言論・出版の自由 他一篇: アレオパジティカ (岩波文庫 赤 206-1)
- 岩波書店 (2008年2月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003220610
作品紹介・あらすじ
『失楽園』で知られる英国の詩人ミルトン(1608‐1674)は、王制から共和制、そして再び王制へとめまぐるしく移り変わる激動の時代に生きた。厳しい現実政治の中で少数派として否の声を上げ、自由のために戦い続けた詩人の魂の叫びとも言うべき『言論・出版の自由』および『自由共和国建設論』の2篇を収録。
感想・レビュー・書評
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失楽園で有名なミルトンさんの本。言論の自由、出版の自由を侵してはならないということが、よくわかる本。現在でも十分通じる考え方だと思う。当時は、大変な逆風の中での発言だったとのこと。それでも地球は回っているで有名なガリレオさんも投獄されていたような時代だったゆえ。
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参考文献
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『ぼくらの頭脳の鍛え方』
書斎の本棚から百冊(立花隆選)67
政治学・法学
言論の自由の本当の意味。 -
言論の自由の本当の意味について
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「出版・言論の自由」「自由共和国建設論」の2編所収。
宗教改革の波がイギリスにも来て、共和国が建設された頃(17世紀)に刊行された論で、ここに展開されているのは、当時の具体的な状況に根ざした問題であり、また論の正当性のよりどころが、キリスト教的に正しいかどうかというところにあり、ここから普遍的なことを読み取るのは、私の手には余る。
「出版・言論の自由」
結婚や離婚というのは、教会が司るものではなく、個人的な問題であるということを述べた「離婚の自由」という本を出版しようとしたところ、検閲によって差し止められたため、出版の自由を擁護するため出版したんだか、議会で演説したんだかしたもの。
異論を封じ込めるのは真理にもとる行いである、検閲によって本来の目的は達せられないということを述べていたと思う。当時から、読書には悪に感染する危険があるとか、悪書からも思慮分別があれば学ぶことができるとかいうことは言われていたようだ。
言論の自由の黎明期とも言っていい時期だけあって、言論の自由の適用範囲は狭い印象(キリスト教の範囲内)で、理屈自体は単純に済んでいるように見えて、うらやましかった。ただ、適用範囲は狭いので、エロを子どもが見ることについて、ミルトン先生は、正しいキリスト教徒ではない、邪悪な行いだと言いそうだった。
「自由共和国建設論」
いったん共和制になったものの、打ち続く混乱に、王制に回帰しそうにある情勢を止めようとした論。
王制になれば、人々は奴隷のように扱われ、王たちは国民ではなく、自らに奉仕する。つい最近までそうだったのに、忘れちゃったのかよ。そんなだったから共和制になったんじゃんというような内容だったと思う。
当たり前だが、時代背景や党派間の対立関係が説明なく出てくるので、内容が把握しづらかった。こちらのほうは、当時の状況に、より影響された論を展開しており、やや極端な印象を受けた。 -
ミルトンジョンの情熱を思いっきり浴びることができる一冊。パワフルだなミルトン。流石です。