日本の下層社会 (岩波文庫 青 109-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003310915

感想・レビュー・書評

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  • ずいぶん昔から何度か読んでおります。
    潜入取材モノの元祖といっていいでしょう。
    さまざまな最下層な人々に接し、取材をしてます。
    明治のスラムの様子がよくわかります。

  • いざなぎ景気越えを「かげろう景気」と名付けられた一方、格差社会が叫ばれて長いが、同じような時代がおよそ130年ほど前の日本にも存在した。当時の大蔵卿であった松方正義は、緊縮財政により一時的なデフレ不況を生みだす一方、積極的な経済構造改革に着手し、産業育成政策を推し進めたことにより、当時の先進国のステータスであった金本位制の基礎を整えることに成功した。

    本書は経済発展の一方で貧困にあえぐ多くの人々にスポットライトを当てた良書である。そこには現在の「格差社会」とは比べ物にならないほどの劣悪な労働環境、低賃金、売春などが赤裸々に調べ上げられている。
    そして現在。派遣社員、フリーター、ニート、そしてワーキングプア。現在の好景気を支えている一面には彼らのような低賃金労働者が存在することを忘れてはならない。その一方で、多くの企業はこれまで以上に1円、1銭単位のコスト競争力が求められている。
    もはや杓子定規に賃金引き上げでは片づけられないところまで来ているのである。

    キリストの世界に地獄があるように、資本主義の発達においては富が集中するとともに、一方では貧困を生みだすことは必然的なことで避けられないことであろうと考える。「格差是正」は必要であるが、本当に必要なことは「『そのためには何を以ていかなる施策で富の再分配を図るか』というグランドデザインを描くことにあるのではないか」これは、たんに与党・野党の泥仕合をしている場合ではないことを物語っているような気がする。

    本書は現代社会が近代社会から学ぶことが多い良質の書物であると感じました。

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