まぼろしの白馬 (岩波少年文庫 2141)

著者 : エリザベス・グージ 石井桃子

• 岩波書店 (1997年5月15日発売)

感想・レビュー・書評

[mokuyoubiさんの感想 · 2019年8月25日]

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C8397￥700E.

タイトル：まぼろしの白馬
岩波少年文庫2141　.　（同じシリーズで新版あり。通し番号142番ＩＳＢＮ番号は異なる番号を持つ書籍となっていますそちらは2007年1月16日刊行のものです）
作：エリザベス・グージ
訳：石井桃子
出版社　岩波書店
1997年5月15日　第1刷発行
NDC:933.
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古い領主館にひきとられた孤児の少女マリアは、館にまつわる伝説に興味をいだき、その謎を解こうと大はりきり...。活発で明るいマリアは、暗い館の生活を一変させ、周囲のおとなたちを事件にまきこみます。ロマンチックな物語。小学5・6年以上。-----------
2007年に同じ岩波書店から
ISBN 4001141426, 9784001141429　で出版されているようだが現在は2007年版も1997年版の物も出版元では品切れになっている。翻訳はどちらも石井桃子さん。
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この作品は1946年　ロンドン大学出版で出版されカーネギー賞を受賞している。
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ハリーポッターの作者　ＪＫローリングさんがこのお話をお気に入りの１つであり、ハリポタシリーズに直接影響を与える数少ない本の一つであると特定した。
自分の中でハリポタ熱が再燃していたので、興味を持った。版元には品切れだったが、古い図書館には蔵書として（名作だし）残っていました。日本語訳になっていて良かった。訳者さんは説明的なところを省いて物語を追いやすくしたと書いてあったが、登場人物の様を表したり、部屋の様子をあらわしたりするにはとても苦心されたんじゃないかな。どの人も長所短所があり、やたらに美系で無いところがおもしろい。途中話が入り組んで（自分の想像力が追いつかない）物語のラストの方をチラッと観て、ちゃんと大団円になるのがわかって、途中のストーリーを楽しめた。

目次より-----------
ムーンエーカー館
美しい朝
シルバリーデュー村
黒い影
台所の住人
マリアのご先祖
ふかまるなぞ
パラダイスの丘へ
丘は、神にかえる
対決
まぼろしの白馬
あたらしい日
あとがき------

●マリア・メリウェザー
13歳（1842年）銀色がかった灰色の目カールしていない赤っぽい髪　痩せていて青白くみっともないそばかすの顔　妖精のように小柄で背筋はまっすぐのびていて威厳がある。小さく華奢な足は自慢。生まれて間もなく母を亡くし記憶にない。父親が最近亡くなった。
●ヘリオトロープ先生　
マリアの家庭教師、マリアの生後3カ月頃よりずっと一緒に居る。貧相な見かけで鼻は鷲のくちばしの様な鉤鼻、酷い消化不良のためとても少食。背が高く白いキャップをかぶり黒の指なし手袋はめ眼鏡と薄荷ドロップの袋を持ち歩く。首から大きな金のロケットを下げている。
●ウィギンズ　
スパニエル犬　いじ汚く、きどりやでかんしゃく持ち自分勝手なまけもの
●ディグウィード　馬車の御者　
しわだらけの小さい老人、擦り切れたビーバーの毛皮の山高帽子をかぶっていた、大きく笑っている歯の無い口とあごの無精ひげ、優しい人らしく何かと気遣いを見せる。
●ベンジャミン、メリウェザー卿
いとこの老紳士背がすごく高く幅広顔は丸まるとした赤ら顔、鼻は大きな鉤鼻、あごは三重、目は茶色でキラキラと光る，白いまゆ毛。大きなルビーの指輪をしている。
●ロルフ（犬・ライオン）20年前から住み着くデカイ犬
●ペリウィンクル　マリア用の小柄な馬
●ザカライア　猫、台所に居る、人の言葉を理解し伝言を伝えることができる。（Zachariah）英語の男性の名前。洗礼者ヨハネの父親の名前
●ロビン
マリアがロンドンに居る頃に出会った少年
●教会の牧師
●ラブデイ・マリア・ミネット
岩殿門番の小柄な女性、ロビンの母　コーンウォールの海辺で生まれる。コーラルピンクのゼラニウム　10歳で両親に死別家庭教師のエルスペスとムーンエーカーに来る。ベンジャミン卿の母親が引き取る
●レティシア婦人　ベンジャミン卿の母親　ひきとったラブデイとは性格が違った。当時はお互いの好みが違うだけという事が大きくベンジャミン卿とラブデイが結婚したすぐの冬に風邪であっという間にストレスもあって亡くなった。
●マーマ・デューク　
腕の良いコック　せむしでは有るが腕は抜群に良い。難しい言葉（古い使い回しの面倒な言葉）で話す。
●黒ウィリアム　コック・ド・ノワール
黒いおんどりを紋章に持つ入り江の住人のボス、城の主とは遠い昔に血がつながっている。



作者さんに付いて
エリザベス・ガッジ(Elizabeth Goudge）

1900年4月24日　イギリス、ウェルズ　リバティのタワーハウスで生まれる
1984年4月1日　イギリス　オックスフォード
エリザベス・ド・ボーシャン・ガッジ
ペンネームはエリザベス・ガッジ
1946年にこの作品でカーネギー賞を受賞
父親（ヘンリーレイトン・ガッジ）は神学大学の副校長　母親（アイダ）はガーンジー島出身（ノルマンフランス系の血筋の旧家の出身）病気がちでエリザベスに良く話をしたのは母親のアイダだった。14歳までは学校へ行かず教育係から教育を受けるも、ムラが酷く、補習のため寄宿学校へ　デザインを学ぶ。父親の転勤（転職？）によりオックスフォードの近くに転居。1939年に父親が死亡、母親と一緒にイングランド南西のデボン州サウスハム地区ノマールドンに転居。「私は小さい時から妖精という物を半分は信じていましたがデボン州に暮らすようになってからはすっかり信じるよ言うになりました」彼女の住んでいた家からは、さびしい森が見え、近くに入江が有りました、その砂浜に立つと沖から白い波のウマが群れて押し寄せてくるのが見えました。ある夜そのうちの１頭が陸に上がってくる夢を見て作品を書きました」
戦争が始まりそのまま1939年から1950年までここで過ごす。1951年に母親が無くなったのちオックスフォードシャーに移る。

あとがきより----------
この翻訳は1967年　あかね書房から「国際児童文学全集のうちの１巻として出版された（のちに福武文庫に入る）
原作のままではあまりにもイギリスの昔の田舎の風俗画細々と描かれている為、日本の読者が物語を追う子に帰ってわずらわしいのではと説明的なところは省略、イギリスやアメリカでも1976年からは省略した形で詠まれている。---------

[akubityanさんの感想 · 2016年1月17日]

今はない「あかね書房」の国際児童文学全集12巻で読みました。今読んでも、色あせていません。3人の子供は、「ほんとうの空色」とともにこの本の洗礼を受けています。

[magatama33さんの感想 · 2009年11月8日]

とても面白かった。図書館で見つけて久しぶりで再読。子どもの頃から何回か読んでいる本なのに、今回ちょっと違う感じがしました。あとがきを見ると多分子ども時代に読んだのは「あかね書房」の本で少し訳が違うようです。

[zakaさんの感想 · 2007年8月28日]

小さな頃から大好きで、大事な本のひとつです。（私が持っているのはこの文庫のものではありませんが）恐らく自分に多大な影響を及ぼした一冊でもあるのではないかと思います。
特に黒猫のザカライアとコックのマーマデュークが好きで、登場する「台所の住人」の章に辿り着くまでに最初はすごくドキドキしたのを覚えています。逆に言うと、台所にたどり着くまでが長かった分この二人（？）に愛着があるのかもしれません…。この話の中では、台所はものすごく素晴らしい場所の様に感じられるんですよね。屋敷の中の色んな場所を、段階を踏んで訪れる手法はすばらしい。（RPGで新しい場所に行く時のドキドキと思えば同じ感情だった（笑））あと、この話に出てくる食べ物が、とにかくどれもものすごくおいしそうで凄く憧れたのを覚えています…憧れたのは、食べ物だけでなく世界観全てにもですが。ザカライアが黒い男達の持っている魚に文句をぶつぶつ言うシーンがなんだかものすごく好きです。（笑）

[niaさんの感想 · 2004年10月31日]

成田美奈子さんが自作「天の神話地の神話」の中で元ネタとして紹介しているので結構有名なのかもしれない・・・。美しくてわくわくする古きよきイギリスの匂いに満ちたファンタジー。小学生の頃学校の図書館で借り、高校生のとき遠方の図書館から取り寄せ、大学生のとき文庫化されたのを見つけて本屋で声を上げてしまったほど好きな作品です。