おべんとうの時間がきらいだった

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000614085

作品紹介・あらすじ

「弁当というものは、残酷だ。中学1年生で、私はそう思った。自分が背負っている家族を、小さな箱と向き合う度にいつも突きつけられる……どうかわかりませんように、気づかれませんように」。ANAの機内誌『翼の王国』の人気連載「おべんとうの時間」が誕生するまでの家族の軌跡。著者自身の「おべんとうの時間」がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • エッセイ風ストーリーなので久々にサクッと読めた。

    中学時代のおべんとうが、カレーだったり、鍋だったりと…つまりは昨晩の残りを詰め込んでいたという。
    なんと、、衝撃的すぎる。

    確かに余りものを詰めて…というのはたびたびあった。
    全体的に茶色いおべんとうもあるあるな感じで気にもならずに食べていたが。
    …というか中学時代は給食で高校時代のみおべんとうだったが。
    それを超えて上をいくのには正直驚いた。

    そしてこうと決めたら曲げない父親と言いなりの母親。
    アメリカのファミリーに憧れて高校時代に留学するが、馴染めずお昼には一人になることも…。

    ただ、タイトルが「おべんとうの時間がきらいだった」なので実際これが記憶に残るほどのつらい時間だったのだろう。
    思うほど悲壮感が感じられないのは彼女自身がもともと明るい性格だからだろうか。




  • 食を通して考える、家族、夫婦と子を語る、自伝的エッセイ。
    I 父と母
       おべんとうの時間  音の番人  『E.T.』のピザ
    II アメリカの家族
       トイレでかじるドーナツ  ハーリー家のごはん
    III 夫と娘
       ニッポン チャチャチャ  家族巡業のはじまり  父の弁当
    夫婦での作品「おべんとうの時間」の文を担当する、著者のエッセイ。
    家族への葛藤の悩みを語り、家族とは何かを読者に問いかける。
    中学生時代のお弁当と家族との葛藤。
    高校生時代のアメリカ留学先でのランチと人間関係の悩み。
    “弁当の人”との出会いと結婚で得た“料理は心”と食べることの
    楽しみ。“弁当を食べる人”撮影に揺れる心と気持ちの変化。
    幼い娘も一緒に夫婦で、日本各地へ撮影と取材・・・そこで出会った
    人々と“お弁当”は無限大の世界を広げてくれる。
    食べることは糧。人との出会いは心の糧。
    そして時の流れは成長を促し、心を柔軟に変化させてゆく。
    最初の、父と母、自分と父、自分と母・・・との関係はきつかったですが、
    晩年の父の姿と最後に父と母を受け入れる穏やかな文章は
    しみじみとした心境で読むことができました。
    「おべんとうの時間」の撮影と取材、連載に至る話も良かったです。

  • 弁当は良くも悪くも家庭やその時その人を表していると思う。私も学生時代学校に馴染めなくて、母の作ってくれた弁当をトイレで食べたことがある。しばらくは弁当が受け付けなくなり、少しトラウマになっている。今では旦那に弁当を作る側になったけど、彼はどんな気持ちで弁当を食べているのか気になってきた。お昼の時間が苦痛な方に。

  • ANA派なので何度も読んだことがある「おべんとうの時間」。

    その連載を書いている著者の子供時代から現在に至るまでの軌跡が記されたエッセイ。

    見映えのよくないお弁当を持たされ、それが恥ずかしくてたまらない上に、あまり好きではない自分の家庭環境を思い出さざるを得ない、そんなお弁当の時間が嫌いだった中学時代。

    著者の根っこには、どんなに大人になっても、その時代のあらゆる記憶があって、家族と食卓、というものが自然と自身の人生のテーマみたいになっていたのだと思います。

    とは言え、家族とはかくあるべき、とか家庭料理やお弁当はこうあるべき、とかそういうお説教じみた結論に帰するのではなく、
    ただ淡々と彼女が思ったこと、感じたことが書かれているのも個人的にはとてもよかったです。


    大きな事件やハプニングがあるわけではないのに、引き込まれるように読めてしまうのは、読み手である私との共通点を感じたから。
    恐らく多くの読者が、自分と重なる部分を見つけるのではないでしょうか。
    それくらい、良い意味でごく普通の一般市民の感覚で書かれた一冊です。

    この本を読み終わって思うのは、自分と家族との関係性。
    あれこれと思いを巡らせています。

    2021年28冊目。

  • 「おべんとうの時間」は大好きなシリーズ。いろんな人の、特別ではないいつものお弁当から見えてくる「その人らしさ」にしみじみ胸を打たれる。阿部了氏の写真がいいのはもちろんだけど、私は直美さんの文章が本当に好きで、折に触れて読みたくなる。

    その直美さんが、「おべんとう」というものにこんなに複雑な思いを抱いていたとは…。確かに、お弁当には家庭や家族のありようが如実に表れるもので、みんながみんな温かい思い出ばかりというわけにはいかないというのは、考えてみれば当たり前なのだった。家族との葛藤を抱えながら、書くことで自分の道を開いていく著者の姿は、一人の働く女性として胸に迫ってくるものがある。

    一方夫の了氏は、「サラメシ」で見る明るいキャラそのままの人のようで、この方がまあ実にいい味わいなのだ。直美さんは本当にいい人と出会って、いい家庭を持ったんだなとなんだか嬉しくなってしまった。

  • 阿部直美さん「おべんとうの時間がきらいだった」インタビュー 家族みつめる13年の「旅」 好書好日
    https://book.asahi.com/article/13561687

    岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b508171.html

  • お弁当関係の子供の時の微笑ましいエピソードだと思って読んでみたら、もっと凄いエピソードが盛りだくさんで、逆に予想を裏切りられました。

    文章もとても読みやすくて、興味深い語り口。

    この方のエッセイをもっと読んでみたいと思いました。きっとご本人も素敵な方なんだろうな〜と想像したりして。

  • もともと著者夫妻の「おべんとうの時間」のファンで、こちらのエッセイも素敵に違いないと思って手に取った。

    幼少期〜おべんとうの連載が軌道に乗るまでの著者の半生が語られている。両親の話、留学の話、夫と娘の話、、どれも淡々と語られているけど、すごく刺激的で、なぜか心に刺さりまくった。そして、決して飾らず、すべて「いい話」にきてしまわない姿勢が、より私に感情移入させてくれた。読めてよかった。

    ・想像以上にアグレッシブな生き方で素敵だった。家庭環境や生い立ちを言い訳にせずに、留学に、転職に、今の仕事に…と自分の手でチャンスを掴みにいっているのがかっこいい。
    ・留学による収穫がなんと大きいことか、、それも現地で受け身にならず、ちゃんと、もがいた結果だとも思う。
    ・そのときは未解決のまま終わっていても、時間が経てば自然に理解して、受け止められることもあるんだな。キムとお互いに思いをぶつけ合っても、その後の生活は完全修復とは行かず距離のありまま。数年後、お互いきっと色々経験して大人になって、「愛してる」と言い合えたシーンが良かった。
    ・めかじきだけの茶色いお弁当も、当人たちが満足してれば、きっと「いいお弁当」
    ・カバーにある著者のお写真が素敵。旦那さまの撮影だろうか。自分のいいことも悪いことも全部受け止めたような清々しさのようなものを感じる表情。こんな雰囲気の大人になりたい。
    ・親からもらったものしか、自分の子どもに与えられないんじゃないか、自分の子どもを幸せにできるのかなと不安になることがあるけど、勇気をもらえた。

  • 「食べる」をテーマにしたお話。
    どのエピソードにも「食べる」が関係していて面白かった。

    アメリカへの留学のお話が、自分が留学したらこんな思いするんだろうなということがモロに書いてあって引き込まれた。疑似留学体験できたみたいで、楽しかった!

    サラメシに繋がってるのもびっくりした、、

    本を読む楽しさを思い出させてくれた作品!

  • 次女に薦められて読んだ本。
    アメリカ留学のくだりは面白くすいこまれた。
    苦労して、夢みて行った先の経験。

    家族とは自分にとってなんなのか。
    またその意味もかわってる。

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著者プロフィール

ペンネームは「さくらともこ」。 絵本「グリーンマントのピーマンマン」(岩崎書店)を筆頭に数々の絵本を創作。「絵本からオペレッタへ」という活動の提唱者。ほかに、手遊び「一丁目のドラネコ」など多数の作詞作曲活動、NHK幼児番組の企画、幼児向けビデオ・CDの企画・制作などを手がけている。乳幼児教育研究所 所長。

「2018年 『歌って楽しいペープサートキット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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