スターリンの鼻が落っこちた

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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001156591

作品紹介・あらすじ

あこがれの父さんが突然、逮捕された。絶対だと信じていたものが、こわれていく-。2012年ニューベリー賞オナーブックに選ばれた。

感想・レビュー・書評

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  • 〝敬愛する同志スタ-リン閣下 幸せな子ども時代を過ごせていることを、あなたに感謝します。 ぼくは、今の世界で一番民主的で進歩的な国、ソビエト連邦で暮らせて幸せです。資本主義の国の子どもたちの暮らしがどれだけ大変か、本で読んだことがあります。ぼくはこのソビエト社会主義共和国連邦で暮らせない子どもたちが、可哀そうだと思います・・・〟独裁者スタ-リン時代の密告、監視社会の恐怖を描いた、ロシア系ユダヤ人作家のニュ-ベリ-賞を受賞した衝撃作。 スタ-リン主義が息づく、現ロシアの独裁政権に慄かざる得ない。

  • こういう話題(スターリン政権下の社会)を扱って力作なのだろうが、話がぎこちなく、絵があまりに子ども向けでないので(作者本人が描いている)、いわゆる”どん退き”になりかねない本になってしまった。

  • こういう作品は、今の子どもたちはなかなか手に取らないが、絵が多く、字が少なくて読みやすいので、薦めやすい。
    大人はスターリン時代のロシアがどのようなものであったか知っているから(うーん、知らない大人もいるかもしれないけど)ラストの将校の話にも全く驚かないが(それより共産主義エリートだった父がなぜアメリカ人女性と結婚したかの方が気になる。この設定は不自然だと思う。)、子どもには衝撃的かもしれない。
    絵はちょっとやりすぎな感じもある。ユダヤ人がマンガのような典型的ユダヤ人だし(といっても作者がユダヤ系だからバカにしているわけではないだろう。「ボラット」みたいなもんか。でも、他の民族の人がこの絵を描いたら糾弾されること間違いなし。)、校長はヒトラーそっくりだし。文章も書いているからこの絵が許される、という感じ。
    できれば、あとがきや解説でもいいから、この作品のような社会は特殊なのではなく、他の国でもあったし、今もあるのだということに触れて欲しかった。そうしないと「こういう社会がなくなってよかったね。異常な時代だったね。」という感想にしかならない。
    ごく普通の庶民が異常な体制に加担する恐ろしさを描くという点ではG・パウゼヴァングの『そこに僕らは居合わせた』の方が上。
    まあ、でも読みやすいから、いいか。日頃読まない子どもも手に取るかもしれないし。

  • タイトルが気になって読んでみた。
    まさに、スターリンの鼻が落っこちた話なのだが、児童書であの時代の話を描いた作品は珍しく、恐ろしさが伝わってくる。

  • 民主的なはずの挙手に「多数意見に反対する人に、神聖な旗を持たせるわけにはいきません……」と警告される社会。教室での投票や意見表明の光景は、過去のソビエトが、現代のすぐ隣りに存在しえるのだと感じさせる。

  • 友人に薦められて読んだ
    こわ!スターリン
    挿絵もモノクロで雰囲気が伝わってくる
    さまざまな政治的な背景があるにしても、
    独裁者はこわ!
    あまり読まれない本だけれど、今の日本の子供たちの目にはどう映るだろう
    現在再評価されるスターリンだそうだが
    《 猜疑心 国土に深く 蔓延す 》

  • 怖すぎる本。児童書で、これって…。

  • スターリン時代のソ連、ソビエトの情報機関に勤める父親と二人暮らしのサーシャは10歳になり、あこがれのピオネール団員になれる。入団式を翌日に控えた夜、尊敬する父親が秘密警察に連れて行かれ、密告した隣の部屋の住人に部屋を追い出されてしまう。父親の無実を信じるサーシャのピーネール入団式までの葛藤を描く。

    ソ連が崩壊して20年以上たった今、この本を手に取る日本の子どもは、これをどう感じて読むのだろうか。

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著者プロフィール

レニングラード大学で舞台芸術を学ぶ。アメリカに移住後、初めて書いた児童書『スターリンの鼻が落っこちた』で、ニューベリー賞候補になる。そのほかの作品に『アルカーディのゴール』など。

「2018年 『くらやみのゾウ―ペルシャのふるい詩から―』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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