- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001164060
作品紹介・あらすじ
両親が離婚したことを気に病むダニエルが、休暇で出会ったのは、いかした女の子レキシー。ダニエルはレキシーに惹かれていくが、彼女には不可解な点があった。腕時計が逆に時を刻んでいる。髪がいつも濡れている。体の傷が増えている…。少年の微妙な心理を描きだす、サスペンス仕立ての青春小説。
感想・レビュー・書評
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ダニエルが「美人の妹」に会いに行かないところに侠気を感じた。
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本作の舞台であるイギリスではサマータイムが設けられている。本作はサマータイムから標準時に戻る直前の1週間の出来事。サマータイムから標準時にもどす失われた1時間を使った少年と幽霊の少女の恋……物語。
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サマータイムという制度に馴染みがないものの、時計の針を進めたり、戻したりするという行為が、レキシーの状態とリンクしているという構造は面白かった。
失われる1時間。物語が生まれるには、絶好の題材だ。
予想していた内容とは大分違った方向だったので、中盤は戸惑ったものの、受け入れてしまえば、これはこれで読み応えがあった。 -
ちょっと太り気味、そして母親が家を出てしまって、不登校の少年ダニエルが、「ごたごたから逃れるために」お父さんの発案で二人でノッティンガムシャーだったかの冴えないスポーツリゾートに行く。お父さん自身もだいぶ問題を抱えていて、ふたりともちょっと救いなし、って感じ。
そこで主人公にだけ見える女の子に出会うのだけど、その子の腕時計は逆向きに時を刻み、会うたびに顔や体に傷が増え、しかもそれが治るのではなく悪化していく。その上主人公にまで覚えのない傷が現れ、悪化し始め……と、ちょっとこわい。
サマータイムの終わりの日、余分にある1時間(普通に生活していれば何も関係なく、いつもより一時間余分に寝られたねっていうだけなんだけど)も絡めて展開しているところが面白いといえば面白いんだけど、何で時間の輪に絡まっちゃったのかとか、何で解放されたのかとか、よくわからないし、人物があまり魅力的ではないのがつらい。ホラー風味っていうか、この子とお父さんの再生の話なら、女の子の話を一緒にしないでもよかったのでは、という気がしてしまう。 -
不登校のダニエルは、母親と別居中の父と二人でスポーツリゾートに一週間滞在することになる。ちょっとポッチャリさんのダニエルは、スポーツは苦手。それほど裕福ではない父親が、気分を変えようと計画した休暇だったが、ダニエルは全然乗り気ではない。
リゾートセンターに到着し、コテージへむかう電動車が赤いパーカの女の子とぶつかりそうになり、ハンドルに飛びつくダニエル。でも、その女の子が見えていたのは自分だけだということがわかる。
それからも、ダニエルはたびたび女の子と出会うが、いつも水のそばで、ほかの人には見えない。
酒に飲まれてしまう父親、両親の別居は自分のせいだと落ち込み、ますます劣等感にさいなまれるダニエル。女の子レキシーは、なぜダニエルにしか見えないのか。
休暇の終わりに向かい、レキシーを救い出すべく奔走するダニエル。
サイコサスペンス的なストーリーではあるけれど、ダニエルは、両親の和解への期待と、レキシーの安息と自身の心の成長を手に入れる。 -
カテゴリ:教員著作物
英語英文学科:安達まみ教授の著作物 -
幽霊との恋物語ですが、幽霊が幽霊として存在するにはたいてい理由があり、それはあまり幸せな状態ではありません。巨大レジャーセンターに、父親につれられて嫌々ながら遊びに来たダニー少年は、女子高校生の幽霊に恋してしまい、彼女の呪縛を解こうと奮闘します。彼女の死にまつわるサスペンスも興味深いのですが、ダニー少年の描き方がとても優れています。ダニーは少しだけ鋭敏な感受性を持っている普通の中学生で、その感受性ゆえにいろいろつらい目にあい、逆に年上のガールフレンドを作ったりできるわけです。そしてガールフレンドを救いたいがために心が強くなり、成長してゆくさまが丁寧に描かれていて味わい深い作品になってます。
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サスペンス?