- Amazon.co.jp ・本 (34ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001105704
感想・レビュー・書評
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「夜は短し歩けよ乙女」で、「ひよこ豆」の彼女が、子どもの頃に大切にしていた絵本として、登場していたのは、この独特なリズム感が楽しい言葉のタイトルで、最初、架空の絵本かと思っていたら、実際に存在していたのでびっくりしたが、絵を描いているのが、「ビネッテ・シュレーダー」だったことに、またまた、びっくりしました(ちなみに、本書の文、「ペーター・ニクル」は彼女の旦那さんです)。
ビネッテ・シュレーダーは、以前読んだ、「ミヒャエル・エンデ」の『影の縫製機』で初めて知り、そこでは、エンデのシニカルで幻想的な美しさを持つ詩に、真っ向から対抗できるのは、この人の絵だけだと思わせた、その完成されたシュルレアリスムの世界観に於いて、僅かに滲ませた哀愁感と、凛として存在する個の自由をユーモラスに描いていたのが、とても印象的でした。
そして本書の絵では、機関車の走る線路を活かした遠近法が、騙し絵的な美しさと途方もない心細さを写し出す中、その幻想的風景は、場面毎に色鮮やかに美しく立ち替わってゆき、それはまるで、一枚一枚の絵それぞれが、ひとつの芸術作品のようでもあり、それぞれにテーマ性があるようにも思われる、根拠の一つとして、空の色一つ取っても、全く同じものが無い事が挙げられる事からも、彼女の絵には、どこか人間の精神世界の一部を、それぞれに表しているようでもあり、そこを小さな機関車が走っている光景には、見たままでは無いものも感じさせるようで、たちまち魅せられます。
物語は、発明家の「マチアス」が工場の道具を借りて作り上げた、一台の可愛らしい機関車(ほんとにちびでちっぽけで、雪のようにまっしろで、絵にかいたおひめさまみたいにきれいな、おじょうさん機関車だ)を、工場長に取られたことがきっかけで、自分で作った空飛ぶ自転車に乗って町から出て行ってしまった事から、数珠つなぎのように繰り返していくのは、果たしてそこは自分の人生にとって、相応しい居場所であるのかどうかを確認する、時をかける旅でもあり、表向きは、マチアスを探す小さな機関車の旅でありながらも、「うちの庭園においとこうじゃないか」と工場長に言われたら、「いいきなものね」と、機関車は本当に腹を立てて、石炭山の男から、「これがおれのしごとだからな」と言われれば、「でも、あたしのしごとはちがうんだわ」と、町を飛び出していってと、そこにあるのは、どれだけ悲しく絶望的に思える世界に於いても、決して自分自身を見失わないことを教えてくれているようでもあり、そういえば、ひよこ豆の彼女も、何処か、のほほんとした穏やかな雰囲気の中にも確固たる思いを、心の真っ直ぐな部分に、しっかりと持っていたのが印象的で、それはきっと、幼い頃に読んだ本書のメッセージを子供心に感じていたからではないのかと思い、もしかしたら、「夜は短し歩けよ乙女」の中のどこかで、『ラタタタム』って言ってなかったかしらなんて、つい思い返してしまいました。 -
『夜は短し歩けよ乙女』の黒髪の乙女が愛した絵本。
気になって手にした。
お話は...
ちびっこマチアス少年は、ある日、真っ白できれいな小さなお嬢さん機関車を作りました。
工場長も目を丸くして見惚れて、しまいには、お嬢さん機関車を取り上げ、マチアス少年を追い出してしまいます。
お嬢さん機関車は工場を飛び出してマチアス少年を探して旅に出ていきます...
「夜は短し歩けよ乙女」の黒髪の乙女は絵が美しい、と言っていました。
ビネッテ・シュレーダーさんの挿絵は、美しいというより、どこか幻想的でのどかで素敵です。
あ、こんなところに小人さんや小動物がいる!って挿絵の中を隅々まで探すのが愉しくなります。
さらに、挿絵の奥行き感が時を与えている気がします。
本から本へたどっていく、繋がっていくのは楽しいですね。 -
夜は短し歩けよ乙女、に出てきます。気になったので手に取り読みました。主人公?は自分が作り上げたちっちゃくて素敵な機関車を奪われ、もっと優しい人のいる町に旅立ちます。そしてちっちゃな機関車が主人公を求め探しに行くお話。この歳で絵本の感想って難しい。ふわっと童心が甦った。
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おお!ラ・タ・タ・タム!
少しばかり年齢がオーバーしているが私も黒髪の乙女のはしくれ。
古本市で彼女が探し求めた小さな機関車のおはなし!愛しい乙女のため灼熱の真夏日、ストーブをがんがんに焚き、炬燵に入り激辛鍋を食し我慢くらべに命を賭した「先輩」…
そんなこととは露知らず彼女が無邪気に求めたこの本は、まこと素敵に愛らしい絵本でありました。
チッポケ・マチアスに命を吹き込まれたちっぽけなおじょうさん機関車の大冒険。独特なタッチのビネッテ・シュレーダーさんの絵。物語は彼女の旦那さまで法律家のペーター・ニクルさんによるもの。
法律家がこんな自由でわくわくするお話を生み出すってのもまた夢があるなぁ。
深みのあるトーンで隅々まで丁寧に描き込まれたあたたかみとさびしさが共存した不思議な絵。「マチアス、ユリアへ」で始まった物語は線路が通るまちの工場の壁にまで遊び心が込められていて…
さあ、ラタタタム!百聞は一読にしかず! -
「夜は短し〜」に出てくる絵本が実在することに大興奮。ラタタタムのリズムが心地よく、挿絵もキレイ。私にとっても宝物な一冊になった。
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シュルレアリスムっぽい絵と夢の中のような物語。独特。
夜は短し歩けよ乙女に出てきたので読んでみた。 -
夜は短し~を読んで気になった絵本です。
白い機関車はなんて可愛らしい…
マチアスも機関車もお互い恋しかったんだね。 -
『夜は短し歩けよ乙女』で黒髪の乙女が幼いころに読んでいた絵本
発明家チッポケ・マチアスくんは自分で機関車を作るが、嫌な工場長に奪われてしまう。うんざりしたマチアスは機関車を残して街を出る。真っ白な機関車はマチアスを追って街を出て…。
「母をたずねて三千里」的な話なのかな?(読んだことないけど)ちっぽけマチアスが作った雪のように白いちっちゃな機関車がすごく可愛い。
子ども向けの絵本だから物足りなさはあるけど、マチアスを追って大冒険するストーリーは手に汗握るね。 -
「夜は短し歩けよ乙女」で登場していた絵本。
変わった夢をみているようなストーリー。
絵は、独特の幻想的な世界観で、動きや細かい表情が細かく丁寧に描かれて、ゆっくりその世界に浸ってしまう。
あっ、紛らわしい書き方して、すみません(^^;)
「鳥とけものと親類たち」は、イギリスのノンフィクション作家、「ジェラルド・ダレ...
あっ、紛らわしい書き方して、すみません(^^;)
「鳥とけものと親類たち」は、イギリスのノンフィクション作家、「ジェラルド・ダレル」の自伝的エッセイ、「虫とけものと家族たち」の二作目にあたり、ギリシアのコルフ島に移住してきた、変わり者のダレル一家が、自然豊かな地で巻き起こす珍事件の数々は、ひよこ豆の彼女曰く、無類に愉快なお話だそうです。
「夜は短し...」の中に出てきた、円地ふみこの何かの本が読みたくて古本で取り寄せたら、もんのすごい古いのが来て(≧ω≦、だからとい...
「夜は短し...」の中に出てきた、円地ふみこの何かの本が読みたくて古本で取り寄せたら、もんのすごい古いのが来て(≧ω≦、だからというわけじゃないけど、結局読まなかった気がします。(^_^メ)
円地文子さん、覚えてなかったので調べてみたら、「なまみこ物語」の事ですかね。私、古典は苦手だから、あまり印象に残らなかったのかも...
円地文子さん、覚えてなかったので調べてみたら、「なまみこ物語」の事ですかね。私、古典は苦手だから、あまり印象に残らなかったのかもしれません(^^;)