白衣の女 上 (岩波文庫 赤 284-1)

  • 岩波書店
3.90
  • (12)
  • (12)
  • (14)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 245
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003228418

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 不思議な感覚。まるで観劇しているような錯覚に陥った。舞台上に霧が立ち込め、その中にポツリポツリと登場人物たちの顔が浮かぶ。初め顔だけだった彼らは、台詞を発するごとにくっきりと全体像を現していく。それほどにひとりひとりの個性が明瞭で、かつ魅惑的なのだ。現代のミステリと比べると進展が遅いようにも感じるが、かと言って決して冗長な訳ではない。ゆっくり進展するドラマだからこその期待感。登場人物は「全体像」を現したが、果たしてそれは真の姿なのか。読み手の疑念を象徴した「舞台上の霧」はまだ晴れない。

  • 「はくい」ではなく「びゃくえ」 その1

  • 19世紀の英国で旋風を巻き起こした人気作で、現代人が読んでもスリルあふれ返る!!


     19世紀後半の英国で超がつくほど著名だったとされる作家ウィルキー・コリンズ☆ 彼が一大センセーションを起こしたという大河推理ロマン『白衣の女』に、私も挑戦しました★ 古典ミステリを愛好する人なら必読の課題図書的な作品ですが、意外に(?)スリルあふれ、目を離せない展開の連続です。
     岩波文庫だと上中下の三巻にまたがる大長編。でも「早く続きを知りたい」と打ち克ちがたい魅力に引きこまれ、途中で本を置けなくなりました。登場人物や舞台をひとしきり説明した後、語り口がギュイーンとスピードUPしたように感じたなー☆

     貧しき画家ウォルターが荒野で出会ったのは、○○病院から逃げてきた白衣の女。衝撃的な出だしもさることながら、この不思議な女は、ウォルターが雇われた先の令嬢ローラ・フェアリーと瓜二つなのだ。
     そのローラ・フェアリーは莫大な財産の相続人であることから、彼女を狙って、白衣の女も関わる<恐るべき策略>が……★ 窮地のヒロインを救おうと、ローラをこよなく愛する姉が、次にはやはりローラを愛するウォルターが、狡猾な敵と対決します!

     予測不可能な要素だらけ。驚いたのが主人公の青年が途中でいなくなること、もっと驚いたのがなかなか戻ってこないことです★ 姉妹がピンチなのにどうするのだ、ウォルターいませんけど!? ハラハラし通し。しかし何はとまれ、この時代の気風で、紳士は淑女たちのために命がけで戦ってくれるから、いいなぁ♡ 現代は、女性を見捨てて逃げそうな男性ばかり見かける(注:個人の体験です)。
     また、裏で糸を引く悪役伯爵の、一種独特の魅力に打ち震えました。よくぞこれほど凄みのあるモンスターを生んだものだ★ 敵が魅力的だと戦いは盛り上がりますね。イケメンという意味では全くありませんが。他人の外見については触れるべきではないか……。謀略の行方はともかく、本作の勝者はF伯爵で決まりです!

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18357

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN14064109

  • 絵画教師の青年が、全身白服の女性と出会ったことをきっかけに、奇妙な運命に翻弄されることになる物語です。
    複数の人物の手記という形式の作品ですが、中盤以降の展開がもどかしくて挫折しそうになりました。(^^;
    作中の時代と現代では、価値観が異なると頭では理解していても、ヒロインの令嬢の言動には共感できませんでした。

  • 訳:中島賢二、原書名:THE WOMAN IN WHITE(Collins,Wilkie)

  • 続き、続き!

  • 上巻読了。古い作品みたいだし、謎の女が出てきて瓜二つでみたいな、古典にわりとあるパターンにはまっているように思うけれども、なんだかワクワクしてどんどん読めた。次は中巻。

  • 人間に対する洞察が深い。謎解きのわくわくだけでないヒューマンドラマにうたれる。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1824年ロンドン生まれ。法律家修業を経て、20代後半から作家活動に入る。30代半ばで発表した『白衣の女』によって一躍脚光を浴び、1860年代に大流行したセンセーション小説の礎を築いた。代表作は、『白衣の女』の他、『ノー・ネーム』『月長石』などで、後者は世界最初の長篇推理小説としても有名。1889年没。

「2018年 『ヴィクトリア朝怪異譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウィルキー・コリンズの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ドロシー・L・セ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×