魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫 84)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140842

感想・レビュー・書評

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  • タイトルにある魔女のお話ではなくふたりの少女の友情の物語。

  •  引っ越してきたばかりのエリザベスには、まだ仲良しの友達がいなかった。そんなエリザベスがジェニファと会ったのはハロウィーンまつりの日の登校途中。木の低い枝に腰かけて、足をぶらぶらさせていたジェニファに話しかけたのだ。自分を魔女だと言うジェニファに驚きながらも、独りぼっちだったエリザベスにとっては、一緒に過ごすことがとても楽しくかけがえのない時間になってゆく。女の子たちの友情が描かれた、とても良い作品だと思う。

  • 魔女ジェニファと過ごした楽しい日々。

    転校してきたばかりでまだ特に友人のいないエリザベス。母親はシンシアと友だちになってほしいみたいだけどいい子ぶったシンシアはどうも好きになれない。ハロウィンの日に出会ったジェニファは自分のことを魔女と言い、エリザベスを魔女見習いにしてくれた。ジェニファと過ごす土曜日は刺激的で楽しくて——。

    エリザベスの視点から語られるジェニファは「魔女」だけに秘密がたくさんあって惹かれる子だ。しかし大人の目で読んでいるとジェニファはちょっと危ない子に見える。本をたくさん読んでいるがコミュニケーションはあまり取れず、おそらくエリザベス以外の親しい友人はいない、ちょっと変わった子のように自分を演出してしまう。きっとエリザベスが母親にジェニファのことを話していたら、付き合わないように言われていただろう。

    ヒキガエルの一件からエリザベスはジェニファと距離を置く。そこでお互いに自分を見つめる時間ができたのではないか。エリザベスにとって、魔女じゃなくてもジェニファは魅力的な友人であると。ジェニファの方も魔女というシールドがなくてもエリザベスと楽しく過ごせる可能性に気付いたに違いない。にっこり笑って、ありのままの自分たちで楽しい。素敵なエンディングである。

  • いいわあ。
    10代初めの、ちょっと不安定な心。
    転校してきて、女の子の輪に溶け込めない私。ちょっと変わってて、いつもひとりぼっちのジェニファと仲良しになる。秘密裏に。
    いじわるな気持ちだとか、親への反抗心だとか、秘密を持ちはじめるところとか、、、

    現代っ子のごくふつうの日常を描いた作品。だけど退屈じゃない。アメリカの話だから、日本人の自分にしたら普通の日常ではないところもあるっちゃあるけど、まあ、その年頃のむずかしい友だち関係とか学校のつまんないところ、めんどくささ、親を安心させるめんどくささなど、自分も体験してきて共感できるところが、いい。人気者の女の子のバースデーパーティへ行って、ちょっといじわるしちゃうとこなんか、あっぱれ!!と喝采。同じ年ごろの時に読んでいたら、どうだったんだろう。同年代の娘に読ませたい。

  • おすすめいただいたカニグズバーグ作品。
    すてきな物語に出会えてうれしい。


    「魔女」とタイトルにはあるけれど、
    ファンタジーではなく、ごくふつうの女の子のお話。

    秘密をテーマに描かれているのは、
    魔女を名乗る女の子ジェニファと、見習いのエリザベス、2人の友情のお話なのです。

    2人が待ち合わせするのは土曜日の図書館。
    秘密を共有する図書館の時間、なんて素敵すぎない?

    何気ない日常を「秘密」と一緒に切り取った物語になっている、ところがとてもよかった。
    嫌な女友達にちょっとずつ嫌がらせをする2人も微笑ましいの。どの時代のどの世代にも嫌な奴っているんだよね。



    「クローディアの秘密」は読んだはずだけど
    全然思い出せないので、そっちも読もうかなあ。

  • エリザベスの視点から書かれているので、引っ越してばかりで友達のいないエリザベスと友達に「なってあげた」ジェニファ、というふうに思いがちですが、実は救われたのはジェニファの方?
    急いで読んだので、また時間があるときゆっくり読み直したら良さがわかるのかも。

  • カニグズバーグとはたぶん相性がよくないんだと思う。
    正直よくわからなかった。
    再度読んだら違うのかな。

  • 表紙絵の右側の女の子が「魔女であるらしい」ジェニファ。
    左側の手を引かれている子が「魔女見習い」で、このお話の語り手であるエリザベス。
    ふたりとも同じ11歳で、魔女になる最初の儀式の場面だ。
    「クローディアの秘密」の作者・カニグズバーグの、またもや「秘密」と「成長」をキーワードにした作品。これがもう面白いのなんの。
    自分以外の者に憧れたことのある人、そしてそれを記憶している人、心を鷲掴みにされるかも。
    タイトルに「魔女」とあってもファンタジーではない。
    ふたりの女の子の交流がメインで、しいて言えばふたりとも主人公かな。
    NYが舞台の、ハロウィンから翌年の春までの約半年間のお話。
    最後はあっという間に幸福感に包まれるので、その心の準備も怠りなくね。

    クローディアと同じく、今度の子たちも大変な読書家だ。
    本の中に秘密を発見しようと、読んで読んで読みまくる。
    ジェニファにいたっては「マクベス」まで読んでいる(!)。
    そこまでして読むわけは、本物の魔女になりたいから。
    でもそれは、ふたりだけの秘密。世界中の誰にも知られてはならない大切な秘密だ。
    その秘密をあたためた分だけ、大きな成長がある。

    エリザベスの視点で話が進むので、一読するとジェニファに問題ありのように思われそうだが、エリザベスもかなりの問題を抱えている。
    大変な偏食児でクラスで一番小さく、おまけにぐずりやでしょっちゅう遅刻している。
    ただでさえ新興住宅地のアパートに引っ越してきたばかりで、友だちなどひとりもいない。
    かたやジェニファは、とても賢くて気のきいたセリフをぽんぽんと吐く子で、その利発さと黒人だという点で同級生たちとは一線を画している。
    どちらがどちらを支え、救ったのか。
    たぶん、お互いに支えあい救い合ったのだろう。「秘密」を仲立ちにして。

    後から思えばあっという間に過ぎ去ったように思える子ども時代のひととき。
    その年代でしか味わい得ないような孤独感や疎外感・焦燥感などを、実に巧みに表現した作品。
    モノクロの挿絵もカニグズバーグ本人によるものらしく、ハロウィンのコスプレ審査の場面などがとても面白い。
    「いまでは、ありのままのわたしたちで、たのしいのです」という最後の一行で、じわっと胸があったかくなった。

  • これまで親しかった人と、疎遠になってしまったり、けんかしてしまったりした後は、心にぽっかり穴が開いたような感覚におちいる人は、多いと思います。

    けんかが起きる瞬間、相手によって自分の大切なものを傷つけられた時に、怒りの感情が湧き起こります。魔女ジェニファと、わたしの間にも、そんな瞬間が起きてしまいます。自分が信頼していたジェニファが相手だからこそ、主人公のわたしには、複雑な気持ちが駆け巡ります。ジェニファに対して、憎しみを覚えますが、あんなにも仲良く過ごした日々が失われて、喪失感を忘れることができません。2人がどうやって、関係を回復していくのか、というところは、本書の読みどころの一つだと思います。本書には、描かれていませんが、ジェニファがいったいどんな気持ちで、けんかした後の日々を過ごしていたのかを、想像すると面白いです。ジェニファ―の思いを想像したとき、私は感動し、心が温かいもので満たされました。

  • カバーの内容紹介に、黒人の少女ジェニファとあったエリザベス…とあったが、本文中に、ジェニファが、アフリカ系であることを示す文章は、お母さんが参観に来た時に、黒人のお母さんは一人だけだからすぐにわかった、というところくらい。
    解説とかで、触れてほしかった。
    でも、そこを差し引いても、おもしろかった。
    エリザベスの、説明しずらい、ぐちゃぐちゃした感情とか、そりが合わないクラスメイトへの想いとか。
    40年ほど昔に書かれた本だが、内容は古びていない

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