三島由紀夫スポーツ論集 (岩波文庫 緑 219-3)

制作 : 佐藤 秀明 
  • 岩波書店
3.70
  • (3)
  • (1)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 82
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003121931

作品紹介・あらすじ

三島のスポーツ論を集成.肉体,行動の復権,賛美は,三島文学の中心テーマ,スポーツ,オリンピックの観戦記,随想は,名文家三島の本領を発揮している.「太陽と鉄」は,肉体,行為を論じて三島の思想を語った代表作.

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 文豪ながら拳闘や剣道、ボディビルなど、スポーツにも精を出していただけあって、ボクシングの試合批評などは、未経験者による記事より説得力が伴っている。巻末の難解なエッセイに付いていけない読者も、こと観戦記やスポーツ体験記になると読みやすさい。その共感から、三島由紀夫そのものにも親しみが湧くかもしれない。

  • 三島由紀夫のエッセイの中から、スポーツに関するものを収録した1冊。
    前回の東京オリンピックに始まり、ボディビル、ボクシング、剣道、そしてスポーツ観戦と続き、最後は『太陽と鉄』で終わる。『スポーツ論集』と題した以上、確かに、最後は『太陽と鉄』以外に有り得ない。
    文章を読む限り、三島は割と無邪気にオリンピックやボクシングを観戦している。文中にも『球技は嫌い』と記されているように、観戦記は格闘技が中心ではあるのだが、体操に言及している文章が多いのも特徴だろう。また、体操を表現させると妙にエロティックなのだ。世の中に観戦記は数多あるが、ここまで名文のものはちょっと無いんじゃないか。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/729216

  • 2019年に登場した文庫本である。「東京五輪」が近付いていた中、数々の作家や評論家が色々と綴ったモノが発表されていてそれらが残っている「往年の東京五輪」に際し、三島由紀夫は秀逸な文章を残していることを受け、本書の企画が持ち上がったということなのかもしれない。
    本書はその「往年の東京五輪」に関連して、三島由紀夫が綴って発表した種々のエッセイと、その他のエッセイ、そして末尾に少し知られる『太陽と鉄』が収められている。エッセイの主要なテーマはスポーツ、或いは「身体を動かすという営為」とでもいうようなことになると思う。収められた多くのモノが、何時か映像で視た三島由紀夫自身が話している様子の声音が頭の中に甦るような、活き活きとした文章で愉しい。
    「往年の東京五輪」については、開会式から幾つかの競技の会場、更には日本代表チームの合宿練習の場所にまで足を運んで、丁寧に取材していた様子も伺えるのだが、各文章は「観ていない読者」、「時代を下った往時を知る訳でもない読者」であっても興味深く読める。三島由紀夫の華麗な文章の調子と、それが些か砕けた、彼がマイクを手に聴衆に向かって何やら話しているような風とが少し混淆し、「往年の東京五輪の雰囲気」が実によく伝わった。
    少し前に読んだ『鏡子の家』という小説に“拳闘家”(=ボクサー)の青年が登場しているのだが、三島由紀夫はボクシングを好み、自身でも大学のボクシング部の練習に参加してみるようなことまでしていて、そして盛んに観戦に足を運んでいたようだ。そのボクシング体験の関連や、新聞や雑誌に寄稿していたボクシングの観戦記というモノも色々と収められている。
    そして三島由紀夫と言えば、ボディビルのトレーニングに勤しんでいたことや、成人してから始めている剣道を長く続けていたことも少し知られている。そうした身体を鍛えてみることや、熱心に続けた剣道を巡るエッセイも本書には在る。
    更に「神輿を担ぐ催事に参加」というようなエッセイも、この本には収められているが、なかなかに面白いモノを択んだ感じである。
    少し御薦めな一冊になった…

全5件中 1 - 5件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×