- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003259023
作品紹介・あらすじ
パリの町で出会った妖精のような若い女・ナジャ-彼女とともにすごす驚異の日々のドキュメントが、「真の人生」のありかを垣間見せる。「私は誰か?」の問いにはじまる本書は、シュルレアリスムの生んだ最も重要な、最も美しい作品である。1963年の「著者による全面改訂版」にもとづき、綿密な注解を加えた新訳・決定版。
感想・レビュー・書評
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金井美恵子の『夢の時間』を思い出した。
自分が誰であるとか、何故ある場所である事をやっているのか等々を考えはじめることは、迷宮へ入り込む最初の一歩に違いないという。
「私は誰か?」の問いに対して「私は私である」と同義反復で答えるのではなく、蜘蛛の巣のように複雑に張り巡らされた無数の邂逅の糸をたぐり、ときおり解すようにして、おのれの内の、ある書物やある人物やある絵画に対する、情熱の度合といったものを探ってみる。そのようにしてたどり着いた迷宮の出口で痙攣的な美との曖昧な結合を果たす、ここにいる私を発現させる。 -
シュルレアリスム運動はフロイトによる無意識の発見を契機に、当時のダダイズム的アプローチが接続することで絵画・写真を巻き込んだ一大運動と化す。本書は「シュルレアリスム宣言」を執筆することでその旗振り人となったプルトンが綴った、ナジャと名乗る女性との交際記。「あなたは誰?」「私はさまよう魂。」自由を愛するナジャの行動は超現実的であり、それは無意識の象徴でもある。シュルレアリスム文学は得てして難解になりがちだが、多数付随された写真と恋愛記というあらすじによって、例外的に読みやすさを獲得することに成功している。
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◇シュルレアリスム的散文の最高傑作の一つ
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3.45/522
『「私は誰か?」シュルレアリスム運動の最盛期,1928年に発表されたブルトンの代表作は,自分への問いかけから始まる.実際に出会った人物,おこった出来事,発せられた言葉を,克明に記録するというこの新しい「小説」は発表当初より賛辞にかこまれ,35年後,「著者による全面改訂版」としてふたたび世に送り出された.』(「岩波書店」サイトより▽)
https://www.iwanami.co.jp/book/b248130.html
原書名:『Nadja』
著者:アンドレ・ブルトン (André Breton)
訳者:巖谷 國士
出版社 : 岩波書店
文庫 : 345ページ
メモ:
・松岡正剛の千夜千冊 634夜
・20世紀の100冊(Le Monde)「Le Monde's 100 Books of the Century」
・西洋文学この百冊 -
繊細な視界を覗き見る。
注釈が文庫本の半分の頁を閉めているぞ。 -
最近、どこかで「ナジャが年上だったときとナジャより年上になったときとではナジャが別人に思える。死ぬ前に読み返すのが楽しみだ。」というようなコメントを見た。それが頭に残っていたので、図書館書庫より借りた。が、今の私は、この本の中に入っていけなかった。また巡り合ったらそのときにまた読もう。
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ナジャという女性との出逢いが鮮烈であったという書き方。文章の半分位までは自分の生活風景を写真とともにくどく説明。ナジャとの出逢いからは、ナジャの書いたスケッチや彼女の発言が怒涛のように押し寄せ、日常が様変わりした。〆はナジャとは何なのか、と。こういう構成。ナジャとは人間以外の何かであり、新しい時代の流れのような、それを擬人化したのかなあ。デビルサマナーのネミッサのような。もちろんスケッチなどは本人様がお書きになったかと。私にはこの本わからんです。
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Keyとかの美少女ゲームに出てきそう→ナジャ
ポンコツ電波っぷりがかわいい -
こんな他人にとってはなんの意味もないラブ・レターみたいなのを小説というの?当事者の間で読まれる分には勝手にして、という感じだけど、これを作品にしちゃうのがシュルレアリスムなのか?デッサンじゃなくて落書きやろこれ、という図版がゴロゴロ。もー勘弁してくれ。そんで最後ナジャどこいった?あっさり恋の対象別の女になってるし、しかもあんた妻帯者やんけ!常人には感じられないものを感じている人間に惹かれながら、自分はいたって普通の生活を送っている、あくまで観察者。べつにそれならそれでいいんだけど、だったらもっと明確にわかりやすく書いてくんない!?もー何から何まで合わなくて、最後まで読んだものの理解は放棄しました。