- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003312483
作品紹介・あらすじ
西田哲学は、人間西田幾多郎の実人生での苦悩とその超克の足跡とも言われる。たび重なる苦難の中、折々に詠まれた短歌は、哲学者の内面を如実に伝える。思索の深まりは、短歌の形でより端的に表現されることもあった。親族ら四人の回想記を併せて収録。哲学者の生涯をより深く理解するための貴重な証言である。
感想・レビュー・書評
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意外と哲学的な話はほとんどなくて、ずっときれいな歌ばかりだった。芥川龍之介歌集も同様。印象に残ってる歌は、「年末になると時の流れを感じると言うけれど、時間は毎日毎時流れているぞ」みたいなことを言ってる歌かなあ。あんま覚えてないですね
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烏兎の庭 第六部 9.8.19
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto06/doc/tanka.html -
夕暮れの急げる雁は松虫の声するほうにやどる為にや
年ぐれにとしがゆくとは思ふなやとしは毎日毎時ゆくなり
すみ駿河硯の水は大井川画き出せるふじの高峯
住む人をあるじとぞいへば梅の花なく鶯あるやあるじなるらん
まどののとにうつる木の影香ふればさきぬる梅のこかげなるらん
春ごとに草木はもとに反れども反らぬものはわが身なりけり
秋の野に錦をしける草花の影にやどれるきりぎりすかな
三笠山月に昔を忍びけりかの声淋し秋の夕暮
仲麻呂か唐に見し月影を千年の後の今日も見るかな
「ボードレールの異国人」
汝は誰を最も愛するか、不思議なる人よ、汝が父か
汝が母か、汝が兄弟か、
余には父もない、母もない、兄弟もない
さらば汝が友か
友とかや、異なる語を聞くものかな
汝が故国か
余は余の故国が何処なるかも知らない
美か
余は時々美を愛せないこともない
金か
余は君が神を悪む如く金を悪む
さらば不思議なる異国人よ、汝は何を愛するか
余は雲を愛す、そこ行く雲を愛す、不思議なる雲よ
「ミニヨンの歌/ゲーテ」
憧れを知るもののみ わが悩みを知らめ。
うらぶれて、唯一人 青空の彼方を眺む
嗚、吾を知り吾を慈しむ人は、 遠き彼方に
目は眩み 腸は燃ゆ
憧れを知るもののみ、 わが悩みを知らめ
「ゲーテの歌」
見はるかす山々の頂
梢には風も動かず鳥も鳴かず
まてしはしやかて汝も休はん
↔「山巓の気」を書いた時のことを思い出す