クルイロフ寓話集: 完訳 (岩波文庫 赤 647-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003264713

作品紹介・あらすじ

ロシア文学のなかに強固な伝統をもつ国民詩のジャンル、寓話。帝政ロシアの重圧下に生きた劇作家・諷刺作家クルイロフは、この文学形式に痛烈な現実批判の性格を与えることにみごと成功している。1篇1篇が短いドラマともいうべきその作品は今日まで絶えることなく読みつがれてきた。全203篇の散文訳。

感想・レビュー・書評

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  • ロシアの作家、クルイロフの寓話集ですね。
    クルイロフ(1769ー1844)は、帝政ロシアの重圧下に生きた劇作家・風刺作家です。
    全部で203篇、一篇一篇が短いですが、かなり風刺が効いていて、面白い文章で綴られています。
    本来は、ロシアの伝統で寓話詩の形だったそうですが、訳者の内海さんによると
    『クルイロフの寓話が長くロシア人に愛されてきたのは、それが美しい詩の形で書かれ、口承文芸の要素をもち、ロシア民族の特性が反映されているからである。そのような寓話を日本語に写し変えることは至難の技である。敢えて散文に訳したのは、訳者の力量不足とやがままである。』
    と、語られいます。
    いえいえ、読者の私としては、ものすごく読みやすく親しみ易いのでありがたい事です。
    クルイロフの寓話は、イソップやラ・フォンテーヌの寓話の翻案を試みた経験からそれらの影響が大きいものの、反貴族的、民主主義的傾向がよくうかがえます。
    動物(動物は人間であり、かつロシア人だそうです)を使った寓話は、それだけで風刺の強さを和らげますから、長く愛されている理由の一つになっていますね。
    クルイロフの生涯もかなり興味深いものです。
    ロシアには、反体制の根強い歴史が窺えます。平和と自由を愛したロシアの作家たちの作品は、世紀を超えて受け継がれています。

  • 7・アペレスと驢馬の子
    あまりにも自尊心が強い者は、他人の物笑いになることでも、自分では得意になっている。
    15・羊飼いと海
    これから先のことは誰にも分からない。しかし、わたしのものはわたしのものである。
    22・葬式
    その死だけが何かの役に立つ、そういう金持ちがたくさんいる。

    などなど説明文に納得するものがある。拾い読みして楽しめます。

  • 著者作品の初読み。盛りだくさんで、話も楽しめたり、教訓をうなずいたりして、203篇を読んだ。動物たちにうまく擬した話は面白い。イソップ寓話などから題材を得てるのもあるが、それも含めてうまく描けていて良かった。訳者あとがきにあった著者の戯曲が読みたくなった。

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