- Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001151275
感想・レビュー・書評
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どんな物語だったか確認したかったのもそうだが、それ以上に私の心を惹き付けて止まなかったのが、「バーナデット・ワッツ」の表紙の絵だった。
よくよく見てみると、そのざっくりとした花の描き方に、決して現実の世界を忠実に再現した風景ではないと思いながらも、何故か目を離すことが出来ず、寧ろ、こういう風景であってほしいと思わせるような雰囲気を感じさせる、絵全体で見た完成されたワッツの美しい世界観に魅せられて、たちまち私を物語の中へと誘ってくれる。
その世界観は本編も同様であり、1968年という時代性は感じるものの、その素朴な中にも、細やかで丁寧に多彩な色で紡ぎ出した絵は、建物一つとっても、屋根に止まった鳥たちや、窓から手を振る子どもたち、玄関周りの壁に描かれたハートの絵柄といった点に感じられるし、更に、赤ずきんやおかあさんの服に、建物内のテーブルクロスやベッドカーテン、その他の小物にまでも行き届いており、それらの模様の美しさも印象に残る。
そして、その中でも、私が最も魅せられたのは、見開き一面に描かれた、いくつかの森の風景であり、立体的に見えるそれらには、まるで舞台を見ているような臨場感があり、先述したが、一つ一つの花や木は非現実的なものに見えるのに、その独特の渋みを帯びた色を幾重にも、ワッツの美意識によって重ねていくことで、それらにも息吹が宿り出し、そこで向かい合っている赤ずきんとオオカミの存在感も、リアルなものへと昇華させるそれらは、たとえ物語の助けを借りなくても充分に一つの、『赤ずきん』という世界観を確立させていることに、ワッツの凄さを感じられ、その森の風景ひとつとっても、様々な色合いと描き方を変えて見せてくれる絵たちには、思わず、その中に入ってしまいたくなるほどの魅力を秘めており、非現実的なのに現実的でありたいと思わせる、人間の美意識や憧れ、願いを具現化させた絵の持つ芸術性の素晴らしさを、まざまざと実感させられた絵本で、絵だけなら☆5にしたいくらい、本書の中には一つの世界が息づいている。
ちなみにワッツの原書は、1969年に『ドイツの最優秀児童図書』に選ばれ、同じ年に『ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞』を受賞されており、本書の訳者は、ドイツ文学者で詩人の「生野幸吉」さんです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
地味で誠実な絵本。
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アニメ絵本では、おおかみに石つめてたけどこちらは、いもつめてた。
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グリム (著), バーナディット・ワッツ (イラスト), 生野 幸吉 (翻訳)
KHM26 -
古典としての、抜群の安定感。
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絵がいい。
内容も忠実に訳されているのがいい。 -
中古購入
グリム童話
この手の有名作品は
どこかしらで知るだろうと
買うつもりもなかったあの頃…
まさかついに絵本集め出すとは
我慢していいものを買い逃したのバカだったなぁ
IKEAでオオカミのお腹からおばあさんが取り出せるぬいぐるみを買ったのだが
まだ赤ずきんちゃんを知らなかった下の子には
意味のわからないギミック
絵本を読ませなきゃと本屋に行っても
好みの挿絵がみつからない
あれよあれよと数年がたち
やっと好みの赤ずきんちゃんをみつけた
色やインテリアなどとても惹かれる
石を詰められてお腹を縫われているオオカミもかわいく見えてしまう
おばあさんと赤ずきんちゃんの救出は
今ではどう改変しているのだろう
昔私が見た赤ずきんちゃんは
ハサミで切るシーンも
お腹を縫うシーンも
どちらも漫画のようにコミカルにしていて
残酷さは感じなかったし
現実にはあり得ない救出劇が
驚きつつ子どもを喜ばす演出と
子どもながらになんとなく感じて
楽しかったシーンだ
(悪者をやっつけてやったーみたいな)
この絵本でもハサミのシーンの挿絵があれば
私の中では完璧だったのになぁ -
寄り道は、危ないからダメね!
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4-00-115127-8 34p 2012・7・13 29刷
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3歳10ヶ月の娘のために2013年5月に図書館で借りた本。
あかずきんの本はたくさんありますが、絵に惹かれてこちらの本を借りてみました。娘はあかずきんをいたく気に入り、ストーリーとセリフを覚えてしばらくあかずきんになりきって演技を楽しんでいました。