北欧神話 (岩波少年文庫 550)

  • 岩波書店
3.68
  • (28)
  • (52)
  • (73)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 613
感想 : 52
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145502

作品紹介・あらすじ

神の都アースガルド。威厳にみちたオージン、力自慢のトール、いたずら好きのローク、美しい首飾りとひきかえに夫を失った女神フレイヤなど、個性的な神々の活躍を描きます。『エッダ』に基づいて書かれた少年少女のための北欧神話。中学以上。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ゲルマン民族の神話、北欧神話。デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドなどで花開いた神話は、以前からとても気になる存在でした。文豪ボルヘスがアイスランドサガのことをなんども紹介していることを知って、ますます興味は尽きない。

    この本を手に取ってみて、まずびっくり! おそらく少年少女でも理解しやすいように枝葉末節をとりはらい、必要な話を取捨選択し、それをうまく繋げながら系統立てているものと思われます。北欧神話の主だった登場人物とその舞台が、適所でちょうどいい分量で描かれている印象をうけて感激しました。別の本で比べてみても、とてもよくできていると思います。

    解説によると、この本は、北欧神話の元ネタとなる『エッダ』(日本の『古事記』のようなもので歌・詩。紀元9世紀ころ、作者不明)と『スノッリのエッダ』(詩人・学者スノッリの散文作品、紀元13世紀ころ)から選んで易しく書き直したもののようです(英雄伝説は割愛)。いや~とてもすっきりしています。全体を見渡すのに少々骨の折れる神話の世界が、こんなに理解しやすいなんて、ちょっと驚きですね。

    巨人族との対決に勝利した神々の父オーディン、猪突猛進のトール、剣の達人チュール、半神半巨人のロキは悪戯好き。
    戦いに倒れた巨人の肉や骨でつくられた世界、神の国アースガルト、人間の国ミッドガルド、巨人の国ヨーツンハイム、ほかにも小人の住む世界や地下世界などもありますが、なんといってもその世界を貫く1本の世界(生命)の巨木ユグドラーシルは魅力的です。その根には醜い大竜がかじりついてぐだぐだしているかと思えば、大枝にはなぜかシカが住んでいて、木の芽をむしゃむしゃ食べ、忙しいリスたちが枝々を走り回る面白い世界です。

    決して全能とはいえない神々と少々強すぎる巨人族との相克、闘いに明け暮れる世界……きっと厳しい極寒の北欧の自然がそうさせるのかもしれません。エロス満載のギリシャ神話や、輪廻転生・無常観の漂うケルト神話とはまた違った世界がのぞけて楽しい。北欧神話に興味のある「大人」にもお薦めしたいです♪

  • はじめて読んだ北欧神話。

    古い伝承って古事記でもそうだけど、
    神々がすごく喜怒哀楽をもっていたり
    人間味が強くて面白い。

    北欧神話には、世界樹が出てきたり
    いろいろなゲームやファンタジー作品に
    影響を与えたであろうものものもありそう。
    神さまだけでなく、
    人間、巨人、エルフ、こびとなどが出てくる。
    巨人は敵対する関係。
    こびとは醜い忌むべき存在。
    そんな描かれ方がされていた。

    私が個人的に興味を持ったのは
    ローキという登場人物。
    神と巨人の子どもで、
    いいこともわるいこともすると表現される。

    女神の自慢の金髪を
    寝ている間に切ってしまったり、
    旅先で突然カワウソを殺してしまったり、
    何を考えてるのか全然わからない。

    神々に叱られて後始末をさせられたり
    最初の方はそれでも
    神々の仲間なのかなと感じるが…
    後半は一変する。
    神々を恨みに思い、呪うような行動に出る。
    そして、世界の滅亡である
    「神々のたそがれ」へ導く。

    世界は一度滅ぶが
    神々が残したもので世界は再生される。

    今の世の中も、末法というか
    世界の終わりを感じさせられる空気感があるが…

    オージンが知恵の井戸の水を飲み見えた将来
    「神々や人間が悲しみや難儀のときに
    りっぱな態度でいれば、この世界に
    1つの力を残すようになり、
    その力がずっとのちのことではあるけれども
    世界に恐怖と悲しみと失望とをもって来た
    悪者を滅ぼしてしまうようになる」

    この言葉に希望を感じる。



    最後の解説で興味深かったこと

    ・英語圏やゲルマン民族の唯一残った神話が
     この北欧神話であること

    ・曜日も神々の名前からきていること
     Tuesday チュール 剣の達人
     Wednesday オージン 神々の父
     Thursday トール 力の強い神
     Friday フリッガ オージンの妻

    ・ギリシャ神話との建て付けの違い
     ギリシャ神話では、大地と天との結婚で
     天地創造され、神々が巨人を圧倒する
     文化的なものを神々が作る
     一方、北欧神話では、巨人族を殺し
     その肉体から天地を創造する
     巨人族は神々と対等だし
     文化的なものを巨人や小人が作る


    なかなか興味深いおはなしだった。

  • 繰り返しの読書。何度読んでも忘れてしまうところがある。今回は図を書きながら整理して読んだ。元は口承文学のエッダであるため、辻褄の合わないところなどもあるのだが、神話ならなんとなく仕方がないかと思える。
    特有の荒々しさや不思議さに心が奪われる。挿絵が美しい。北欧神話にはさまざまな本が出ているが、入門編としてちょうど良い。

  • 堅い文章が引き立っているが、少年少女でも読めそうな印象。好きなジャンル。

  • この名前も北欧神話由来だったのか!というのが予想以上に多かった。ギリシア神話の親しみやすさに比べると淡々としていて、それで終わるのか…という消化不良感もあったり。別の本も読んでみたい。

  • 神話で、しかも北欧というと知らない生徒も多いだろうが、ゲームや漫画の設定の元になっていることもあるため、親しみをもって読んでもらいたい

  • あまりなじみのない北欧神話でしたが、読んでみるといろんなお話のタネになった題材が、いっぱいつまっている本でした。
    でも、寝る前に読む本じゃあないね。すぐ眠くなる!

  • 4-00-114550-2
    C8397\720E.
    岩崎少年文庫550
    NDC933
    1955年3月20日 初版
    2001年11月16日 新版第1刷 
    パードリック・コラム 1881-1972 
    アイルランドの詩人 劇作家
    イェーツ等ともにアイルランド新劇運動に参加し、1914年にアメリカに移住した。
    数多くの詩・戯曲を残しているが、神話や伝説をこどものために再話する仕事にも情熱を注いだ。 扉より
    訳者:尾崎 義(おざき よし) 1903-69

    目次より
    1 アースガルドに住む神々
    2 さすらいの旅人オージン
    3 魔女の心臓と神々のたそがれ
    解説
    読み物としての北欧神話
    ※メモあり

  • 2011/7/14 予約 7/23 借りて 読み始める。 9/8 ほぼ読み終わる

    神々の始まりから、オージン、トールとローキ、その他の多くの神々や巨人、こびと、魔女・・・。
    様々なことがあり 「神々のたそがれ」へと話は展開する。

    ウィリー・ポガニーの挿絵がアンチックでステキ。

    内容 :
    神の都アースガルド。
    威厳にみちたオージン、力自慢のトール、いたずら好きのロークなど、個性的な神々の活躍を描く。
    「エッダ」に基づき書かれた少年少女のための北欧神話。
    96年刊に次ぐ新版。

  • 子供向けだけどざっくり話を知るには十分。
    キャラクターたちの名前が現在よく知られている名前とちょっとずつ違うので違和感がある。オーディンがオージンになっていたりロキがローキになってたりして、どこぞの農村の話みたいな素朴を感じる。

全52件中 1 - 10件を表示

尾崎義の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
キーヴィン クロ...
綿矢 りさ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×