- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000616126
作品紹介・あらすじ
ジャズ演奏を裏から支えるピアノを手掛かりに、全く新しい切り口からジャズの歴史をたどる。外国語文献を駆使し、印象論を越えた、具体的な聴きどころ、鑑賞のヒントに満ちた、類書のないジャズ論。繰り返し聞いていた演奏が、新鮮に聞こえてくる! 上巻は、ジャズの誕生からビバップ、クールジャズの成立まで。
感想・レビュー・書評
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たいへん優れたジャズピアノの歴史解説本。すばらしい。買いなさい。
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日本文学・文化の研究者でありジャズピアニストでもある著者が、ジャズピアノの歴史と聴き方を解説する通書であるが、これを読んでジャズピアノの耳が間違いなく鍛えられ、聴き方が変わるという稀有な体験ができた。
本書の優れたポイントは単なる印象批評が多いジャズ批評・評論の世界において、「このピアニストのこの録音のこの曲の何分何秒のここがすごい」という聞きどころを逐一解説しているところにある。しかも1曲の中でそうした聞きどころを数箇所〜十数箇所まで提示してくれるため、必然的に読者は同じ曲を何度も聞き返しながらこの解説に記されて演奏の凄みを耳で実感することができる。紹介されている大半の音源はSpotifyにあるため、それを聴きながらひたすら素晴らしいピアニストの凄みに触れる体験は至上の体験だった。
上下巻で1万円と決して安くはないが、自らの耳がこれだけ鍛えられるという稀有な体験を得られるとすれば、あまりにも安すぎる、とすら感じた。
ジャズピアノに興味がある人のみならず、ピアノという楽器に触れている人、万人に強く推奨できる一冊。