小公子 改版 (岩波文庫 赤 331-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003233115

作品紹介・あらすじ

昭和13年第13刷にて改版

感想・レビュー・書評

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  • ※なぜかこの度発売された本が
    Amazonにのっていないので、その前のに
    リンクしています

    空前のイーディス・ウォートンブームは
    この本の登場で一旦スピードダウン
    (優先順位が下がっただけで
    読んでるには読んでおります)

    こちらは岩波の月刊誌で
    「春のリクエスト復刊」(2月発売)で
    でると載っていて、とても楽しみにしていたもの。
    いつものBBの本屋さんでどうしてか
    みつけられず、この間地元にほど近い街の本屋で
    やっとみつけて求めました。

    こちらの本屋でも「春のリクエスト復刊コーナー」と
    なって、ちょっと違う場所に置いてあったから
    なかなか見つけられませんでした。

    これがなんと、発売当時のまま旧仮名遣いでね!

    もう何度も何度も読んでいる作品だから
    旧仮名遣いでも頭の中で当てはめて
    どんどん読むことが出来る。

    手持ちの吉田甲子太郎先生翻訳の
    岩波少年文庫版を横に置いて
    時折、このセリフはこっちではどうなっているのか?
    この描写は?
    とかなんとか読み比べたりなどして
    とても楽しい!

    外国の昔のお話を、日本の昔の言葉で読むことが
    こんなに素敵に面白いことだとは思いませんでした!

    とくに人名が
    セディー→セデー
    メアリー→メレ
    ヘンリー→ヘンレ
    などはほんの一例、

    その他「タマスどん」「ヂェームスどん」なんて
    どんときてみたり、

    ハヴィシャム氏、ホッブスさんがそれぞれ
    ハ氏、ホ氏などとところどころ省略されるのも愉快。

    また、ほら、あの例の女ミナが、
    なんと「おミナ」だったのにはふきだしてしまった!

    只ひとつ、イギリスにわたる船の上でセディーが
    面白いセリフを言うところ、
    これがこの本に無いのが残念だけれど、

    今まで何個か違う人の翻訳を読んで
    必ず出てきた私の好きな箇所だから、
    きっと賤子さんがなんらかの理由で変えちゃったんでしょう!
    でも、他が素晴らしいし、
    今回は、まぁ、良いでしょう!(と、上から)

    村上春なんとかとか言う人が、
    翻訳ものは常に見直して時代にあったものに云々
    と言っていた気がするけれど、

    こうして、一見読みにくいような文章に
    取り組んでみるのも一興、

    とっつきにくいようでも
    内容の面白さがそれを上回れば、
    読んでみたいって人は多いんじゃないかな。
    なんでもかんでも簡単にすれば
    良いってもんじゃないよね。

    こう言う本を手に取りやすいところへ
    散らばしておくのが
    紙の本の未来の為にも良いと思った!

  •  
    ── バーネット/若松 賤子・訳《小公子 A Little Princess 1888-1905 America 1893 19390805 岩波文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003233115
     
    ♀Burnett, Frances 18491124 England America 19241029 75 /Eliza Hodgson
    ♀Iwamatsu, Shizuko 18640406 会津    東京 18960210 32 /元治 1.0301-巌本 真理の祖母
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19790511
     君去りし後 ~ 巌本家の周辺 ~
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%BC%E3%BE%BE+%EC%CD%BB%D2
     
    ── バーネット/菊池 寛・訳《小公子 19271210 興文社》文藝春秋社 小學生全集第52卷
    http://www.aozora.gr.jp/cards/001045/files/4881_18578.html
     
    (20180220)
     

  • 小公子、というタイトルだがこれって老人が主人公だね。完全無欠の愛くるしい天使のような、人畜無害の象徴たる美少年フォントルロイとの出会いに、怒りと奢りと疑いの塊だったじじいがたちまち、孫馬鹿の慈善家に変貌するくすぐったいおかしさが微笑ましい。じいさんのデレデレ具合がかなりすごい。孫に「僕、あなたみたいになりたいんです。」って言われて「俺のようにだと!?」と動揺して赤くなったり、おじいちゃんは人の為になる事ばかりしててすごいですねえと無垢な尊敬を浴びて心にもないのに慈善を施したり、孫自慢したさに遠乗りしたり人前でほっぺくっつけてみたり、すごい。老人がここまで作り替えられてしまったのは、単なる孫馬鹿であるだけでなく、人間にとってどうしても必要なものを少年が与えたからである。それは信頼と愛情によって認められることだ。私は貴方が素晴らしい人間だと思っていますし、そんな貴方が大好きですよ、というメッセージが人が自分自身と周りの人間を大事にするためには、どうしても必要なのだ。これが子供時代に不足するとのちのちまでその人は言い様のない不満を抱えて生きることになる。恐らくこの老人もそのようなまま生きて、それを取り返すには天使レベルの信頼と愛情でなければいけなかったのだろう。それにしても、孫にとって一番になりたいからって、母親に嫉妬するなよ・・・。訳者の若松賤子についての記述もなんだか良かった。

  • 恐ろしく訳が古式めいている!
    旧字だけでなく「〜したまう」が「〜し玉う」、「〜してくれて」が「〜して呉れて」、「〜だね」が「〜だねい」とか。
    「し玉う」なんてちょっと予想してなかった品の良さ。
    愛くるしい天使のような、人畜無害の美少年に、疑うことと怒ること、偉ぶることしかしらない老人がとたんにほだされていく。
    「小公女」はふわふわした少女が鋼のように己を貫いてサバイバルする話、
    「秘密の花園」は傷ついた子供(と大人、屋敷)の再生の話だったが、
    こちらは最純な子供に老人、大人の側が癒されていく話。

    じいさんの後半のでれでれ具合がたまらなく可愛い。
    しかし母親に嫉妬するなよ(笑)

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