- Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003275047
作品紹介・あらすじ
原タイトル: Gengangere
感想・レビュー・書評
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初っ端から牧師にムカムカし過ぎて頭に血がのぼる。
登場人物の中で誰よりも俗物的に描かれているのが、聖職者という人々を導く立場の人間だ。それによって、古くからのしきたりや価値観を疑いなく正しいものとして守り続けていくことは、権威ある者による強迫観念の植えつけに他ならないと感じる。
『人形の家』をはじめ、時代もさることながら、男性であるイプセンがこういった戯曲を書き上げたのは驚きだが、男性だからこそ書けたし、また公の場で発表できたのではないかとも思える。 -
イプセンをきちんと読んだのは初めてだけど、よく読むチェーホフと比較してしまう。チェーホフの“奥様”よりは、今どきなかんじで、労働者や働くことへの偏見はない。目に見えないしがらみや習慣や世間体を“幽霊”と評して、とりつかれてる、という表現になることになんか、納得。
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どこでどの時代に生まれ育ったか、それはどんな環境だったか、その一つ一つが人格形成に影響する。そしてそれは、振り払おうとしても、なかなか振り払えるものではない。いわゆる「常識」と呼ばれるもの。各個人の中にある常識の数が少ないだけ、より自由であると言えるだろう。一体、常識とは何であったか。重んじるべきものと思い込み、実行する。しかしそれは本当に、重んじるべきものなのか。
女性の自立に意識的なアルヴィング夫人でさえ、息子オスヴァルに対しては因習的な態度をとり、オスヴァルは自分の全く与り知らないところで起こった父親の淫蕩の報いを受ける。歴史も、血も、繋がっている。
常識を断ち切ることは可能か、否か。正気を失わなければ「太陽」を求めることが出来ないのか。しかし、常識は足枷。それを断ち切り、自由になりたいのだ。 -
人形の家より先にこれを読んだ。
イプセンをもっと読んで行きたいと思った、が、絶版多い… -
とても面白かった。ポイントは過去のことがそのまま現実を乱しているということ。乱しているのは現代の人間だということ。横溝正史臭がする。
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2007/12/09
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2006夏の重版で買ったよ〜