西田幾多郎歌集 (岩波文庫) (岩波文庫 青 124-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003312483

作品紹介・あらすじ

西田哲学は、人間西田幾多郎の実人生での苦悩とその超克の足跡とも言われる。たび重なる苦難の中、折々に詠まれた短歌は、哲学者の内面を如実に伝える。思索の深まりは、短歌の形でより端的に表現されることもあった。親族ら四人の回想記を併せて収録。哲学者の生涯をより深く理解するための貴重な証言である。

感想・レビュー・書評

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  • 意外と哲学的な話はほとんどなくて、ずっときれいな歌ばかりだった。芥川龍之介歌集も同様。印象に残ってる歌は、「年末になると時の流れを感じると言うけれど、時間は毎日毎時流れているぞ」みたいなことを言ってる歌かなあ。あんま覚えてないですね

  • 夕暮れの急げる雁は松虫の声するほうにやどる為にや

    年ぐれにとしがゆくとは思ふなやとしは毎日毎時ゆくなり

    すみ駿河硯の水は大井川画き出せるふじの高峯

    住む人をあるじとぞいへば梅の花なく鶯あるやあるじなるらん

    まどののとにうつる木の影香ふればさきぬる梅のこかげなるらん

    春ごとに草木はもとに反れども反らぬものはわが身なりけり

    秋の野に錦をしける草花の影にやどれるきりぎりすかな

    三笠山月に昔を忍びけりかの声淋し秋の夕暮

    仲麻呂か唐に見し月影を千年の後の今日も見るかな

    「ボードレールの異国人」

    汝は誰を最も愛するか、不思議なる人よ、汝が父か
    汝が母か、汝が兄弟か、
    余には父もない、母もない、兄弟もない
    さらば汝が友か
    友とかや、異なる語を聞くものかな
    汝が故国か
    余は余の故国が何処なるかも知らない
    美か
    余は時々美を愛せないこともない
    金か
    余は君が神を悪む如く金を悪む
    さらば不思議なる異国人よ、汝は何を愛するか
    余は雲を愛す、そこ行く雲を愛す、不思議なる雲よ


    「ミニヨンの歌/ゲーテ」

    憧れを知るもののみ わが悩みを知らめ。
    うらぶれて、唯一人 青空の彼方を眺む
    嗚、吾を知り吾を慈しむ人は、 遠き彼方に
    目は眩み 腸は燃ゆ
    憧れを知るもののみ、 わが悩みを知らめ



    「ゲーテの歌」

    見はるかす山々の頂
    梢には風も動かず鳥も鳴かず
    まてしはしやかて汝も休はん

    ↔「山巓の気」を書いた時のことを思い出す

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著者プロフィール

1920年生まれ。44年、京都大学文学部哲学科卒業。戦後ただちに文部省に入り、新教育にたずさわる。名古屋大学教授、東京教育大学教授、立教大学教授を経て、都留文科大学学長。その間、長く信濃教育会教育研究所所長を兼任。

「2005年 『私はいつまで生きていていいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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