ハイジ 下 (岩波少年文庫 107)

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141078

感想・レビュー・書評

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  • アルムに帰ったハイジはみるみるうちに健康を取り戻し、アルムおじいさん、ペーター一家の心を解していきます。
    アルムおじいさんは長年意地を張って避けていた村人との交流を再開し、ハイジも教会や学校に通うことになります。
    そのころ、ハイジがいなくなり寂しいゼーゼマン屋敷のクララは、アルムへの療養を心待ちにしていました。
    まずゼーゼマン一家の友人である医師がアルムに行きます。哀しい出来ごとが起きたばかりの医師ですが、アルムの空気とハイジの優しさ、アルムおじいさんとの交流で心が晴れていきます。
    やがてクララたちもやってきます。
    堅苦しい都会と違い、毎日が輝きに満ちた山の生活で、クララもみるみるうちに健康になります。
    そんななかヤギ飼いのペーターは、余所者に自分の居場所を荒らされたようなつまらなさを感じています。そしてクララの車椅子を破壊してしまうのです。
    でもそれは、クララをより健康へと導くのです。

    ハイジと関わった人々は皆人生の幸せに気が付きます。
    ハイジも自然そのものに生きることも楽しいけれど、文字を覚えれば本を読むことができるし、大好きな人達に本を朗読してあげることもできるという楽しさが増えます。
    そしてペーターの悪事を見抜いたアルムおじいさんと、ペーターの良心の呵責を言い当てたクララのおばあさん。神様は善いことも悪いことも見ておられます、あなたの苦しみも見ています。
    罰ではなく、自分で気がつくという方法へ導びく。
    悪い人はいない、未来も悪い影がない、気持ちがほぐれるようなお話です。

  • ハイジはフランクフルトからおじいちゃんの元へ帰ってきました。そしてフランクフルトからクララがやってくることになったのです。しかし秋口になり、病弱なクララが山へ来ることは難しいためクララの主治医がまず山へ来ることになりました。先生は妻を昔に亡くし、最愛の一人娘も亡くしたばかりで打ちひしがれていました。落ち込んでいる先生にゼーゼマンが提案したのです。


    下巻にもなると、アニメで省かれているエピソードも幾つかありました。
    でも私の中ではそれは意味のある省略だと感じずにいられませんでした。
    最も大きく省かれた、宗教的な表現について。改めて原作を読むことでもう既に知っているエピソードにより深みを与えてくれました。
    お医者さんのエピソードは、こういう背景があるんだなぁと、原作を読んだならではのお得感を感じられました。
    ペーターと車椅子のエピソードは、笑っちゃいかんながらクスリと笑えてしまいました。

    全体的に宗教的な表現や訓えが多いと感じます。それがより物語に深みを与えてくれて、何より感動しました。心の拠り所が常にある宗教観は素晴らしいと感じました。

    おじいさんのお話がたくさんあるところもすごく良かったです。村の人々と打ち解ける場面や、クララのお世話をみるあたりが特に好きです。

  • 大団円。よかったよかった。児童書はこうじゃなきゃ、という終わり方でした。

  • 懐かしいアルムへと戻ってきたハイジ。純粋なハイジはおじいさんの心を開き、デルフリの人々とのわだかまりをも溶かしていく。つらかったフランクフルトでの生活も、それがあってよかったんだと肯定して生きていくハイジの強さ。おじいさんにお話を読んであげて、過去から立ち戻るきっかけを与えたシーンも印象的だった。宗教色や信仰心を語る要素が意外と多いんだけど、人間ドラマとして読める範囲なのでそこまで気にならなかった。

    クララがアルムへやってきて立つシーンは、アニメで観た記憶とは結構違っていて驚いた。「意気地なし!」とか「クララが立った!」みたいな象徴的な台詞がなく、車いすが無くなった流れで思ったよりもすんなり立ち上がってびっくり。ただ、もちろん感動が薄れるということはなく、そこからのクララや家族たちの喜びや、ハイジたちへの恩返しを考えたり、幸せを分けてもらえるようなやさしい世界で癒された。相手を喜ばせたいという願望こそ幸せの種なんだなと。

    それにしても、クララたちにハイジを取られて嫉妬に狂うペーターにも驚きだった。車いすを突き落とすのはやりすぎ。しかも、クララの主治医にまで嫉妬するという。どうなることかと思ったけど、クララのおばあさんとのやり取りがよかったね。クララが回復したのがあったとはいえ、懐の深さを感じる諭し方だった。

    あと、クララの主治医の先生もいいキャラだった。アルムにもハイジにもすっかり心を奪われて、おじいさんとも仲良くなった一番のキャラかもしれない。居場所とやりたいことが見つけられて本当によかった。ハイジに助けられた彼らは、ハイジを守ることを決心して生きていく。人と人の結びつきの尊さがたくさん詰まった下巻だった。

  • 大感動です…。
    神さまを信じる純粋な心。
    素晴らしいです。
    こんなまっすぐな物語があっていいのだろうか!
    名作は名作と呼ばれる理由がやはりありますね。

  • 本棚の奥から出てきたちょっと古めの岩波少年文庫。  その中の1冊にこの本がありました。

    ハイジ 上 (2003) 1996年6月第42刷
    ハイジ 下 (2004) 1996年6月第38刷
     ヨハンナ・スピリ作 竹山道雄訳

    思い起こせばハイジの物語に初めて触れたのは小学校入学前、そして小学校低学年・中学年の頃には何度も何度も読み返した物語です。  小学校高学年ぐらいになってからは「よく知っているお話」というカテゴリーに入ってしまったためほとんど手に取ることがなくなってしまいましたが、某TV局で放映されていたアニメ(!)に触発され、大人になってから再度入手したのがこの本です。  因みにあのアニメ、Brunnhilde が中学生の頃に本放送が始まり、その頃は「もうハイジっていう歳でもなし・・・・」と観なかったような気がするのですが、その後の再放送で観たのかなぁ・・・・。  結構大人になってからほぼ全編を観て、思わずこの本を購入することになったような記憶がうすぼんやりとあります。  で、まあ、アニメの話はともかくとして、こんな古典的な物語を再読できることこそこのブログ、この企画を始めた趣旨にぴったりあっているのではないか?・・・そんな風に感じたので、今日はこの本を手にとりました。

    久々のハイジの世界ですが、ハイジ、ペーター、アルムおじさん(おじいさん)、デーテおばさん、クララ、ゼーゼマンさん、ロッテンマイアさんという名前が出てくるたびに、あたかも小学校時代は交換日記をつけていたにも関わらず、中学進学、高校進学、大学進学、そして社会人へという人生の過程の中のどこかのタイミングで疎遠になり、その後何年も会っていなかった旧友と再会したかのような思いを抱きました。  現実世界の旧友と大きく異なるところは、現実世界の旧友は時の流れの中で「あれ? こんな考え方をする人だったっけ?」というようなある種の戸惑いを感じることもあるのですが、物語の登場人物に関してはそんなことはなかった・・・・ということでしょうか?  もちろん、子供時代には何となく意地悪な存在として認識していたロッテンマイアさんが、決して意地悪なわけではなく、単なる常識人・・・・そして自然児ハイジを相手にオロオロしている融通の利かないおばさんに過ぎない というようなわずかな軌道修正こそ必要ではあったのですが・・・・・(笑)

    久々に読んだハイジで何よりも感動したのは、いわゆる情景描写の細やかさです。  モミの木のざわめき、雪が積もった翌朝の輝き、朝日・夕日を浴びた山の姿の何と美しい描写!!!  文章を読んでいるとアルプスの美しい景色が頭の中でどんどん空想でき、同時に山の空気さえ感じられるような気分になっていきました。  

    実は Brunnhilde は最近群馬県の山の中に終の棲家を持とうとしているのですが、なぜ自分が海よりは山に惹かれるのか、その理由をあまり真剣に考えたことがありませんでした。  でも、この物語を読んでふと思ったのです。  考えてみたら Brunnhilde が大好きな物語の大半は海辺の物語というよりは山の物語、川辺の物語だったなぁ・・・・と。  「夢見る夢子ちゃん」と親からからかわれていた子供時代。  Brunnhilde の空想の世界に海辺や海上の景色はほとんど表れなかったなぁ・・・・と。  この本は山小屋での読書に適した本だったかもしれないなぁ・・・・と。  いずれ山小屋で再読してみようと思います。

  • ハイジはアニメしか知らなかったので本があることに驚いた。

  • アルプスの自然を舞台に描かれた作品。アニメや台詞がとても有名で、最近では学習塾のCMにアニメの映像が使われていることから、どれだけ作品が愛されているのかが分かる。下では主人公である無邪気なハイジが、周りの人たちの気持ちを変えていく過程を見る事が出来る。

  • ハイジって意外と気ぃ遣いいなんだな……

  • ペーターが粗雑な?田舎青年として描かれているのがちょっと衝撃的。

    キリスト教の教え的な色も非常に強い話だけど、素敵なお話でした。

    アニメもかなり原作の世界をうまく作り上げていたのだなぁ、と
    改めて思いました。

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著者プロフィール

1827年、スイス・チューリヒ近郊の村で医師の娘として生まれ、地元で語学と音楽を学ぶ。弁護士ベルンハルト・シュピリと結婚後、40代になってから小説の執筆を始める。病弱だった一人息子の転地療養に付き添い、マイエンフェルト近郊のラガーツ温泉に滞在した際『ハイジ』の着想を得て、52歳のとき第1部を発表。これが大ヒットとなり、翌年に第2部を発表。ともに世界的な成功を収める。生涯で約50編の作品を残し、1901年、74歳で死去。

「2021年 『アルプスの少女ハイジ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヨハンナ・シュピリの作品

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