彼岸過迄 (岩波文庫 緑 10-9)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101094

作品紹介・あらすじ

いくつかの短篇を連ねることで一篇の長篇を構成するという漱石年来の方法を具体化した作品。中心をなすのは須永と千代子の物語だが、ライヴァルの高木に対する須永の嫉妬の情念を漱石は比類ない深さにまで掘り下げることに成功している。

感想・レビュー・書評

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  • 読みにくかった。短編をつなげて長編のような物語にするって構想らしいけど、それぞれに繋がりがあんまり感じなかった。須永と千代子の恋模様のところが一番読み応えあったけどそこも須永の心の変化は読み取りにくかった。松本が雨の日に紹介状を持った人の面会を断るところは実際の漱石の経験に基づくものらしい。最初の森本の話いるのかな

  • 修善寺の大患の後、最初に書かれた小説。この後『行人』『こころ』と続く後期三部作の一作目。
    七つの長短篇を連ねて、一つのストーリーを紡ぎ出していますが、全体を通すと話しに少し無理があったと思います。

    しかし、違う漢字を当てた言葉遊びや、比喩の巧みな文章、探偵まがいの推理小説風の展開があるなど、読み手を飽きさせないです。後半の愛情の確執や嫉妬心にかられる描写など、読みどころがあり楽しめました。

    それにしても、漱石の登場人物は仕事に縁のない人ばかりですね。それでも暮らせるのが羨ましいです。

  • いや〜長かった^^;
    でも時々没頭して読めた。
    結局は恋愛小説で結果はやはり書かれてない。
    消化不良だなぁ。。。

  • 時代なのでしょうがとにかく言動がまどろっこしくて作品の主題がぼんやりとなっている。という時代感を感じざるを得ないのが旧作・名作を読むときのデメリットなのかな。
    ーーーーー
    須永は世の中と接触するたびに内へと「とぐろ」を巻きこむたちで、従妹の千代子を愛するとともに憎み、憎むとともに愛している。そんな須永を千代子は卑怯だといって責める。―漱石は男と女のこの氷劫の呵責ともいうべき関係を『彼岸過迄』のあと最晩年までくり返しくり返しとり上げて行くことになる。

  • なんか不思議な話だった。初めの蛇のステッキが最後の方までやたらとしつこく登場する理由がよくわからない。
    また、話筋の前半、中盤はともに前振りで、物語の盛り上がりは後半になって突然きて、ドーン!とそのまま終わる。
    短篇を重ねたと本人も序章に書いているが、狙った通りの構成なのか、書いているうちにこうなったのか、謎。
    面白いっちゃ面白いが、いままで読んだことのあるのと似てもにつかぬ筋なので戸惑った。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00076053

  • 著者:夏目漱石(1867-1916、新宿区、小説家)

  • 夏目漱石の後期三部作1作目。
    後期三部作は本作「彼岸過迄」、「行人」、そして「こころ」です。

    本作はいくつかの短編が集まってできており、それぞれの短編は別の時期に別の雑誌に収録されました。
    各短編は一続きとはなっておらず主人公も異なりますが、物語としては一貫しており、全く別の作品というわけではありません。
    序文に夏目漱石は「個々の短篇を重ねた末に、その個々の短篇が相合して一長篇を構成するように仕組んだら、新聞小説として存外面白く読まれはしないだろうか」と述べており、本作はその思惑を元に作られています。
    各短編は主人公が異なりますが、基本的には主人公は「田川敬太郎」という青年で、他処から話を聞いているところで話者が主人公となる形で物語が展開されるような内容となります。いわゆるオムニバス形式というわけではないです。

    非常にわかりにくい作品でした。
    プロットはシンプルなのですが、話途中で主人公が変わるのと、主題にたどり着くまで回り道が多く、今読んでいる内容の意味が計りかねることが原因かと思います。
    文章は読みやすいのですが、場面を理解するのに苦労する作品だと思います。
    1つ目の短編では、敬太郎は隣に住む森本という奔放な男と懇意になります。森本は去り、後には彼が使っていた洋杖が残されます。
    2つ目の短編で、敬太郎は大学の友人である須永に就職を相談し、実業家の叔父の田口を紹介してもらいます。
    また、須永の家に女性が入るところを目撃し、なんとなくこの女性のことが気にかかります。
    田口にはある停留所から降りる男性の行動を探偵し、報告しろという不思議な依頼を受けます。
    斯くして男性が停留所から降りてきたのですが、その男性は須永の家に入っていった女性と会って街を歩くところを目撃します。
    3つ目の短編は2つ目の短編の種明かし、4つ目の短編は話者がその女性となり、女性「千代子」の話。
    5つ目の短編がメインの話で、今度は話者は須永となり、須永と千代子の話。
    最後の6つ目の短編は停留所の男性「松本」が話者となり、話が締めくくられます。

    基本的には主人公は敬太郎ですが、須永の生い立ち、そして須永と千代子との間に過去にあった出来事の話がメインです。
    本作において敬太郎は、物語を進めるための狂言回し的な役回りとなっており、序文で述べていた複数の短編から一つの長編を構成するという意図において、本作は成功だったのかと思います。
    ただ、個人的にはテーマが朧で読みづらく、読んできた夏目漱石作品内ではあまり好きな方ではないです。
    面白くないわけではないのですが、頭にクエスチョンマークを浮かべながら読んでいました。
    後半になって、特に本作のメインテーマである5つ目の話の後ろの方からが面白くなるところなので、そこまでははてなと思いながらも読むことをおすすめします。

  • 473円購入2008-11-28

  • 後期三部作の1作目。短編を繋げて長編に仕立て上げるという構想のようだが、全体を通じて一貫する物語がないので消化不良感があった。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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