河合隼雄著作集 第2期〈7〉物語と人間

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著者 : 河合隼雄
  • 岩波書店 (2003年3月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000924979

河合隼雄著作集 第2期〈7〉物語と人間の感想・レビュー・書評

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  • 『紫マンダラ』と『物語を生きる』(ともに小学館)の2作品を収録しています。

    『紫マンダラ』は、ユング心理学の観点から『源氏物語』に登場する人物たちの織りなす関係についての考察がおこなわれています。著者は、『源氏物語』の女性たちによって、著者である紫式部の多様な側面が示されていると解釈しています。同時に、物語のはじめのほうではそれらの女性たちがみずからを映し出すための空虚な中心としての役割を担わされていた光源氏が、しだいに近代的な小説の登場人物のように内面をもつ人物として描かれるようになり、それにともなって平安時代を生きる女性たちの心理的な問題が源氏との葛藤のなかで深く追及されていったいう主張が展開されています。

    『物語を生きる』では、『竹取物語』『宇津保物語』『落窪物語』『平中物語』『浜松中納言物語』などの作品が取り上げられ、やはりユング心理学の立場からの解釈が示されています。

    六条御息所の生霊を、彼女の深層心理の表われではなく、むしろそれを見ることになった葵の上や源氏の深層心理を表わすものとして解釈する点など、心理学の立場からの読み解きには啓発されるところもありました。ただ、『源氏物語』に登場する女性たちを、「妻」と「娼」、「母」と「娘」の軸によって構成されるマンダラに配置するという目論見は、多少強引さを感じないでもありません。また、浮舟の境涯にユング心理学的な死と再生の物語を読み取るという著者の見方もそれなりに理解はできるものの、多面的な魅力をもつこの物語のごく一部を切り出しているにすぎないという気がします。

  • 140.8-カワ-2-7 000291179

  • 河合隼雄著作集第二期第7巻「物語と人間」
    王朝物語に対する分析は飛ばして、人間にとってなぜ物語が必要なのか、というところに焦点をしぼり拾い読み。
    近代科学的な合理性と対置されるものとして「物語」があり、物語こそが人間の根本に必要とされるものである、と。近代小説のリアリズムに対する傾倒が批判され、一見非現実的な、リアルではないように思われることこそ深層にとっては真実とされている。ユングの「こころの構造」を参照しながら本書を読みましたが、そうすると河合隼雄の考えを形成しているユングの集合的無意識と夢に関する思想をふまえたうえで考えれば、河合隼雄がここで言う「物語」はユングにとっての「夢(を考えること)」と非常に近しいのだとわかります。なんとなくわたしのなかでもやもやとあったものを言語化するのに役立ったが、ひとつ注意しておくべきなのはこれはユングの考えがベースになった議論だということ。ユングが正しいのかフロイトが正しいのかはたまたラカンなのか、という判断はわたしには出来ないので、つまり誰の意見を取るか、誰の意見がわたしの考えに最も近しく寄り添うものなのかを考えなければならない。ということで、河合隼雄(とユング)が物語の意義をどう捉えているかのアウトラインを把握したいま、フロイトとラカンに進まなければならない。学びは終わらないなあ。

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