテンツ創造の段階には至っていない。情報産業社会の本番は今からだ。

    高齢化社会については、参画がキーワードになる。人生100年時代に団塊の世代がどう向き合うかが大事なポイントになるだろう。日本人の先達たちがどのように高齢まで生きて情報を生産してきたかというモデルの発掘が大事になると思う。「遅咲き」などのテーマを追っているわたしの「人物記念館の旅」(900館超)や、「名言との対話」(1500人超)を役に立てたいと思う。

    日本人の精神については人物記念館の旅や読書でわたしも追ってきた。二宮尊徳は「神道一さじ、儒仏半さじづつ」と言っている。新渡戸稲造は「日本は、仏教と神道と儒教の混合体である」「仏教では慈悲心を学び、神道からは忍耐心を学び、儒教からは道徳心を学んだ。これが武士道である。これが日本の精神だ」と語っている。森嶋通夫は「皇室は神道、政府は儒教、庶民は仏教。3つの倫理体系の伸縮的な組みわせが日本の発展に寄与した」と説明している。

    戦後日本が築いてきた平和主義、民主主義を大事に守り、育てていくことが重要だ。それがアジアや世界に向けての強いメッセージになる。「何をするかわからぬ男に任せゐる一国のことも職場のことも」というアララギの歌人・柴生田稔の歌を思い出している。

  • 海外からの視点は、素晴らしいです。
    このような人が、国の中心にいないのが、残念です。

  • 「日本再生の基軸」by 寺島実郎

    今この国の危うさを鋭く指摘する一冊。


    アメリカへの過剰同盟に埋没し、主体的に自らの運命を切り開いていく構造力と行動力のない国。

    政府は1100兆円の借金してまで経済対策をしているというが、勤労世帯の可処分所得は1997年をピークに減り続けている国。

    不安を内在させた小さな幸福に沈潜させ、迫り来る世界経済の変調とリスクの高まりにも見ぬふりをする国民と国。
    etc


    うわべを流れる情報に翻弄されず、自身で考えていく胆力を問われる内容だった。

  • 日本の将来を考える上で大変参考になる内容でした。自分の頭で考え、筋道の通った道を拓く強い意志が必要と。

  • ふむ

  • 東2法経図・6F開架:304A/Te63n//K

  • 2020/04/28寺島実郎日本再生の基軸
    日本の世界におけるシェアを占める地位
    1988年は16% 2018年は6%に下落2050年には1.8%になると言う三菱総研男
    アベノミクスはマネーゲームであり実業である産業と技術そして研鑽と蓄積を直視しない
    リーマンショック後の金融資本主義債務の肥大化資本主義の死に至る病
    IT革命は世界を救えるか?
    日本の内向今ここ私
    次の時代を見据えて大きな構想が必要
    勤労者世帯可処分所得のマイナス
    1997年がピーク2017年は760,000円も低い楼台6労働分配率の低下と社会保険料等の増加社会負担の増加によるこれでは個人消費は伸びない
    不自然な株高は持続しない
    日銀のETF購入31兆円
    GPIFの株式投資54兆円 合計85兆円
    世界が米中2曲体制の中で日本の自立を
    枢要な政策を自己決定
     安全保障 エネルギー 食料

    3つのメガトレンド
    アジアのダイナミズム
    デジタルトランスフォーメーション
    高齢化社会への対応 都市郊外型

    戦後日本のパラダイム転換
    第一次産業人口 50%→3%
    エネルギー 石炭→石油
    輸入額 食料7兆円 燃料19兆円

    ガバナンスの確立を!
    日本は説明責任なく、無責任の体系。
    短期的評価に振り回されて
    日本人は貧乏くさくなった 内田樹

    長期的持続可能な巨視的ビジョンを!
    都度の思い付き対応はダメ

  • 金融資本主義、リフレ経済学は人を幸せにしていない。
    それでも安倍政権は、それをすすめている。進めても日本を不幸にするだけ。
    日本を再生する基軸は、技術起点の資本主義
    国権を排した資本主義
    知の再武装が必要であると述べている。

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著者プロフィール

1947年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究課程修了後、三井物産入社。調査部、業務部を経て、ブルッキングス研究所に出向。その後三井物産ワシントン事務所所長、三井物産常務執行役員等を歴任。現在は日本総合研究所会長、多摩大学学長。著書に『人間と宗教』『日本再生の基軸』(岩波書店)、『ユニオンジャックの矢~大英帝国のネットワーク戦略』『大中華圏~ネットワーク型世界観から中国の本質に迫る』(NHK出版)、『若き日本の肖像』『20世紀と格闘した先人たち』(新潮社)他多数。

「2022年 『ダビデの星を見つめて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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